カリカリ梅事件(嫁いびり事件簿)
こんばんは。眠りです。
今日は姑との懐かしい日々をまずは一つ、書き綴ってみようと思います。その名も「カリカリ梅」事件。青酸カリ…ではありませんが、同じくらい毒性の強い話になります笑
10年以上が過ぎた今考えても「やっぱりあれはひどいよな」そう思うこともまあまあ沢山ありましたが、こうした記憶を引っ張り出して共有することで、「うちはまだマシだ」「ああ、同じ経験をしている人がいるのか」そんなふうに、世の嫁の皆さまには溜飲をおろしていただけるきっかけになったら幸いです。
眠りもかつては、同じような経験をしている諸先輩方の話を聞いて、嗚呼、自分だけじゃないんだなあと、随分と勇気づけられた過去があるからです。
あなたのすぐ隣りの嫁もあなたと同じように苦労しているのだということを知るだけでも、気持ちが幾分かラクになるはず。姑という存在に難儀する、世の全てのお嫁さんに送るエールとして、ここにしたためてまいります。
では。
全国の嫁に向けて、いくぜ!!
世の中、良い姑に当たるだなんて、宝くじ一等を当てるより難しいんじゃないかと個人的に思うのですが、世の嫁業に携わっている皆さまにおかれましては、いかがお考えでしょうか。
眠りは静岡県から大阪府へ嫁いだのですが、結婚前のエピソードを本題の前に少しご披露しておこうと思います。眠りの姑の「人となり」がこれだけでよくわかるはずですから…(予備知識 大事)
当時大学生だった眠りは「ノストラダムスの大予言」に従い、就活などしていたら地球滅亡(1999.7の月)までに間に合わないからと、一人せっせと婚活をしていました。(いわゆる「永久就職」ですから、ある意味これだって立派な就活ですよね?)
のちに夫となる同級生の彼とは、兵庫県西宮の大学と東京の大学との遠距離恋愛でしたが、卒業なんて待っていたら到底間に合わないので毎週末、関西の彼の元に通い詰め、結婚への準備を着実に進めていっていました。その流れでよく、実家である大阪にも遊びに行きました。
眠りは大学こそ東京でしたが、出身は静岡県です。そう、都会ではなくて、はっきり言って田舎です。
そんな毎週末デートの最中、彼と二人で彼の家に向かっていたところ、向こうから姑と、その数軒隣りに住む、生活ぶりが裕福だと噂(姑からの情報)の奥さんが二人して歩いてきました。ひと目見ただけでも、華のある、明るくさっぱりした感じの、綺麗な奥さんでした。こちらから「こんにちはー」と大きめに挨拶をすると、姑が口火を切ってその奥さんに私のことを紹介してくれました。
「この人(眠りのこと)、うちの息子のお嫁さんになる人なんよ」
学生で、当時はまだ結婚すると口約束していただけの、籍すら入れていない状態でしたが、「嫁」として紹介してくれたことに眠りは内心、「わぁ、認めてくれてるんだぁ」と嬉しく思ったものです。ところがそれも束の間の話で、次の瞬間、大きな「はてなマーク」をぶちかまされることになりました。
きっかけは、そのお隣りの奥さんのこの質問でした。「どこのご出身の方?」
私に向かって聞いているわけですから、私が「し(ずおか)…」と言いかけたのですがその途端、その倍の声の大きさで、矢のような速さで被せるように、「東京!この人、東京!!なっ東京やろ!!??」
え…東京????
東京って…まだ数年しか住んでませんけども…
しかし、有無を言わせぬものすごい圧と、ここで「違いますよ。静岡ですよ」とかなんとか言ってしまったりしたら、近い将来まちがいなく自分のお義母さんとなる人に、取り返しのつかないような大きな恥をかかせてしまうのでは、という若さゆえの殊勝な気持ちが優ってしまい、ついには否定することもできず、曖昧な笑みを浮かべることしかできませんでした。つまり「東京出身であることを否定できなかった」わけです。
これは私にとっては「嘘をついた」に等しいことでした。だって、通っている大学がどこであれ、出身地を聞かれたらその出身の地名を普通は言いますからね。東京の大学に行ったからといって、出身地まで記憶が書き換えられてしまう阿呆なんて、果たしてこの世にいるのでしょうか。
横にいた彼はどういうわけか、聞こえてるのか聞こえていないのか、この女3人のやりとりに一切関与する素振りがありませんでした。今思えば、こういった、姑のよくわからん展開というものに慣れていたからかもしれません。
その後、実家の母にこういうことがあったんだけど、静岡って言っちゃいけなかったのかなと聞くと「失礼な人だねえ」と笑っていましたが、眠り自身、静岡出身であることを隠され、あろうことか、たった数年過ごしているだけの大都会・大東京が出身地となるだなんて「すんごい下駄」を履かされてしまったことに、勝手に「共犯者」にされてしまったような、いや〜なモヤつきが残ったのでした。
これが、結婚前の姑の姿です。さあ、姑で苦しむ世の嫁業に携わる皆さま、今後の展開が楽しみになってきたのではないでしょうか。。。
そうして月日が流れ、眠りは無事、結婚を果たしました。ノストラダムスの大予言前には、「女として生まれたからには全ての機能を使ってから死ぬ(=出産する)」と決めていたので、婚活を終了したことはすなわち次の妊活ステージへ歩を進めることができるということで、ほっと安堵していたのでした。姑、という懸念点はノストラダムスの地球滅亡の前には鼻くそみたいなものにしか感じませんでした。(つまりなめてたw)
