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病気いちご育成日記

はじめに

これは園芸初心者が、明らか病気をもっていそうな苗を購入し、遊び半分・本気半分で育てていった記録。


2013年9月12日

行きつけの園芸店に苺が並びだす。

ハーブコーナーだったところに苺が並び始めたので、ふと気になって苺について調べだす。苺もコツさえ掴めば1つの苗で継続して楽しめるらしい。そして春の苗より秋の苗(9月~10月に出る苗)を購入するほうが失敗しないらしい。苺を育てていたおばあちゃんにも電話で相談してみると「不器用なおばあちゃんでも育てられるくらい簡単。」と言われたから、買う決心をする。


2023年9月27日

女峰または宝交早生という一季成り苺が育てやすいらしく、宝交早生を2株購入(てか残りこれしかなかった)。

苺は購入時の苗選びが最も重要で、葉っぱに斑点があるもの、ランナーが枯れているもの、クラウンが小さいものは買ってはいけないという情報を得つつも、その3点セットが揃っているものしかなかった。

↑購入当初、余り物には福があると言い聞かせる私。先に結果から言うと、余り物に福などない。


2023年10月5日

苺は高さのある深鉢で育てたほうが良く、苺ポットという高さのある苺専用の鉢も売られているくらいなんだけど、実は苺1株につき土容量3L確保できる鉢であれば実はできるらしい。かつ宝交早生はプランター向きな種。別に苺をずっと育てていく気はないので、汎用性の高そうな長方形のプランター(100円均一)を購入。サイズ18×42×16cm。これで土6L確保です。

この時、写真撮り忘れていたけれど、根に酸素が届きやすくなるように、ハンダごてでプランターの底〜側面にかけて穴を空けた。あと、苺は根腐れしやすいらしいので、鉢底石を購入して敷いた。

買った時より状態が悪化している。

土は、ハーブ類を育てたときに使用した培養土、赤玉土、元肥。ハーブの時より赤玉土は増やしておいた。多分5:4.5:0.5くらいにした。

本だとイチゴをはじめとする野菜の栽培に使う土として、赤玉土:堆肥腐葉土:バーミキュライトを4:4:1:1のやり方や、赤玉土:腐葉土を6〜7:3〜4かつベランダならバーミキュライトを加え、水はけが悪い時はパーライトも加えると良いと紹介している。が、私は持っている土だけでなんとかした。

植え替えるときにヤスデの死骸が何匹か出てきた。農薬使われたのかな?とか思ったけど、考える不毛すぎて一瞬で考えるのをやめた。


2023年11月6日

謎の芽

この頃はまだ、ミントがどのような繁殖の仕方をするか知らなかったので、ミントかと思っていた。そしてとりあえず放置していた。でも調べてみると、謎の雑草が生えたら抜いたほうがいいらしく、抜いた。


2023年11月29日

11月下旬に一週間ほど福岡へ。植物たちが枯れる恐れがあったので、保水性の高い腐葉土を追加。虫対策でネット保護。土の乾燥対策&寒さ対策でココヤシファイバーを敷いてみた。一週間後、家に帰ったら、弟が水やりをしていてくれていたらしく、もつべきものは弟だなと思った。


2023年12月21日

苺の栽培と品種改良に携わっている宮崎大輔さん(農学修士)が現在進行形で育てている苺の動画(家庭菜園のほう)を比較すると、私の苺の育つスピードが遅すぎて調べなおした。9月、10月の促成栽培も重要ポイントであることを知った。9~10月で花芽分化をさせておけば、12月に苺が収穫できていたらしい。

苺育てる前に絶対見た方がいい動画(宮崎大輔さんのセミナー)、置いておきます。


2024年1月17日

光合成したほうが苺は生育や収量の増加や糖度向上などの効果が認められるらしいので、陽に当てようとネットを除去してみたら、花が枯れてワロタ。速やかにネットの中に戻しといた。夜冷短日処理メソッド(セミナー動画に説明あり)だと、環境制御と暗闇が花芽分化に影響あるらしいけど、マルチング施してない今できることがネットに戻すことだけだった。

