天気が良く心地好い日曜日に気持ち悪くなった。
散歩していると、なんかのイベントに出会った。即席の舞台が設置されてあり、ヘソ出しの女の子達が踊っている。顔はみな晴れやかで楽しそうである。自信満々に踊っているものの、動きはまるで揃ってない。
脳が勝手にプロのMVと比べ始める。完成度が低く、中途半端なデキだと感じた。するとだんだん、ダンスが無意味な動きに思えてくる。無意味で中途半端なのに、彼女らは自信満々で楽しんでいる。そんな素人舞台を食い入りながら眺めている人らが阿呆に見えた。その内の1人だと思われたくなくて、急いでその場を去った。
再び気持ちよく歩いていると、歌が聞こえてきた。交差点付近で6人組の女の子達が路上ライブをしている。周りに群がっているのは、キチャナイおっさん達が多い。どうやら中には熱心なファンもいて、同じTシャツを着た数人は異様に盛り上がっている。
足を止めて眺めていると、小汚い若おじにチラシを渡された。マネージャーなのか、有能なただのファンなのかは分からない。
彼女らは2つのマイクを周し合って歌っていた。恥じらいながら歌う子もいれば、堂々と力強く歌う子もいる。そんな中、右端の子だけは雰囲気が違った。その子の顔は、ぽっと紅く上気している。感極まっているらしい。震わせながら歌う声が俺の耳を通じて琴線に押し入ってくる。思わずうるっとさせられた。うっとうしい。こんな素人に感動する自分が情けない。強いて冷静を保った。
素直に聞ければよかったな、と今になって思う。まだまだ未知が多い己の感情について、深く知れるチャンスを逃してしまった。
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