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折本制作の備忘録。

 2024年8月3日〜5日に開催された「ぺらふぇす2024」(主催:ぺらっとふらっと様)に参加するため、初めて折本を制作してみました。
 その際に気になったこと、気をつけたことが結構あったので、今後の為に纏めておきます。
 興味が湧いた方は、私の制作思考を覗いてみてください。無駄に長文なので、最後まで読めた方は凄いと思います(纏めのスキルを誰かください)。


あんまり手間をかけさせたくないな…という気持ち。

 私が今回制作する予定の折本は8ページ仕様です。
 ちょいちょいと折って、カッターナイフで真ん中をスーッと。
 簡単ですが数が嵩めばそれなりに時間が掛かります。
 ところで、私が使用しているレーザープリンターは、絶対にフチ無し印刷が出来ない仕様になっています。
 つまり、必ず余白がぐるっと一周出来るわけですが、デザインやレイアウトによっては、この印刷出来ない部分を切り取る必要があるのです。
「そのカットする手間が楽しいんじゃない!」と言う自分もいますが、「枚数が嵩んだら大変じゃない!」と言う自分もいます。
 特に折本を作るきっかけとなったのは総勢百名前後の方が参加するイベントです。全出力する人はそうそういないと思いますが、私の折本にそれほど手間をかけさせたくないな、と気持ちもありました。
 ならば「最低限の手間で作れる折本」考えようじゃないですか、となったわけです。

皆さんはどこから折本を印刷するのでしょう?

  今回に限らず、ネットでの配布イベントは、データをDLダウンロード出来るようにするか、またはコンビニのネットプリントを利用します。
 DLの場合は、大抵自宅のプリンターで印刷するでしょうし、ネットプリントの場合は、コンビニのプリンターで印刷されると思われます。
 自宅のプリンターは、大概インクジェットプリンターでしょうし、コンビニのプリンターはレーザープリンターです。
 この2つは色々違いがありますが、折本を作るにあたって気をつけたいのは、印刷範囲と印刷設定です。

レーザープリンターの問題点ってなーに?

 コンビニに置かれているプリンターは、レーザープリンターです。
 折本作りにあたって問題となる、レーザープリンターの特徴。
 それは、絶対にフチから5mm程度印刷されないということです。

青い範囲にデザインや文字が掛かると印刷されません。

 メーカーや機種によって印刷されない幅は微妙に違いますが、フチ無し印刷はできません
 更に、給紙トレーには紙を入れるための余裕があります。キッチキチではないので、給紙した人の手癖で、1mm前後右に寄ったり左に寄ったりします。
 更にもっと言うと、メンテナンスを怠ったプリンターに遭遇すると、毎回1mm前後の印刷の位置ズレが起こる場合があります(ウチのプリンター)。

①レーザープリンターで、このデータを試しに印刷してみます。
②原寸印刷すると、見事にフチから5mmが消えました。

 総合すると、第三者に限りなく自分の希望の形で、コンビニでの印刷をして貰おうと思うのであれば、原稿の上下左右全てを5mm〜7mm内側に情報を収める必要があります。
 逆に言うと、ズレはせいぜい2mm以内で済むので、高性能だなと思います。

「用紙サイズに合わせる(ちょっと小さめ印刷)」の落とし穴ってなーに?

 原稿用紙5~7mm内寸とか面倒くさい!気の向くまま端から端まで書いてもいいじゃない!プリンターには「用紙サイズに合わせる(ちょっと小さめ印刷)」がある!
 と、気ままに制作すると、折本の場合大変な目に合います
 用紙サイズに合わせる(ちょっと小さめ印刷)は中央に合わせて縮小されます
 折る予定で引いたラインや余白も中心に向かって内側に縮小されるので、折るところに情報が入り込んだり、引いていたラインと違う場所を折ることになります。
 予定のラインで折ろうと思うのであれば、前述した通りに周囲を5mmずつ切り落とす手間が発生します。

③用紙に合わせる印刷すると、縮小されたので、折り線の位置がずれてしまいます。

お家で印刷の落とし穴ってなーに?