↑本来は花が縁の端でぶらんと垂れ下がるのだが、鉢の縁に押しつぶされているから、鉢のキワキワの高さに植えた方が良かったのかな?と思ったけど、そうでもなかった。

おばあちゃんからはマルチングするよう言われたが、私の信念としてお金を使わない・なるべく物を増やさないガーデニングをやっているので支柱は買いたくないことを伝えたら、「じゃあ針金ハンガーを分解して支柱代わりにしたらどうだろう」と提案され(この80代、頭いいな・・・)と感心しつつ何もしていなかった。でも、最終チェックしている今日8/28に知ったが、プランター苺は『イチゴの株は乾燥に弱いため、苗の植え付け後土の表面へワラを敷き、乾燥で株が傷むのを防ぎましょう。』とか『土の中のうどんこ病の菌が株や果実につきにくくするため、ワラなどでマルチングします。』とか書かれていて、ココヤシファイバーを敷いているのもマルチングと呼べるらしくて、プランターに適したマルチングは実行していたっぽい。


2024年2月6日

雪降ってて嬉しくて朝4時から散歩した。神社とか行ってきた。マンホールを撮影した。楽しかった。苺は、ネットの上に雪が積もり、ネットが潰されて気の毒な姿をしていた。それは撮影してないのでマンホールの写真でも眺めててください。

土星っぽくて可愛いね


2024年2月13日

いびつな苺、出来てきた

あまり気にしてなかったけど、この頃から左側の株の葉に斑点が出始めてるね・・・。

右側の株。うまく花にまで育たない。

なんだか炭疽病という病気の症状に似ているけれど、プロじゃないから何とも言えない。


2024年3月

3月!私の誕生月!
家族旅行した。にゃん。

このあと、母親とバチクソ大喧嘩して、実家にあった私の荷物が全部千葉に送られてきたから大掃除していた。3月はガーデニングどころではなかった。


2024年4月14日

一番最初にできた綺麗な苺、カビてしまう。ネットとココヤシファイバーにもカビ菌の付着待ったナシなので破棄。もう苺全体にもカビ菌広がっているんだろうけど、行く末を見守りたくて育成を継続。

てか、”ベランダ ガーデニング 防虫ネット”で検索してヒットする商品で、四角いやつは気を付けた方がいい。口コミ見て評価高かったから、私は100円均一のランドリーボックスと洗濯物ネットで自作したんだけど、これ鉢底部分が水に塗れて常に湿気るから、カビの温床になる。半年に1度使い捨てする覚悟なら買っていい商品。鉢底部分をカッターで切れば良くねと思ったけど、その類似商品の口コミみたら、風で飛ばされるとか、底の隙間から結局虫が入ってくるらしい。四角い防虫ネットは考えてから買おう。以上、愚痴でした。

希望の星がちらほら。


2024年4月20日

綺麗に育ってきてて勝利を確信。


2024年4月26日

しかし、それ以降は大きくならず。この大きさのまま熟したので収穫。これ食べて大丈夫かな?と思いつつ食べた。大丈夫じゃなかった。


2024年5月17日

左側の苺の株がシオシオしてきた。あと育っている苺が全部奇形。
もう花芽分化は終わっており、その後、食べれそうな苺は育たなかった。

病気だと奇形になるらしいんだけど、5月の苺なので3月開花の花が関係していて、となると3月に放置していて受粉作業していなことも奇形の原因になるらしい。

苺苗をよく観察してみると土から小さなヤスデが出てきては潜り込んでしている。初めて苗を買ったときの生き残りがいたのかな?捕殺せずそのまま育ててみることにする。


2024年6月30日

期間は空いて、ほぼ7月。状態の悪い葉(茶色くなってきたもの)はすみやかに除去したほうがいいので、除去していたのだが、そうしているうちに写真撮る前に左の株の葉が全滅していた。

そしてやっと本格的に病気について詳しく調べだす私。
調べていくうちに知ったけど、灰色かび病をはじめ、炭疽病も、うどんこ病も、萎黄病も、カビ菌が原因らしい。苺を食べる前に調べてほしかった。

罹っている病気を知るには土壌病害の簡易診断法が手っ取り早いらしい。しかし光学顕微鏡を持っていないので、何の病気かは断定しきれず。

ただ、だいたいの病気は、越冬して暖かくなってくると活発になり、水媒伝染したり、土壌感染するらしい。右側の株もすでに感染してそうだけど、しかし謎に綺麗な姿を保てているので廃棄せず、土を入れ替えることにする。

