クラシックの演奏会録音、ホールさんでも録音してくれるのにわざわざプロに頼む意味とは
こんにちは、作編曲家/レコーディングエンジニアの三國です。
今日は記事タイトルの話をしようと思います。
オーケストラや吹奏楽、合唱などが演奏会をおこなうとき、通常「⚪︎⚪︎市民会館」とか「⚪︎⚪︎音楽堂」とかいう名前がついている、自治体が保有している公共のホールを借りることが多いと思います。
そしてこれらのホール、だいたいの場合において「三点吊り装置」というものがついていて、デフォルトだとホールが保有しているマイクが吊られています。
そもそも三点吊り装置とは
ホールの天井の上手、下手、中央の三箇所からワイヤーが伸びていて、そこにマイクを吊り下げることができる仕組みです。今どきのホールであれば、リモコンがあってそのリモコンを操作することで高さや位置を動かすことができます。
このワイヤーはマイクケーブルの役割も兼ねていて、三点吊り装置の機種にもよりますが2〜6本分のマイクの信号を伝送することができます。
XLR端子というコネクタを備えているマイクであれば基本的になんでも吊ることができます。
録音業務は基本的にホール音響担当さんの仕事ではない
ホールの音響担当さんの仕事は公演を滞りなく回すための様々な業務があるわけです。
三点吊り装置などの録音に関する設備は「ないと録音したいときに困るでしょう」ということを想定してホール設計時に導入されているものというだけであって(指揮者のうしろに何メートルも高さがある巨大スタンドを立てるわけにはいかないので!)それらの操作は音響担当さんの本来の業務には含まれていません。基本的にはそんな暇ないのです。
なのでもし録ってもらった内容に満足がいかなくても、極端な話万が一「録れていなかった」なんて事態が起きても業務外のことをお願いしてしまった側の自己責任なのです。
録音で差が出てくる要素
たとえ同じホール、同じ団体、同じ演奏だったとしても
・マイクをセッティングする位置
・マイクなど機材のチョイス
でかなり音が変わってきます。
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