参加型パフォーマンス《隔たりに触れて》
2022年3月13日(日)から3月20日(日)に、Uptown Koenji Gallery にて 古川実季 個展を開催した。本記事は個展の中で行った参加型パフォーマンスについてまとめる。
この参加型パフォーマンス《隔りに触れて》では、「あなたとわたしの間にある”隔り”とは何なのか」という問いを元に、非接触、非言語的に対話をする内容となっている。
第一部「隔たりを通して存在を確かめる」
こちらは、参加型パフォーマンス《隔たりに触れて》第一部「隔たりを通して存在を確かめる」のアーカイブ映像である。
針金、人の皮膚の感触に近い樹脂である人肌ゲル、ビニールなどを使用し制作したオブジェ。その内側と外側で、古川と参加者がコミュニケーションを行う。古川の手にはアクリル絵の具がついており、参加者と触り合った箇所にだけ、絵の具がついていく。
最後に、内側でメッセージカードを作って渡し、パフォーマンスは終了となる。
第ニ部「隔たりを通して存在を確かめる」
第二部では、第一部にて使用していたオブジェを古川と参加者が同時に解体していく内容となっている。
解体の際は基本的に一対一で行い、素材が一枚剥がれると、古川がメッセージが書かれたカードが入った封筒を渡し、次の参加者へ交代していく。当日は1時間半かけて、10人の参加者と解体作業が行われた。静寂な会場にビニールが重なり剥がれていく音が鳴り響く。
力強く剥がす、優しくめくる、一方が強く握りしめたビニールを一方が剥ぎ取る、など、1時間半の中にさまざまなやりとりがあった。
最後には、複数の参加者が同時に解体をしていく場面も見られた。
最後、ほぼ全てビニールなどが剥がされたところで、古川が骨組みになったオブジェの外へでていき、解体作業は終わりとなる。
そのあとは、解体されたオブジェを囲み、その時感じたことや隔たりについて、呟くように話していく時間が30分ほど続いた。
剥がしていく過程で、剥がれたビニールの破片を針金に結びつけることをしていた参加者は、その対話の場で「隔たりの全てを剥がすことには違和感があった」と語った。
隔りとはなんだろう。
それは、名前、国籍、性別など、あなたと私が別の生き物であるという情報のことかもしれない。あるいは、考え方や見方の違い、住んでいる場所の距離の長さ、あなたと一緒に過ごさなかった時間の長さかもしれない。では、その隔たりとは必要なものなのだろうか、また、取り払うとしたら全て取り払えるものなのだろうか。
パフォーマンスでは、自分と相手の間にある”壁”を意識しコミュニケーションを行う中で、視覚・触覚的にあなたとわたしの間にあるもの、自己と他者との関係について改めて考える場となった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?