超短編小説:ルールマン⑤
~ルールマン第四章~【休憩とは】
そう…あれは4年前の秋…。配送部門が朝早くから慌ただしく配達の積み込みをしている時だった…。配達先は件数もあり、場所は日々変動し、時間指定もある。対応できているのは配送努力の賜物である。勿論、人によって配達の差はあるが、皆一生懸命お客様に迷惑かけないように奮闘している。
中堅社員は積み込みが終わり、出発にむけての段取りをしている時だった。営業マンから「やばい、伝票回すの忘れてた!帰りでいいから午前中に届けて……。」その時、配送リーダーが吠えた!「自分のミスなんだから自分で行け!こっちには配送段取りがあるんだ。方面が一緒だからって気軽に渡すな。」
営業マンは一旦引き下がった。よっ!配送リーダーいいね!配送メンバーを守った!中堅社員は配送リーダーに「ありがとう」を伝え「何かあれば行くよ」とコミュニケーションをとっていた。
その時だった……。倉庫部長が現れた!しかもあの営業マンが後ろにいる。チクリやがったな!倉庫部長は配送リーダーに「こいつの依頼行ってやれ!」と指示。営業マンはニヤリとしている。配送リーダーはうなだれた。
んっ…!行ってやれ…!
ルールマン発動!
お取り込み中すいません。少しお時間いいですか?倉庫部長おかしくないですか?
-お客様の要望だから臨機応変に対応するのが普通だろう。
では、営業マンは倉庫部長にどう言ったか教えて頂けますか?
-先程急ぎの連絡が入りまして、どうしても早く欲しいと言われたんですが何とか午前中まで時間を頂きました。しかし、配送リーダーに断られました。助けて下さい……。だよ。
やはり、倉庫部長は営業マンになめられているんですね。しかも、部下である配送リーダーを信用せず意見も聞かずに…。よくそれで管理職がつとまりますね。あの営業マンはこう言ったんですよ。「やばい、伝票回すの忘れてた!帰りでいいから午前中に届けて…」と!配送リーダーは配送メンバーのことを考えて段取りを組んでいるんです。それを営業マンのミスの為に、戻り時間や休憩時間を奪うことに気を使ってるんですよ。凄くメンバーのことを考えているんですよ。それに比べて…あなたは営業側の人間ですか?営業部長が怖いんですか?接待受けてるんですか?もしや賄賂貰ってるんですか?部下はどうでもいいんですか?配送メンバーもどうでもいいんですか?事故おこそうが、お客様に迷惑かけようが、部下の労働時間をのばそうが、倉庫・配送の休憩時間がなくなろうがどうでもいいんですよね。自分の休憩時間さえとれれば。おっと、まだありましたよ。営業さまに媚び売り続けないといけないんですよね。大変なお仕事ですね。羨ましい。
-馬鹿にしてるのか?
はいっ!図星でしょう!本来なら嘘つきな営業マンを怒りますよね。倉庫・倉庫・倉庫部長に嘘つきましたからね。そのとばっちりがこちらに向くことが怪しい。早速、営業部長にも確認させて頂きますね。営業部長はどちらの味方なんですかね。楽しみ~!あなたの仕事は倉庫・配送メンバーを守ることだ!皆の安全を気にするのが仕事だ。休憩時間の重要性がわかっていない。嘘つき営業マンのように自由時間があると思わないで頂きたい。少しのミスで重大事故になるのはわかっていますよね…。わかってますよね…若い日のあなたが起こした重大事故の実体験があるんですから。それを忘れてたなんてことはまさかないですよね?二度と起こさないために誓ったあの時の気持ちは……どこにいったんですかね?やるべきこと・やらなければいけないこと思いだしましたか?それを伝えて実行すること、働きやすいように部下を守ることがあなたの仕事だ!
-すまん……思い出した。
そして、倉庫部長はうなだれた。
ここからは、私の領域ではない。
最後に…私にではなく、配送リーダーと中堅社員に謝るべきです。……とお願いして……仕事に戻った。
NEXT……⑥
第一話:ルールマン①【エピソード】
第二話:ルールマン②【遅刻からの欠勤】
第三話:ルールマン③【契約社員とは】
第四話:ルールマン④【営業とは】
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