といっても結婚した時はまだ学生の身分だったので、夫とずっと一緒にいられたわけではなかったのですが、結婚したことでこれまで以上に夫の実家に立ち寄る機会が増えていきました。
そうして迎えたある朝のこと。
大阪の家は眠りの育った静岡の家と違って「洋食派」でした。眠りの実家は和食派なので、米に味噌汁、おかずが3−4品必ず出てきました。今思えば実母の仕事ぶりには頭が下がりますが、とにかくそれが普通と思って眠りは育ってきました。
大阪では洋食といいましたが、とにかくラクをしたい姑の性格から、「火を使わない」というのが鉄則の朝ごはんメニューになっていました。8枚切りの食パン各1枚ずつ、ヨーグルト、コーヒー、フルーツ。フルーツは大抵丸ごと出てきました。みかん、りんご、何でも丸ごと切らずにボンとテーブルに置かれていました。それも各自で1個ずつという感じです。
ここでタイトルにある「カリカリ梅」事件が起きたのです。
姑は、眠りの結婚前は物分かりの良い人として、嫁である眠りに接してきましたが、籍を入れてから「え、本当にあなた同じ人ですか」と聞いてしまいたくなるほどに豹変しました。
「おい、うちの名に恥じない良い嫁であれよバカタレ」こんなセリフが聞こえてきそうな態度になったのです笑
戸惑いました。なんか悪いことしたかなあ?と思うほどにダメ出しをされたり、「うちのやり方はこうなんや」と強く言われたりしました。
こういう、唐突で訳のわからない理不尽な怒り方というのは実父がよくしていたので割と慣れていて、戸惑いつつもスルー、何言われてもその場で肯定はするけどスルー、を繰り返して繰り返して、特にストレスにすることもなくやり過ごしてきたのでした。
こういうことがあるから人生というのは、中には不幸にも毒親を親に持ち、苦しむ方がおられるけれど経験としてはアリかもしれないよねと思ったりするのです。つまり、模範的な親にしか感謝できない、などということはなく、毒親でもまた感謝に値することもある、ということです。
父よ、わけわからん理不尽な怒りを、小学生の私や弟にようぶつけてくれてマジ、ありがとうな。(皮肉ではなく本心でね)
脱線してしまいました。
そんな「なんちゃって洋食派」の大阪の家である朝起こった事件。その日はフルーツに「桃」が出てきました。もちろん、包丁で切って食べやすくなどしていない、丸々、産毛のついたままの丸ごとの桃が、一人一個、です。
でも、何かおかしいのです。
食べ頃の桃って、薄桃色ですよね?白と桃色の、そして触ると柔らかいはずです。ええ、確かに、姑、舅、夫、そして夫の兄弟が座る位置に配られた桃はまさに食べ頃のそんな桃でした。
けれども、眠りの前に置かれた桃だけ、なんだか色がおかしい。梅干しとして漬ける前の梅、みたいな色、そう、うぐいす色なんです。そしてめちゃくちゃ硬い。明らかに眠りの桃だけが違うのです。
配ったのは姑です。
(この桃だけどこから探してきたんだと思う?それ考えると笑えます)
男たちはテレビの前で横になっていたり、新聞を読んでいたりで、台所にいるのは姑と眠りの女2人だけ。その中で眠りは何度も、自分の目の前にある桃と、それ以外の桃を見比べたり、触ったりしていました。あまりに、あまりに違いすぎて、何かの間違いなんかな?と思って何度も確認していたのでした笑
その間も、姑はなんとなしに眠りの様子を窺っていますが、何も言ってはきません。眠りも姑に直接聞くようなことはしませんでした。いつもの「よくわからん理不尽なこと」なんやろなと薄々感じたので、聞いたとてどのみちシラを切るのだろうと想像できたからです。シラを切られたところで、解決はしませんから、聞くだけ無駄。そう思いました。
そうして眠りは、大きな声で夫に向かってこう言うことにしました。「ねえ、私の桃、おかしいから変えっこしてもらっていい?」
夫に向かって言ったようにしましたが、これは本当は姑に向かって言ったものです。「私はこんなカリカリ梅みたいな桃を黙って食うほどおとなしい嫁じゃねぇぞ」
女同士の権力争いが静かに台所で展開していました。呑気な男たちはそんなこと、知る由もありません。
そうして夫の柔らかい桃と、眠りの前のカリカリ梅を交換したとき、姑は自分の息子の前に置かれたカリカリ梅を素早く、かつ無言で、自分の柔らかい桃と交換したのでした。
はい、確信犯〜
嫁には平気でも、自分のかわいい息子にはさすがにカリカリ梅なぞを食わせることは忍びなくてできなかったのですね。フハハハどうだ。私の勝ちだ。
静岡県民を舐めんなよ。
あんたのゴリ押しした大都会の東京出身者なら、もしかしたらお行儀よくカリカリ梅であっても泣きながら食ったかもしれないけどな。こちとら家康様の遠州の出よ、気性は結構荒いんだ。喧嘩仕掛けるなら、もっと腰据えてこいやウラァ!!!!
以上、
「カリカリ梅」事件簿、終わり。
眠りが負けて大泣きした回もございます笑。また小出しにしながら、世の嫁の皆さまと共有し、励まし合いながら、綴っていきたいなと思います♪
それでは、最後までお読みくださって、ありがとうございました。