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マイ・セカンドライフ 27
「教養考」7 『学問こそが教養である』
教養 7『学問こそが教養である』(渡部昇一、扶桑社 育鵬社)
「知の巨人」渡部昇一の三回忌に合わせて刊行された本書には、未発表原稿や講演、対談などが収められています。編者は江藤裕之。
「教養とは単なるノウハウではない。教養を身につけるためには真摯(しんし)に学問をし、そして自分の頭で考えなければならない。そこから自らの行動規範が生まれ、おのずと品格も出てくる。」
まな弟子による渡部昇一の教養論の描写は見事です。恩師の思想を的確に凝縮しています。「学校はすでに知的な場ではなくなった」。本書で何度か繰り返される先生の慨嘆は、戦後教育への反論でもあり、揺るぎない確信です。そもそも平等主義は基本的人権であって、能力は平等主義には当てはまらない。出世のための「エリートコース」は否定すべきだが、エリート教育は必要だという渡部昇一の持論と重なります。
特に本書の教育論は、学習指導要領で「ゆとり教育」が声高に言われた時期に発表されたものです。 (つづく)