苺は根腐れしやすいので乾燥気味で育て、水やりは土が乾いてきたタイミングがいいらしいんだけど、とはいっても夏場は朝に水やりしても夕方には土がカラカラに乾燥して水不足状態。私はリモートできない仕事なので、土が乾き始めたなってタイミングで水やりすることができず、苺育てるには相性の悪さを感じる。夏でも1~3日放置して大丈夫なハーブ類のすごさを痛感。


2024年7月3日

にょきにょき伸びてくるランナーから漂う「自分まだやれます、やらせてください」という姿勢。

とはいえ病気苗の方向にむかって伸びているから最悪です。

孫株生えてきそう?

子株は親株の病気を引き継ぐんだけど、孫株は病気の影響を受けないらしい(ネット情報。本では見てない)。苺、繁殖力あるね。


2024年7月7日

大葉に炭疽病は見られることはあるが、ミントとバジルは炭疽病にかからない・・・?私がミントとバジルの病気の調べかた下手くそなのか・・・?
炭疽病の水媒伝染による広がる範囲とかの論文を調べていると、伝染していてもおかしくないんだけど、大葉に炭疽病の徴候が見られてないのは不思議です。まだ助かっているのやもしれん。

というわけで、今さらだが、大葉コーナーと苺(と、別にどうなっても構わない大葉)コーナーにわけてみる。

大葉コーナー
苺と、わけありあり大葉のコーナー(多分炭疽病にかからないミントとバジルもこっち側へ)

鉢を移動させると必ず鉢の底からヤスデがこんにちはしてくれる。人間の家に入ろうとはせず、走り回って植木鉢の下に潜り込む。無害すぎる。


2024年7月10日

地面に垂らしていたランナーがコンクリートの熱さにやられて葉焼けしていた。なので、しょうがなくカビ土の上に避難。病気苗周辺の土壌がカビだらけになっているんだけど、土いじりするほどの時間はない。


2024年7月20日

こんなところで根付いてしまった
嫌な予感してきた


2024年8月2日

やっと左側の病気苗の除去し、土の入れ替えをした。苺の土の中はヤスデだらけになっているであろうと思っていたけど、ひっくり返すと全然いなかった。あれれ・・・?

↑調べたらクラウンはわりと取れるものと判明。

↑これは植え替える向きをミスっている様子。
クラウンの向きで前後を把握するものと思ってたから、諦めて直感で植えてしまった。しかし、もともとはランナーの向きで前後を確認するものであった。私は初めての苗購入時にランナーが枯れてたから、クラウンを目印に植えてたんだけど、それが例外だったのをすっかり忘れていた・・・。

もっとランナーを伸ばして孫株まで生やしてみたかったが、旅行がさしせまっていたので子株を生やすことにした。最初はランナー繋がっているver.と繋がっていないver.で経過をみようとしたが、気が変わってランナーは全部切った。

ところで、この小さいもの(左側)はクラウン?実はこの期におよんでまだクラウンをよくわかっていないかも。葉の斑点をみて炭疽病を疑っていたが、このコルク質なクラウン(?)を見ると疫病の特徴に似ている。まあ炭疽病も疫病も糸状菌なので太陽熱土壌消毒法が有効なことに変わりない。

右側のでかいほうは病気苗の残骸です。コブツノゼミみたいなシルエットでかっこいいな。

↑これはまだ湿気ている土があるので、もう少し乾燥させてからふるいで不要なものを取り除いてマルチする前段階。

ウイルスだと太陽熱土壌消毒法で防除できず、熱湯消毒が有効らしい。苺の退化現象にはいろいろな病原が複雑にからまっていることも多いらしくて、ビニール袋に湯入れておくやつもやっておこうと思う。太陽熱消毒が終わったら来年の大葉を育てる土として使う予定。大葉の種、今130粒もあるからね。


