【膵腫瘍】入院日記 前編
今年の2月に病院でいくつもの検査を受け「膵神経内分泌腫瘍」という診断がつきました。せっかくなのでそれから、入院、手術にいたるまでやその後のことを綴ってみたいと思います。もしお時間がおありでしたらお付き合いいただけますと幸いです。
* * * * *
2024年4月某日 入院日
10時に入院予約を取っていたところ、30分早く着いたにも関わらず受付の待合室は患者さんでいっぱいで、窓口で書類を受け取ったあと病棟へ移動できたのは10時を過ぎたころでした。病棟の事務の方が部屋や共有スペースの使い方などをレクチャーしてくださり、その後はパジャマに着替えてベッドでごろーんとしながらのんびり過ごしていました。手術後にあんな痛い思いをするなんてこのときは、知る由もありませんでした。
* * * * *
2024年4月某日 手術当日
朝6時過ぎ頃目が覚める。この日は手術日なので朝食はなく、普段朝食後に飲んでいる薬の服用のみでした。
8:30を過ぎた頃看護師さんがいらして、手術衣に着替えました。使い捨てのショーツの上に術衣を着て、血栓防止用の着圧タイツを履き、ガウンを羽織ります。タイツは結構きつきつなもので、看護師さんが履くのを手伝ってくださったほど。
病棟の待合室に行くと母と妹が来ていたので、両手を広げてばーんと術衣をお披露目しました。なにやってんだか(笑)
着替えの時とは別の病棟看護師さんに連れられて、別の階にある手術室まで歩いて向かいます。手術室までは二重のドアで隔たれていて、最初のドアのところで付き添い人とは一旦お別れして、病棟看護師さんと手術室の看護師さんとともに中へ入りました。
中に入るとそこは手術をされる方の待合室になっており、付き添いの看護師さんとともに数名の患者さんがいました。私はすぐに名前を呼ばれて、十数室あるうちのひとつの手術室の前にやってきました。そこはテレビのドキュメンタリーやドラマでしか見たことが無いような無機質な光景が広がっていて「緊張する?」と病棟看護師さんに聞かれてただ「はい・・・」と答えることしかできませんでした。
今日の手術を担当してくださる手術室看護師さんと麻酔科医の方がやってきて「よろしくお願いします」とごあいさつ。すぐに手術室へ案内され、寝転がるには少々狭く感じる手術台の上に横になりました。
頭上を見れば大きなライトが眩く、辺りには心電図モニターや様々な薬品が置かれた棚がある。そしてボサノバ調のリラクゼーション音楽が流れていました。SMAPの「夜空ノムコウ」とサザンの「THUNAMI」。
私の体には次々と管が繋がれていき、最初に点滴の為の針を左手の甲に刺されました(一番痛いとこですやん・・泣)その次に硬膜外麻酔をするため「おへそを見るように背中を丸くしてくださいね」と、猫のように背中を丸め、麻酔科医が指で確認した部位に麻酔の針が刺さります。最初はゴリゴリと変な痛覚がありましたが、次第に消えてゆきました。
そしていよいよ、執刀医である主治医の登場です。「よろしくお願いします」と挨拶を交わした後ゆっくりと点滴から麻酔薬が入れられていき、次第に意識が遠のいてゆきます。目が覚めたら・・・
体が縮んでしまっていた!👓🎀
(某探偵漫画のくだりやめて)
いえ、手術が終わっていました。時間にして約5時間。
目が覚めた時の感覚は不思議なもので、なんというか、タイムスリップを起こしたような感覚で、普通に寝て起きたときの感覚とは違うのです。手術の間の全身の記憶がない、というか。
目が覚めて割とすぐに母・妹と面会ができ、一言二言交わした後、私はHCUの病棟に移動したのでした。しばらくすると訳もないのに涙が溢れてきて焦りました💦痛みからなのか無事に手術を終えた安堵感からなのか、感情がコントロールできない感じになってしまいましたが、すぐにそれは収まりました。身体はというと心電図モニターに管が繋がれ、指には酸素濃度を計測する機器がつけられ、手の甲と背中の麻酔・尿道カテーテル・排液を出すためのドレーンの全部で4つの管が繋がれている状態でした。左手には何かあったときようのナースコールのボタンが握らされています。
このとき眼鏡をかけていなかったので壁にかかっていた大きな時計の文字盤しか見えず、ただひたすらぼんやりしながら時間が経つのを待っていました。
看護師さんは約1時間ごとに巡回にきてくださり、体位を変えたり、うがいをさせてくださいました。誤嚥防止のため水が飲めなかったため、まるで砂漠のオアシスのような待ち遠しい時間でした。
夕方、回診の時刻に主治医と他の医師がぞろぞろとやってきて「動かせる範囲でいいから体を動かして」と言われたので、頭を左右に動かしてみたり、指先でエアピアノをしてみたりしました。身体を動かしたら痛みが走るかもしれないという恐怖から、動かすことに慎重になってしまった。そしてなにより、体が重しをつけられたかのように重たい…!指先ひとつ動かすのも腕を曲げるのも一苦労なのでした。
(次回につづきます)