 家電でよく販売されているプリンターはインクジェットプリンターだと思います。
 こちらフチなし印刷も可能。スグレモノです。
 その上詳しいことがわからない人にも内容が全て印刷できるように色々工夫されています。スグレモノです。
 これがもう、最大の落とし穴なのですが、各ご家庭の機種やアプリの設定によって勝手に縮小や拡大が数%かけられる可能性がある。しかもそのパーセンテージは様々
 ……と、いうことです。
 例えば我が家のAcrobatやIllustrator、プレビューなどで印刷しようとすると、

  • 用紙サイズに合わせる

  • イメージ全体をプリント

  • 用紙全体を埋める

 という項目が印刷設定に出てくるのですが、これらを選択すると、

  • 用紙サイズに合わせる(92.29%)

  • イメージ全体をプリント(95%)

  • 用紙全体を埋める(97%)

 このようにそれぞれ違う縮小率で印刷されます。恐らく各ご家庭のプリンターの機種やアプリの違いで、もっと数値が違う可能性が予想されます。
 とは言え、どのご家庭がどの設定で印刷するかはその人次第です。
 というか、私が今までの経験で気がついたことは、大抵の人は自分がどの設定で印刷しているかイマイチ把握していない事です。機能としてあることを知らない人も少なくありません。
 どれほど綺麗に端から端までデザイン構成しても、いざ印刷する側が上記のような設定を利用していると、思っていたところに印刷はされないし折り目が来ません
 また、フチなし印刷を利用すると自動で拡大してしまうプリンターすらあるので、レーザープリンター以上に、予想外の仕上がりになります。
 とは言え家庭用プリンターの設定は、私にはどうしようもないので、「原寸」又は「実際のサイズ」で印刷してくれることをお祈りするばかりです。

私が原稿を作るにあたって気をつけたことってなーに?

 今回、それらを踏まえて私が折本制作時に気をつけたのは、

縮小がかかってもまあまあ見れるような構成
印刷した人が必要以上に悩んだり手間をかけずに済む

を心がけたデザインです。
 心がけてはいますが、実際に困る人がいないとは限らないのがミソです。
 ……が、困った方は教えてください。今後対処法考えたいと思います。
 で、何をどう心がけたかと言うと、

  • 折り線・カットラインは入れない。→縮小が掛かると折り線とラインがずれるから。折り方はネットで探してくださいという他力本願。

  • 断ち切り(フチなし)デザインは諦める。

  • 多少拡大縮小がかかっても大丈夫なように全ページ7mm内寸に必要情報を配置。

  • フォントサイズは6pt以上を使う。(嘘です、誘惑に負けて5pt使いました)

  • ネットプリントには必ず原寸で登録。→印刷する人が迷わないように

  • 念の為「原寸印刷でお願いします」と発信の際には必ず明記。→手癖で用紙内印刷を選択し直す人がいそう(私は手癖で原寸にする人なので)

の6点です。
 諸事情でDLデータは配布していないので、ネットプリントで何も弄らず印刷していただければ、私が想像している形でお手元に届く……はずです。
 ……だと良いな。

見本は1ページだけ色を付けていますが、全ページ同じ考えでレイアウト。恐らくアナログの漫画原稿なんかもこんな感じだと思います。アレには断ち切り用塗り足し3mmもありますが。
前回折本のP1、P8部分がこちら。重要な内容は一番内枠に納め、印刷欠けや折り線ズレがあっても良い部分は2mm幅にも掛けています。

私が作ったレイアウトをjpgで置いておきます。

 ここまで読んで、「へー、その設定試してみたい」と思われた方のために、私が制作時に使った「多分これで印刷する時あんまり困らないかもしれないレイアウト」をjpgで置いておきます。
 お使いのアプリにレイヤー機能があるなら、一番下に引いておいてもらえたらあたりになるでしょうし、なくてもロック機能があれば画像配置からの最背面で下敷きにすれば使えるかも…?
 手書きの方もA4サイズ原寸で印刷して貰ったら、下敷きになるのでは……と思われます。多分、恐らく、きっと。
 環境によっては使えないし、使わずに済むアプリなんかもあるんだろうなと思いますが、それはそれ……ということで。
 使った結果、問題だらけだった場合の責任は取れません。ご了承ください。
 因みにA4サイズ限定データです。他のサイズにしようとすると、%で縮小が変わるので、ズレてしまいます。
 他サイズが欲しい方が万が一いらっしゃいましたら、ご連絡ください。

余談ですが。

 某イベントで百を超える印刷をした私は、かなりウキウキで折本やペーパークラフトを切り折り穴あけしてましたので、他の方の作品が縁取りカットがあったところで、それはそれで良き、と思っております。楽しかったです。
 単純に、その時の自分のこだわりポイントがどこか、という話かなと思います。
 私は自分の作品サイズを統一したい派なので、今後もこのサイズ規定を守り続ける範囲内でデザインしていくと思うのですが、皆様は自分の好きなように制作してくださいね。
 ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。


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