超短編小説:ルールマン④
~ルールマン第三章~【営業とは】
そう…あれは2年前の冬…。営業所の年間売上目標がかなり下回っている時…。営業マンは自分のノルマ達成にむけてピリピリしていた。春には優良顧客と数字を持った営業部長が異動してくることが決まっている。その為に現営業部長が少しでもと営業マンにプレッシャーをかけまくっている。いわゆる異動前のあがきということだろう。
そうなると、営業マン同志の切磋琢磨ではなく、営業マンごとの醜い蹴落としあいが始まる。当然のようにターゲットにされるのは売上目標未達成の営業マン。ターゲットにされて可哀想に思えるが、本来数字をあげるのが仕事である。だから、どちらともいえない。
営業部長は急遽、営業所で働く全ての社員を集めて説教をはじめた。「売上目標の為に真面目に働け!」と…「営業の為に尽くせ!」と…。そして、皆は呆れてうなだれた…。
んっ!営業の為に尽くせ?そして真面目に?
ルールマン発動!
お取り込み中すいません。少しお時間いいですか?営業部長の考えおかしくないですか?
-売上目標達成の為に「渇」を入れるのが私の仕事だ。黙って従え!だいたいお前が私に意見を言うのは百年早いわ!
やはり営業部長は面白い!久しぶりに極悪ルールマン発動するか!そして、社員全員の前で営業部長の間違いをただそう。
極悪ルールマン発動!!!
あらあら営業部長職最後の権力行使ですか?聞きましたよ、表向きは異動になってますが実際は管理職不適合での降格左遷だそうですね。社長にクビにしないでくれって泣きついたそうじゃないですか。そんな自己中が最後にあがいてみっともないですよ。社長の温情人事を無駄にしないほうがご自身の為ですよ!あなたは営業部長の器ではないんですから。
-うるさい!
まず、営業は売上をあげているから偉いという考え方そもそも間違えていますよ。これは営業の方も一緒です。営業というのは仕事を決めて数字をとってくるのが仕事。売上というのは納品確定後の入金が売上になるんですよ。数字から売上になるまでにどれだけの人に協力し支えられてるのかわかってます?営業は忙しい忙しいと連呼していますが全ての一連やっていませんよね。見積り・発注・配送・納品などの作業も丸投げですよね。自分1人で売上あげてると思ったら大間違いですよ。それで営業が給料いいなんてあり得ないですよね。日々感謝の気持ちがないから、この営業所は毎年数字があがらないんですよ。だいたい営業部長たるものがわかってないからしょうがないんですけどね。何のために会社の部署があるんですか?「売上=入金」の為にあるんですよ。みんなで助け合い協力してこその売上なんですよ。この売上は営業の売上ではないんですよ。それをあたかも営業部長が背負ってるみたいにふざけるな!あなたのやるべき仕事は売上をあげるのではなく、営業の数字をあげるのが本来の仕事。そして、営業部長自らも数字をあげるのが仕事。営業マンに営業のノウハウを教えるのが仕事。営業マンの教育をするのが仕事。一番大切なのは営業マンに営業の楽しさや達成感を教えてあげるのが仕事。そして、回りの支えてくれる仲間に感謝してお礼を伝えるのが営業部長の仕事。回りの仲間は真面目に働いているんですから。営業部長は何一つできてないですよね。真面目に働いていないのは営業部長ですよね。だから、降格左遷されても同情の余地なし…というか、みんなあなたがいなくなること喜んでいると思いますよ。次の営業部長は心を持った人で伸びてきている方ですから……。異動までの間、次のステージで出会う人達の為に…そして、ご自身の為に精進したほうがよろしいですよ。
-すまん……わるかった。
営業部長はうなだれた……。
ここからは、私の領域ではない。
最後に…私にではなく、全員に謝り全員感謝するべきです。……とお願いして……仕事に戻った。
NEXT……⑤
第一話:ルールマン①【エピソード】
第二話:ルールマン②【遅刻からの欠勤】
第三話:ルールマン③【契約社員とは】
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