死にそう、と思った瞬間。
ああ、もうダメだ。
そう思った瞬間、「走馬灯」のように記憶が巡ったことがある。
そんなこと、現実としてあるのだろうかと思っていた。
でも、実際「その時」になると、
「ああ、今世はこれでおしまいだ。今から振り返りをして来世に備えるんだな」
みたいな、不思議な諦めの感覚に襲われるのである。
私が命を落としそうになったのは、交通事故だ。
夜中の交差点。私は黄色い点滅の信号を確認し、交差点に進入したが、タイミング悪く、猛スピードの居眠り運転の車が赤色の点滅で一切減速せず、むしろスピードを上げて近づいてくるのが分かった。
止まれなかった。
止まってたら、もっと大惨事だったかもしれないし、車も無傷だったかもしれない。
それは、過ぎた事なので分からないが、横から来た車は、ドーンと私の車のサイドにぶつかり
宙を舞って、天井から着地した。
舞っている間、カーナビから当時流行ってた曲が聞こえる。
それをバックに走馬灯が走るのだ。
不思議と嫌なことは1つも流れなかった。
母の顔や、夕焼けみたいな、穏やかな気持ちになる、一生をぎゅっと凝縮した映像だ。
思考とは違う。フッと上に行くような感覚。
終わった、と納得した。
しかし、私の記憶は今世に戻ってきた。
車は天井から着地し、ぐしゃぐしゃの横転だったのだが、なんと、擦り傷程度で助かったのだった。
ほんの、少しガラスが腕をかすめた程度。
私は、事故相手に「あなた一時停止です」という余裕さえあった。
警察には、30センチずれてたら…と言われたが、きっと私は死ぬ筈だったのだと思う。
だけど、何か生きる理由があったのだ。
だから生かされたと思う。
走馬灯は、私に神様の力のような、そういう見えないものがあることを教えてくれたように思う。
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サポートの使い道は、思考の整理整頓のために使用したいと思います。主に文具や、お供のコーヒーに使いたいです。