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風に揺れる花の美しさは勁さだということ

 私も思春期の頃、「自立」ということについて、あれこれ人並みに悩んだことがありました。

 今から思うと完全に麻疹のようなものだったと思いますが、高校生の頃に、それまでべったりだった父親と無理して口をきかないようにするなどという、かわいいこともやってみました。

 やるとなったらとことんやるのが私の性格であることは、すでにみなさんにバレてると思いますが、このときも徹底していました。

 ある日突然、昨日まで一緒にけらけら笑っていたのに「自立せねばならん!」と思い立って、問答無用で一切口をきかなくなったのですから、父もさぞかし困ったことでしょう。

 3か月ほどやりました。

 だんだん飽きてきたのと、もともと、何か気に入らなくて口をきかなくなったわけではなくて、自立のために父を利用していただけなので、なんだか毎日つまんなくなりました。

 最初こそ戸惑っていたものの、父はそういう私のことを見抜いていたらしく、ある日「一方的にしゃべることにするぞ」という前置きを挟んでこんな話をしてくれました。

「なあ、お前。自立した女性というのは確かに強くて魅力的だが、自分にできないことを人に頼れる女の方がもっとつよいんだぞ」

 ぎくり、としました。

「自立」って言葉をいきなり使ってきたからです。ばれてました(爆)。

「なんでよ」

 観念して私は久しぶりに口をききました。照れ隠しに口を多少とんがらかしてしゃべった記憶があります。

「お前のよく読んでいる哲学の本をいっぱい出している出版社に、勁草書房ってのがあるだろ」

「うん」

「勁いっていう字を書くよな」

「そだよね」

「そういうことだ」

 敵もさるもので、話はこれで終わりました。


 私は自分の部屋で父の言葉を思い出していました。

 声にすると同じだから気が付きませんでしたが、父は「自分にできないことを男に頼れる女の方がもっと勁いんだぞ」

 と言ったわけでした。

 それ以来私の心の中に「勁さ」とはなんだろうか、ということが一つの解決すべき言葉として刻まれました。


 久しぶりのこの言葉を華やかに想起したのは、私がnoteを始めてほんとまもない頃にフォローさせていただいた はなこ さんのnoteを拝見したときでした。

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 あれこれ気を回して はなこ さんをご紹介するのはやめておきます。

 だって、はなこ さんご自身がこんな風に書いてらっしゃるからです。

私は、200mを歩いて疲れて意識朦朧の状態になって寝込んでしまう程のうつ病の重度障害者です。ほかに例示しますと、テレビを観ていても、テレビのブルーライトや激しく変わる画面の動きて脳が疲弊して疲れて意識朦朧の状態になって寝込んでしまう有様のうつ病の重度の障害者です。

 勁いな、と思いました。

「なあ、お前。自立した女性というのは確かに強くて魅力的だが、自分にできないことを人に頼れる女の方がもっと勁いんだぞ」

 思い出しました、父の教えを。あの言葉があったから、私は はなこ さんと出会えたのだな、とはなこさんの知らないところで思いました。

 はなこさんは、人に頼るのが上手だということをいいたいのではありません。でも父の言葉が思い浮かびました。

 はなこ さんは自分の病気をを無理やり克服しよう、自立しようという方向で克己心をみなぎらせているわけではありませんでした。

 誰かを鼓舞するような文章が上手い人もいっぱいいます。でも、はなこ さんの書くものはそれと全然違うのに、読むとなんだか静かな力が自分に湧くのを感じます。

 勁いという文字に草を加えると、父が例に出した「勁草書房」という出版社の名前になります。社名の来歴は「疾風知勁草」(疾風に勁草を知る)です。

 多分その強さは、耐震構造のインテリジェントビルのようなものです。本当の強度を持った高層ビルは、震度の高い地震の揺れを自分自身で吸収してしまいます。

 確かにその強度は、大きな揺れでポキンと折れてしまうような強さではなく、勁いという言葉が当てはまると思います。

 はなこ さん。

 素敵な名前だとあらためて思いました。

 花を支えている勁い茎が、きれいで可憐な花の後ろに見えた気がしたからです。

 私はばかでしたね。

 かよわい花のままだと強くなれないと思いつめて、3ヶ月父と口を聞きませんでした。「疾風に勁草を知る」ということをまったく知らなかった。

 普段はきれいな花だけがみえている。でもそこに疾風が吹いた時、その可憐な花はまっさきに吹き飛んでしまうように見えて、実は嵐の後も何事もなかったかのように、美しく咲いています。

 疾風があって、はじめて人は、花のほんとうの美しさを知るのかもしれません。

 勁さとは、可憐な花の美しさの根源なのかもしれない。

  私は少しでも、高校生の頃に比べて勁くなれただろうか…。

 分かりません。

 でも、少なくとも はなこ さんという勁い花が美しく咲いているのを見つけることはできました。

 はなこさん、そこに美しく咲いていてくれてありがとうございます。


 *このnoteは「【決定版】これが私のイチオシnoteだ!(有料note対応)」寄稿作品です。
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【追記】
この記事公開の直後、はなこさんからサポートお礼のご丁寧なメッセージと、はなこさんのマガジン「はなこ(HANAKO)を紹介してる記事 」https://note.com/9999999999/m/m9541245c9213 に追加してくださったという通知が届きました。

はなこさん
ありがとうございます(^o^)。
ご丁寧なメッセージ痛み入ります。
こちらこそ、今後ともお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

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