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マイ・セカンドライフ 6

6 冬うつ

 「定年うつ」というのがあるそうですが、暇な時に時折うつ病の傾向が出ます。特に、雪国に生まれ、生活していますが、冬が嫌いで「冬うつ」になります。自作俳句もあるほどです。「雪国や水墨世界わびしくて」、「大寒や憂いに閉ざす白魔来て」。 
 「冬うつ」・冬季うつ病(ウインター・ブルー)は、季節性感情障害ともいわれます。通常のうつ病と同じく、気分の落ち込み、集中力や意欲の低下、疲れなどが見られます。特徴的な症状は過食と強い眠気です。通常のうつ病は、食欲がなくなって体重が減り、眠れなくなります。冬季うつ病は逆で、例えば食欲は一日中、菓子パンやチョコレートのことばかり考えるほど強くなるのです。体重の増加は平均三・五~五キロ、十キロ以上のケースもあるという。患者は女性に多いそうです。症状は十月ごろから始まり、三月には快方に向かうという。これが二年以上続くと、冬季うつ病の可能性が高くなり、進行すると、夏は軽いそう状態になり、買い物をし過ぎたり、普段よりも社交的になったりするという。
 冬季うつ病の原因は、日照時間や日の出から日没までの日長時間の短さに関係しています。目が感じる光の刺激が減ると二種類の脳内ホルモン、セロトニンとメラトニンの分泌量が変化する。 精神を安定させるセロトニンは減って脳の活動が低下し、うつ状態を引き起こす。一方、セロトニンの生成に必要な糖質を取ろうと、炭水化物を中心に食欲が強くなる。睡眠を促進するメラトニンは増えて、睡眠時間が長くなる。このため、緯度が高く、曇りや雨、雪の日が多い地域で起こりやすい。北欧ではよく知られた病気で、日本でも北海道や東北、北陸地方の日本海側に多く見られるということです。
治療法は、明るい光を浴びる「高照度光療法」が有効とされています。専用の照明器具で人工的に光を浴び、体内時計を正常に戻す。器具は五千ルクス以上の青い光を出すものが良い。目の網膜に届かないと効果がないため、正面に器具を置いて本を読むなどし、なるべく午前中に三十分から一時間ほど浴びるのがいいそうです。
 国立精神・神経医療研究センターの三島和夫部長は「精神科の外来では、二十人に一人は冬季うつ病といわれているが、普通のうつ病と誤診され、抗うつ薬を処方されて終わってしまう」と言います。高照度光療法は診療報酬の対象外で、導入しているのは一部の医療機関に限られています。専用の照明器具は、インターネットなどで二万~四万円で購入できます。「冬うつ」など心にきく指圧のツボがあるそうです。一つ目は「合谷(ごうこく)」。手の親指と人差し指の間くらいにあります。もう一つが、「百会(ひゃくえ)」。いわゆる頭のてっぺんにあるツボで、押すとちょっと、他の場所よりやわらかく感じやすい場所です。基本的なツボの押し方は、①指で三秒~五秒押す。②指を離し、同じ時間休む。③五回ほど繰り返す。ポイントとして、ツボを押す強さはハンコを押す程度。くれぐれも、押しすぎには注意してください。ツボを押すと、最初痛みがあるかと思いますが、「がまんできる範囲で」続けると、それが和らいでいくといいます。
 冬季うつ病が悪化して室内に引きこもってしまう前に、自然光を利用するのも一つです。治療に必要な明るさの五千ルクスは、曇り空や、晴れた日中の窓辺と同程度とされています。朝はカーテンを開け、午前中に外出して日光を浴び、夜更かしをしないなど、規則正しい生活を心がけることが大切です。         (つづく)


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