予約制を周知したその後⑥ 8月終了!
8月に全国の自治体で実施される、児童扶養手当の現況届受付。対面での受付を国から求められるという条件の中でいかに効率よく業務を進めることができるか。そのチャレンジとしてオンラインによる予約制を導入しています。
前回はお盆明け。今まで受付をお盆期間中心で展開していた反動なのか、8月前半よりも人出は少し減りました。が、なんやかんやで飛び込み(予約なしの来庁)で埋まるという奇跡的な展開でした。
今週(8月26日~30日)は8月の最終週。人間の心理として締切ぎりぎりに駆け込みが大量発生する時期です。加えて日本列島に非常に動きの遅い台風がやってきて、「計画運休になったら休める!どうしよう!?」とドキドキしながら過ごした1週間でした。
概要を振り返りつつ、今後の取組について考察していきたいと思います。
概要
遅刻が増えた
予約は15分の枠をオンラインシステムを使って先着順でとっていただくシステムです。毎時00分、15分、30分、45分にお越しいただくというスタイルになっています。
この15分という時間はそれなりに余裕を設けてはいますが、今週は上記時刻に現れないという人がグッと増えました。おかげで1日のうち数回は「お見えで無いようですが来られますか?次の枠の方が来たらそちらを先に御案内しますね。」という電話を入れないといけなくなり、これはかなり業務の妨げになりました。ひどいときは3回連続ということもありました。
次回からは5分遅れたら自動キャンセルにする等の対応を考えたほうが良さそうです。少なくとも受付用に置いている職員が電話もするという業務フローに改善します。
なんとかやりきれた
これは職場の同僚にただただ感謝なのですが、電話での問合せや窓口に飛び込みで来られた方に対し、一言めに「予約していますか?」と言っていただけた効果を実感しました。
「時間がない」と食い下がられるケースも正直あったのですが、心を鬼にしながら「『無理を言ったら聞いてくれた』という悪しき前例を作らないようにしましょう!」と繰り返し訴えたことが効いたのか、予約専用窓口で100%受けきることに成功しました。
「悪しき前例を作らない」という言葉は、前例踏襲の考えが強い公務員の世界で新しいことにチャレンジするのに非常に使える言葉だと実感しています。
評判は良かった
業務上、ひとり親家庭の方と接することの多い部署の方と話していたときに、「あるお母さんが『予約制は待ち時間が無くなって良かった』って言っていましたよ」と言ってくださいました。これはすごく嬉しかったです。
どうせならこの声を組織の中枢に届けてほしい。そう思った私から「ぜひその方に『市民の声』に投稿いただくようお願いしておいてください。」と伝えました。一人の称賛が行政にとってはものすごく力になることをぜひ知っていただきたい。
改めて学んだこと
この1か月、いろんな学びがありました。雑感めいたまとめになりますが、振り返ってみたいと思います。
17時~19時台の来庁ニーズの高さ
これは台風の対応時に改めて認識しました。私が勤務している地域は、当初8月27日の火曜日に台風襲来が予想されていたものの、結果的に30日の金曜日までもつれこみました。
金曜日は19時まで窓口の延長を実施しており、遅い時間帯に予約が入っている方の安全も考慮すると、別の時間に振り替えたほうが良さそうだなと思い、前日(木曜日)の午後2時頃から順にお電話を入れていきました。
誰が来るのかあらかじめわかっていることに加え、電話番号も把握できていたので、こういった連絡ができたのもオンラインでの予約制の大きなメリットです。
金曜日の午前中を案内してもなかなか動いてもらえなかったのですが、木曜日の17時以降であればほぼ100%すんなりと移動してくれました。予約した方々も少し不安だったようで、連絡が入ってきたことを非常に喜んでくださいました。
このやりとりの中で、夕方なら窓口に行けるという方が多いことを実感しました。9時~17時という役所のスタイルは時代に合わなくなっていることを実感しました。11時~19時のほうが市民サービスという点では良いのかもしれません。
ログインのハードルを下げることが大切
今回予約制を実施した結果、オンラインで予約をしてくださった方は全体の6~7割くらいだったと思います。簡単なチュートリアルの紙を案内に同封しただけでそれだけの方が動いてくださったのはありがたかったです。
反対に予約なしで来られた方は1~2割程度。ほとんどの方が一言めに「面倒くさい」と言っておられました。QRコードを読みこむだけなのですが、最初にオンラインシステムにメアド等を新規登録するという事が思った以上に負担のようです。
残る1割は手続未済なので、オンラインにすぐ対応できた人は7割、対応できていない人が3割といった感じでしょうか。
これについては今後、もっと早いタイミングでの働きかけを強化しようと思いました。例えばお子さんが生まれたことで児童手当の手続きで窓口に初めて来たときや、離婚に伴う各種手続きの相談で窓口に来られたタイミングを利用して、そのタイミングで新規登録まで済ませてもらうという感じです。そうすれば次に窓口に来るのを予約で来てもらうとか、オンラインで申請を済ませるというところまで進めるので。
こんな感じでオンラインのリテラシーを地道に高めていくことが今後の行政課題だと感じました。
恐れずにやってみることが大切
「予約制にしたらいいのに」と口で言うのはたやすいですが、実際に自らの業務に導入するとなるとそれなりに気を遣いました。
「窓口にいきなり来て、ごねられたらどうしよう」
「スマホを持っていないという人がいたらどうしよう」
「予約したことを忘れていたらどうしよう」
など、心配になる要素に限りはありませんが、恐れずにやってみるということも大切だと学びました。
やってみるからこそ今回の記事のようなデータも取れるわけで。
Voicyでの学びも活かせた
日々のVoicyで、人手不足や供給制約ということを学んでいたこともあり、実際に窓口で予約制にした趣旨を私から説明させていただいた方もいました。
「鬼時短」でリーダー自ら欲を語れという話がありましたが、私もそのスタイルを実践しました。
私から述べたのは主に次の2点です。今後も言い続けます。
「人手不足が進んでいる中で今までのやり方を続けていると、いつか誰かが倒れてしまう。そんなことにはしたくない。」
「悪しき前例を作らない」
こういったリーダーのあり方を学べていたことが、今回のオンライン予約制の成果につながったことは間違いありません。また、私を信じてくれた上司や同僚にもこの場を借りて感謝申し上げます。
ありがとうございました。