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タイムマシンに乗ってきたおばさん⑥
小学校の高学年になると頻繁に保健室から呼び出された。
迎えに行くと、保健室のベッドで必ず深く眠っていた。
夜更かしをして、朝無理矢理起きて学校に来るのだから体調が悪くなって当然だと怒りが湧いてくる。
当時はケータイもなく、ゲームを夜中までしているわけではなかったが、なぜ起きられないのかと腹がたった。
休日に、電車で朝から出かける日も必ず貧血を起こしてベンチで休んだ。
駅員室のベッドで休ませてもらったことも何度もある。
気持ちが悪くて倒れ込んだ子のミニスカートから出た足を駅員がじっと見ていた時、何もかもがイヤになった。
はい、今日はここまで!
この時はまだ怒りの方が大きかったね。
多分思い通りにいかないことにイラついていたんでしょう。
パート先にかかってくる保健室からの電話も頻繁だと辛かった。
いつも周りに謝っていた。
保健室の先生にいつもすみません。
パート先の店長にお先にあがります、すみません。
荷物を持ってきてくれたお友達にごめんね、ありがとう。
心配してくれる担任の先生にすみませんでした。
すみません、すみません、うまく子育てできなくてすみません。
ってアホー!自分責めはやめんかーい。
だれが辛いんですか?
いちばん辛いのは誰ですか?
あなたが頑張っても悩んでも関係ないのよ。
子どもに辛いね、なんでだろうね、大丈夫よ、って言ってあげられたら良かったんだけど。
それより自分が辛かったんだよね、知ってるよ。
夜に寝て、朝起きるってことを自分も子どもの頃にできたし、周りの子たちが普通にできてることをできないってどういうこと?って理解不能でほんとに参ったよね。
子どもは、小学生の時はほんとに頑張ってたよ。
中学生になるとますます体がキツそうだった。
なかなか思えないけど、小学校なんか休んでも良かったかもね。
いや、思えるわけない。
でも、タイムマシンに乗ってきたから言っちゃうけど、ごめん、これからだよ、苦しいのは。
私が未来から言えることは、だけど、それも、ほんとに素晴らしい経験だったってことよ。
今はありえないと思うだろうけど。
タイムマシンに乗ってきて、
いろいろ言うおばさん。
53歳のわたしから、40歳のわたしへ。