2024年8月9日

今年の夏は気温35°前後と猛暑続きですが、ゲリラ豪雨も多いので、雨の当たりやすい位置に植木鉢を配置。苺苗の向きは間違えたときのまま。

子株は水溜まったらすぐ根腐れしそうなので雨があたりにくいほうへ配置。お気持ち1~2日分くらいの水を溜めて、家を出た。


2024年8月19日

帰宅したら枯れていた。今までありがとう。


2024年8月28日

今日が本当の意味での最後のお別れ。19日以降水やりしてなかった。

子株の葉の色が緑を保っている!?その生命力もすごいが、Googleの写真検索をかけると葉の周辺だけが茶色いのは葉焼けではなくチップバーン(カルシウム欠乏)がひっかかったのもびっくりした。言われてみれば、石灰を一度もあげたことがなかった。石灰を調べてみると肥料の5大要素の1つだった。私、3大要素しか与えてなかったわ。

親株の根が真っ黒。この姿、なんかの論文で見たぞ・・・!

これ最初に写真撮ってなかったやつ。100円均一のプランターにはんだこてで穴あけたところね。ここに鉢底石を入れることで、酸素を入りやすくしたんだけど、もっと穴開けていいと思った。


まとめ?

・苺の植え替えは10月~12月と記載されていても、お勧めが10月な理由がわかった。苺の病気は基本的に冬は活動性がおちるため12月に購入する場合は病気が隠れてしまい、見分けがつかなくなるので危険。

・育てている途中で病気苗だとわかったら即廃棄しよう。


おわりに

苗、プランター、ココヤシファイバー、保護ネットなど合計1000円以下で1年遊べるのはコスパが良かった。
虫1匹すら齧ってくれない苺しか育たないことで、形が良くて美味しい苺を育てている農家さん、私のおばあちゃんの凄さが改めてわかった。ちなみに私のおばあちゃんは畑を3つ持っていて、野菜を育てて売っている趣味ガチ勢だけれど、当の本人は野菜嫌いで毎晩カラムーチョ片手に晩酌している。夜に電話すると100%酔っているから、夕方までに電話かけないといけない。そんな姿も、今ではもう尊敬。なんとか良いタイミングを見計らって、結果報告の電話をしたいと思う。


謝辞?

病気苗がすぐだめになることなく、花を咲かせ、実を実らせ、子株が育つという苺のライフサイクル一周分を楽しむことができたのは、様々な有識者の知識を取り入れた結果だと思う。いっそ早いうちに枯れてくれてもよかったかもしれないが。参考にさせていただいた方々、ありがとございました。


参考文献・参考資料など

全国農業協同組合連合会肥料農薬部 編:よくわかる 土と肥料のハンドブック 土壌改良編:農山漁村文化協会:2014
平沢正,大杉立 編:農学基礎シリーズ 作物生産生理学の基礎:農山漁村文化協会:2016
石川成寿 著:イチゴ炭疽病の病原菌,生態ならびに環境に配慮した防除技術開発:栃木農試研報,:2005
岡山健夫 著:イチゴ炭そ病菌Glomerella cingulata(= Colletotrichum gloeosporioides)分生子の飛散および障壁による防除効果:日植病報:1994
藤田智 著:はじめてのベランダガーデニング:創英社/三省堂書店:2007
深町貴子 著:コンテナで育てるハーブと野菜:西東社:2018


福島県ホームページ:苺の病害

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/433111.pdf

島根県:いちご 要素欠乏:カルシウム欠乏と思われる症状

岐阜大学:福井教授の施設園芸学

日東エフシー株式会社:イチゴ・チップバーン | 栽培情報

深町貴子:GardenStory【プランター栽培】イチゴを元気に育てるための土作りと、植え付けの方法

アルスコーポレーション:イチゴ(いちご・苺)をプランターで育てる5つのコツ

株式会社カクイチ:代表的な石灰肥料、それぞれの特徴と使い方

マイナビ農業:石灰肥料とは?使い道や効果、使用上の注意点について農家が解説

いちごの子株、孫株って?|増やし方を簡単ステップで解説

株式会社東商:おいしいイチゴを育てよう ~プランター編~

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Daisuke Miyazaki【家庭菜園のいちご2023年10月】いちごの良い苗と悪い苗の見分け方とネット通販の注意点【てしまの苗屋】


他、宮崎大輔さんのチャンネルはめちゃくちゃたくさん見ました。葉かき作業の写真を1枚も撮っていない、SNSに一切記録していないので割愛しましたが、葉かき作業は宮崎大輔さんと農家さんのYouTube動画を参考にしました。

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