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裸の付き合いとはこういうことか
「今日もおふろやさんに行こう!」
最近、5歳娘は近所のスーパー銭湯にどハマり中。
平日も土日も関係なく、「おふろやさん行こう!」が口癖になり、今月は皆勤賞。
こんなに通う人いるの?ってレベルで(ママ友に話すとみんな驚く)、すっかり常連になってしまった。
最初はただお風呂に入るのが楽しいだけで、まわりのお客さんには無関心。
おばさまたちに話しかけられても、もじもじしながら「……こんにちは」とかろうじて挨拶するくらい。
そんな娘がちょっとずつ変わったきっかけは、ある日、海外から旅行で来ていたお姉さんとの出会い。
たまたま同じお風呂に入っていたお姉さんが急に娘に向かって、
「You are the cutest in the world!」(世界一かわいい!)
と言いながら、手でハートを作ってニコニコ。
突然の「世界一かわいい」宣言に、娘は一瞬フリーズ。
けど、なんとなく照れながら、ニヤっと笑った。
それがうれしかったのか、そのお姉さんはさらに満面の笑み。
そのあとも何種類かあるお風呂場で何度も遭遇し、
最後は脱衣所でも一緒になり、お姉さんが「かわいいからあげます」とジュースをサプライズでご馳走してくれた。
娘氏、メロメロ。
「また会えるかな〜」なんて言いながら、幸せそうにジュースを飲んでいた。
***
別の日。
お風呂上がりの脱衣所で、0歳の赤ちゃんが大号泣。
ふと娘と目が合い、「あ、どうしよう」みたいな顔をしてたけど、手に持っていたお風呂屋さんでもらったおもちゃをそっと差し出した。
毎日通っている甲斐あって、たくさんのおもちゃをポンポン出す。
すると赤ちゃん、ピタッと泣き止む。
「助かりました〜!」と赤ちゃんのおばあちゃんが喜び、またしてもジュースをご馳走になる娘。
「またジュースもらったよ!みんな◯◯ちゃん(娘)のこと好きなのかな!?!?」と聞くので、
「んー、そうかも!」とこたえると、
娘氏ニヤリ。
自己肯定感爆上がり。
***
また別の日。
娘よりひとつ大きい女の子が「一緒に遊ぼう!」と誘ってくれて、すぐに仲良しに。
一緒にいた女性がお母さんかと思って声をかけたら、「え? 私もさっき初めて会って、ママじゃないです。」と驚きの返答。
どうやら、その女の子はおばあちゃんと来ていて、おばあちゃんはサウナの常連さん。
サウナ中は、たまたま居合わせた優しいお姉さんが3時間くらい遊んでくれてたらしい。
え、そんなことある?
結局、おばあちゃん、女の子、お姉さん、私、娘の5人でお風呂を出て、
「せっかくだしごはんでも」と、おばあちゃんのお誘いで併設のレストランへ。
そしてまたしても、ご馳走になる娘。(今度は娘氏かき氷、私はアイス)
「ねぇ、おふろやさんってすごいね!こんなことある?」
「んー? なかなかないよ!」
***
娘の社交性が爆発したのか、お風呂屋さんの空気がそうさせるのか、
気づけば知らない人たちと自然に仲良くなって、お風呂の時間がどんどん濃くなっていく。
普段の生活ではなかなか出会わない人と、一緒にお湯に浸かる。
お互いの名前も知らないのに、ちょっとした会話をしたり、助け合ったり、ごはんをご馳走になったり。
ああ、これが「裸の付き合い」ってやつか。
そう思いながら、今日も娘と「おふろやさん」に向かうのであった。