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ねえ、10000m見ない?

箱根駅伝では通過予想時刻の何時間も前から場所取り合戦が始まるのに、記録会では1周400mしかないあの狭い空間内ですら多くても二重になるかならないかという寂しいほどの人口密度。

確かに、その辺の道路を封鎖して開かれる駅伝やマラソンであればさほど興味のない人でも「近所が何やら騒がしいからちょっと出ていくか」と軽いノリで観戦できるのに対し、陸上競技場となるとわざわざ電車とバスを乗り継いで出掛けていく必要があります。

さらに、ほとんどの競技場は僻地にありますので(※偏見)、競技場内がそれほど人で溢れかえらないのも当然と言えば当然です。

かく言う私も、初めての駅伝観戦が大学1年生の時の箱根駅伝であったのに対し、初めてのトラック観戦が社会人1年目の関東インカレ、初めての記録会がその年の八王子LDでした。

つまり、私はまだまだトラック観戦初心者なのです。


では、ただのミーハーオタクである私が、一体何を楽しみにして僻地の(※偏見)記録会にまで足を運ぶようになったのか。
選手の関係者でもなく、実況系ツイッタラーでもなく、写真を撮るわけでもなく、フォーム分析も記録管理も何もしないのに行く意味はあるのか。

これらの問いに対する答えとして、ここではミーハーオタクから見た10000mの魅力を3点だけ紹介させてください。


1.足音が聴ける

ランナーの足音って規則的で美しい、そう思いませんか?

とはいえ聴く機会は多くありません。

TV観戦では実況の声が入る、箱根駅伝では自他の声援の音量が大きすぎる、関東インカレではスタンドからの観戦であるため選手が遠い。

それが記録会ならなんと!

選手たちとたった数レーンほど離れただけの位置から、あの規則的で迫力のある足音を聴くことができます。

特に1周目~5周目くらいの集団走の足音は圧巻です。



2.応援している人を観察できる

「あの監督の檄を生で感じてみたい」

駅伝ファンなら一度はこう願ったことがあるはず。

その夢、記録会なら叶います。

特に10周目以降の、集団がばらついてきたあたりから、選手個人に向けた熱い声を聴くことができます。

雨の日だと、熱が入るあまり傘を投げうって選手を鼓舞するコーチの姿が拝めることもあります。


余談ですが私は昨年12月の平成国際大記録会にて、麗澤大学の選手たちの仲間への檄の熱さに胸を打たれました。

脚を大きく開いて、手を口に添えて、声を枯らしながら叫ぶチームメイト。
その声援に応えるかのように、苦しそうな表情でも一切足の動きを緩めない選手。

チームとしての美しさのようなものを、私はそこに感じました。

大人になってからもうTVの特集でしか観ることのできないと思っていた「青春」は、意外と近いところで繰り広げられているのです。



3.推しを増やすチャンスである

これは長距離ファンの宿命ですが、推し選手のDNSやDNFというものは往々にしてあります。

ありとあらゆる選手を網羅している方には無い悩みかもしれませんが、私のようにさほど選手に詳しくないミーハーオタクは、知っている選手の出走が少ない組だと自分の応援の出番がない気がして悲しくなったりもします。

そんな時、私の心の中のマリー・アントワネットはこう言います。

推しが出走しないなら、推しを作っちゃえばいいじゃない!

というわけで、10分でできる「推し」の作り方をご紹介します。
こちらなんとたったの3ステップ、どの記録会でも実施できるものとなっております。


★みこ流「推し」の作り方★

①なんとなく惹かれる選手を見つける
表情でもフォームでも所属チームでもなんでも良い。
好きだな、と思える選手を見つけます。
極論ですが、走っている人は全員が魅力的なのでここは簡単です。

②その選手のゼッケン番号をチェックする
ロードではこれが難しいのですが、なんせ25回は目の前を通り過ぎてくれるので、簡単です。

③スタートリストを確認してその番号の選手の名前を覚える
個人的にはここが一番の鬼門だと思います。
なぜなら漢字が読めないことがあるから!
(※フリガナがないスタートリストが存在するのです)
しかしながら私たちにはスマホという文明の利器がついています。
当該選手の所属チームの公式HPやSNSアカウントまでたどればこっちのもんです。

10000mでは約30分間も一つの組のレースが続くので、上記の一連の動作をしても応援に差し支えありません。
私のようなミーハーオタクにも優しい競技なのです。
ありがたき幸せ。


さて、
「記録会に興味はあるけど楽しめるか自信がない」
「お目当ての選手が出走しない可能性だってあるのに、わざわざ遠いところまで出向くのが嫌だ」
と思っていた方へ。

改めて、一言だけ言わせてください。

「ねえ、10000m見ない?」



あとがき

最後になりましたが実は当記事、友人の「ねえ、800m見ない?」が無ければ生まれませんでした。
こちらもぜひ読んでみてください(勝手に宣伝)



最後までお読みくださりありがとうございました。
それではまた、お元気で。

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