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#10 世界の「シマノ」(富士山御殿場口登山道新五合目: 人間交差点2021)

 明日は、1年延期になった東京オリンピックの開会式だ。小山町の富士スピードウェイをスタート・ゴールとする自転車競技のコースが御殿場市内~須山に設定されているためなのか、今日の出勤時に自転車に乗ってやって来る若者を多く見かけた。
 早朝組と交代した直後、1台のロードレーサータイプの自転車に乗った青年が鳥居の前にやってきた。自転車用ヘルメット、サイクルジャージ上下、サイクル用シューズで身を固めている。押してる自転車は、素人目にも高級感があふれている。
 「こんにちは。トレステ(Mt.Fuji Trailstationの略)に来られたんですか?」「はい、今日で3回目です」「チャりでここまで?」「はい、バイクで!」 「バイクですか?」 「はい、自転車のことをバイクというんですよ」 「なるほど!3回はすごいですね!」 「トレステにバイクで来ると、カードがもらえるんです。3種類あって、毎回1種類づつなので、3回来ちゃいました」「なるほど! ところで、そのバイク高そうですが?」 「ええ、まあ」 「30万円くらいですか?」「もうちょっと」 「50万?」「いや もうちょっと」と落語の「時蕎麦」のような掛け合いになってきた。
 「130万円です」 「えっ?!」 軽自動車が買える値段だ。 「ローンですか?」
「キャッシュです」ときっぱり。ここから彼のバイク愛が始まった。「このバイクはイタリア製で、直輸入。フレームの構造は・・・・・、タイヤは・・・・・ブレーキは・・・・・」と続いた。「でもね、一番肝心な変速機は日本製です。どこの会社だと思いますか?」「???」「シマノ、シマノ製作所ですよ。世界のバイクのほとんどが、変速機はシマノなんです。オリンピックに参加するロードバイクのほとんどがシマノ製です。いま、1年待ちだそうですよ」と胸を張る。うれしい言葉だ。「もの造り日本」の面目躍如である。説明を終えると、愛車に跨り「じゃぁ また」と颯爽と登山道を下って行った。
 
実は、私も「シマノの変速機」を2台持っているんです。釣り用のリールなんですが・・。

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