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公務員が経験する、児童手当あるある5選

「福祉の増進と職員負担の軽減との両立をめざす」が最近のテーマとなっている、みきやと申します。関西在住の地方公務員です。

2024年10月に実施された児童手当の拡充から2か月が経過し、12月は拡充後最初の支給月になります。私が勤務する自治体でも5日に振込を実施しましたが、これに伴っていくつかの問合せの電話がかかってきました。

おそらく多くの自治体においても児童手当の担当者が体験した、もしくはするであろう「児童手当あるある5選」について書いていきたいと思います。


児童手当あるある5選

第5位:口座ちがい

児童手当の振込日にかかってくる電話の大半は、「手当が振り込まれていない!」という話から始まります。

そこから担当者はお話を聞いていくわけですが、時々あるのが自分が登録した口座を間違って認識しているというもの。「A銀行って登録したのに振り込まれてない」というお話を聞き、申請書を調べてみると全く違う銀行だというケースがあります。これが口座ちがいです。今回の記事では第5位にさせていただきました。

同種の問合せで、「児童手当が振り込まれる口座を教えてほしい」というものもあります。

第4位:「金額が少ない」という問合せ

今回の拡充は主に次の3点が変わりました。

  • 所得制限が撤廃された

  • 18歳(高校生年代)以下が支給対象になった

  • 2か月に1回支給されることになった(前は4か月に1回)

このため、9月分までは月25,000円の支給額だった方で、10月以降は月50,000円になっているというケースが存在します。そして振込のタイミングが4か月に1回から2か月に1回になりました。

上記の場合、拡充前に25,000円の4か月分で10万円支給されていた家庭が今回50,000円の2か月分で同じく10万円になります。額面だけを見ると金額に変更はないのですが、支給間隔が短くなっているので実際は2倍になっています。

が、金額が同じであることから「金額が増えていない」という問合せをいただいたケースがありました。額面だけで判断しないよう注意しましょう。

あとは3歳の到達により減額となるケースもあります。実際に直近の振込額よりも少なくなっているので、役所に問合せがくる原因のひとつになっています。

第3位:口座名義変更により振込できない

これはほぼ毎回といっていいほど発生するケースです。特に離婚直後に児童手当の受給者変更をし、離婚直後は離婚前の氏名で口座登録をし、振込日直前に離婚後の名義に変えることで発生します。

12月の振込の場合、11月末に銀行への処理依頼を行います。そのタイミングで登録されている口座に振込をするわけですが、振込日直前に名義が変わると金融機関としては「そんな口座無かったよ」という形でエラー報告を上げてきます。

私は上記処理日直前に氏名変更の届出をされた方に「振込日までは名義を変えないでね」というお手紙をお送りしたのですが、残念ながら名義変更をしてしまい、振り込まれなかったケースを今回も体験しました。

名義変更のタイミングによるエラーを経験している公務員が全国に数多くいらっしゃると思います。

第2位:9時過ぎに「振り込まれていない」という問合せ

児童手当の振込処理がされるタイミングは、金融機関によってバラバラだと聞いています。9時ジャストに振り込まれることもあれば午後になることもあるそうです。

今回も始業直後に電話がかかってきて(本当に電話が多いんです、、、)、振り込まれていないとの問い合わせがありました。この手のケースは何度も経験しているので、もう少し待ってから通帳記帳してほしい旨伝えて通話を終了しました。

この電話を経験されている方も多いのではないでしょうか。

第1位:「10月に振り込まれていない」という問合せ

今回の拡充に伴い、ダントツに多かったのがこれです。

児童手当は後払いなので、10月に拡充した分は11月分と合わせた2か月分が12月に振り込まれます。これについては市外転出等の例外を除き、日本全国共通です。このため12月の支払い前に何回も10月分が振り込まれていないという問合せをいただきました(電話で、、、)。

高校生年代が支給対象となったことで児童手当が「復活」した御家庭も多いかと思いますが、久々の手当で忘れてしまったのか、「10月に振込が無かったんですけど」という問合せがめちゃめちゃ多かったです。児童手当が後払いだという事って、あんまり浸透していないのかもしれませんね。

どうすれば防げるのか

こういった問合せへの対応により、業務が中断されるのは見えないコストだと感じます。人間は一度途切れた集中を取り戻すのにはかなり時間を要するため、できることなら問合せの電話がもっと減るような取組が必要です。

そこでいち公務員としてですが、こうやったら防げるのでは?と思ったことを書いていきたいと思います。

対策①:何月分の振込かを明記する

金融機関の口座に振り込まれる際、「○○シ ジドウテアテ」のような記載になっている自治体も多いことと思います。もしもコストがかからないのであれば「○○シ ジドウテアテ ○ガツブン」のように何月分の振込なのかを記載するようにすればいいのではないかと思います。

毎回の振込のたびに後払いだと認識されるので、「10月分が振り込まれていない」という問合せを受けることも相当減るのではないかと考えています。

対策②:振込先を公金口座のみにする

振込先をいくつもの金融機関に分けているがゆえに「思ってた口座に振り込まれていない」という問合せにつながっているのだと思われます。

これに対しては、人によっては反発が大きいかもしれませんが、振込先を公金口座のみにすれば「振込先を教えてほしい」という問合せも無くなるのではないかと予想されます。

対策③:オンラインの活用

紙ベースの申請の場合、申請者自身が申請書のコピーか写メをとっておかない限り、手元には自分が申請した内容が残りません。これも「振込先を教えてほしい」という問合せにつながる大きな要因と考えられます。

オンライン申請にすることのメリットは、申請内容のデータを申請者側も保有することができること。オンラインで自分の申請内容が確認できれば、自分が登録した金融機関をいつでも確認できることになるので、わざわざ役所に問い合わせなくても済むようになります。

オンライン申請を思い切って進めてほしいところです。

最後に

どこまでできるか分かりませんが、事前に振り込まれる予定額を示すことができれば、市民の方にとって分かりやすい行政になるのではないかと思います。

いずれにしても「役所に問い合わせないと分からない」という情報の非対称性を積極的に解消していくことが、市民の方にとっても公務員にとっても良い行政になることは間違いないと思っています。

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