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川上大雅『著作権Q&A』玄光社、2020.

著作権について語りながらも「間違ってたらどうしよう」と日々おびえていたりする横山、条文だけでなく書籍にもあたろうと、ジュンク堂に行ってみた。いくつかの著作権法関係の書籍の中で、表題の一冊を購入。

2020年8月31日刊で新刊である。著者の川上大雅先生はこのご著書で初めてお名前を知ったが、私よりお若い弁理士・弁護士さん。「実際に発生しがち」という相談への回答をメインに、著作権法のざっくりとした説明、気を付けた方がいい著作権法以外の法律(商標法や肖像権、プライバシー権など)、フリーランスの料金の相場、トラブル発生の際の対処方法についても触れられている。

「…著作権法について最低限知っておいたほうがいいなと思うことをできる限りかみ砕いて、誤解を恐れずに説明をしていきます。法律を学ぶ人々や学者、弁護士など法律を仕事で取り扱っている皆さまからしたら正確性を欠くような説明も含まれるかもしれません。…」(19ページ、7-10行目)
この「誤解を恐れずに」というのはなかなか泣き所なのである。誤解を恐れてわかりづらくなる結果に終わる解説も多い分野で、条文を適切に取り上げつつ、その「読みづらさ」にも触れ、著作権法の難しさに悩む人にも寄り添ったスタンスで語られる点、とても好感が持てた。

個人的には「アイデアの盗用は著作権侵害にならなくともモラル上の問題もあるし、人としてダメだからここは気をつけてほしい」(96ページ)と言い切ってくださったことにとても心打たれている。自分が作り上げた世界観、舞台やキャラクターの設定などは、著作権法の保護対象にならないとしても、大事な自分の子供である。無断で使われて嬉しいはずがないのだ。

なお、この本はクリエイター向けではあるが、特にイラストレーター、デザイナー、小説家の方々のご参考になるポイントが多い。音楽やダンスに関わる方は、クリエイター向けの他の書籍をあたられた方がいいかもしれない。今後も、おすすめの書籍があれば、ご紹介していきたいと思う。

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