非モテ街道爆走女に奇跡が起こった!ダブルプロポーズを受けたの巻
思えばイケてない人生である。
口説かれたかと思いその気なりゃ、やれ本命がいるだの、元カノが忘れられないだの。
はい、そーですかってなパターン、何度味わったか。
そもそも中高時代もそうだ。
告白されてその気になって付き合ったら即フラレ…ってのも3回。
3回もである。
よっぽど飽きられてしまう女なんである。
それでも23で大失恋した私はそれなりに学び、1人目の旦那はとても私を大事にしてくれ、浮気なんかとってもじゃないけどするタイプではなかった。
ただ唯一、悲しかったのは働か、否、働けなくなったこと。
天気がいいからこのまま区役所まで散歩して籍なんか入れちゃおう!と結婚した。子供も産まれた。
が。
子供が生まれると異変が起こった。プレッシャーになったのか、パタンと仕事へ行かなくなってしまったのである。
何度も何度も話しあったが、糠に釘。
彼は引きこもりから脱する事が出来なかった。
それなら、もう、いいよ、自由にしてあげるね、と0歳児を抱え、出て行った私。それが1度目の離婚、私、28歳の時の話しである。
そこから程なくして元彼Aと出会った。
結局、Aとは通算10数年付き合っていたことになる。
Aは東京は下町生まれ、高校は代官山にある定時制を卒業し、黒いレガシィに乗り、洋服(主にアウトドアブランドやストリート系)に詳しく、また、自身もスノーボードやスケートボードが趣味で、ついでにスチャダラなんかも聴き…
つまり、私が今まで出会った事のない、the東京の男の人という感じだった。
Aとのデートは必ず車だったのであっちこっちへ連れて行って貰った。
渋谷、新宿、代官山、原宿、青山、下北沢…
それまで車で行ったことがなかった場所へ、怨念を晴らすかの如く、車で通るとなぜか爽快だった。
特に、夕方首都高を走りながら聴く、ピチカート・ファイヴの東京の夜の7時は最高の高であった。
Aは顔も真田広之に似ていて、デートの仕方もスマート、女の子を喜ばせることにとても長けていた。
今思えばなんてことないが、例えばドライブの時は必ずドリンクを用意してくれていたし、ドアも開けてくれたりもしていた。それが私には新鮮で、お姫様になったような気分だった。食事はいつもなんでも好きなの食べなよと自由にさせてくれ、なんと言っても、子供の面倒も本当によく見てくれていた。
実際、息子とAはとてもとても仲良しだった。
じゃあなんで!
なんで、Aと再婚しなかったんだよ!
誠に持ってその通りなんである。
私、51年生きていて、最大のミスチョイスはAと結婚しなかった事だ、と今も思っている。
なんでか知らないが私はAと再婚しなかった。
Aからプロポーズを受けたのは、実に付き合うこと10年程が経っていてからであった。
しかもそのキッカケは…
その時私は、会社で出会った2人目の元夫Bと出会っていた。
Bとの恋の落ち方は半端なかった。
上司でデスクも隣だった私達、どこか異性に覚めた目でいるところなど、似ていた。そして夢中になり周りの人々を傷つけているにも関わらず、集中してしまっていた所も。
Bはオダギリジョーを女性的にしたような感じで、つまりイケメンだった。
なので勿論Bには彼女がいた。ついでに言うと彼女作る気ない宣言をし関係だけ続けていたセフレもいた。
私にもAがいた。
でも何故か惹かれあってしまっていた…
どっち付かずだった私。
2人のことを同じ位好きだった。
酷い話しだが、私は二股をかけていた。それも両者にカミングアウト済で。
両者とも私を自分だけのものに、しようと必死だった。
結局、3人で話し合う事となり、両者からプロポーズされ、この場で決めるよう言われた。
私はどこか覚めた目で、結局Aを選ぶんだろうなと思っていた。
と言うのも、Aと長く付き合う中、ほんの少し別れ、他の人と付き合っていた事は数回あったからだった。
私は気が多く、たまにひょこっと恋に落ちる。それでもいつもAに戻っていた。またAもそれを受け入れてくれていた。
Aもきっと自信があっただろう。
なんだかんだ言って自分の元に戻ってくるのだろうと…
だが、その三者面談で、緊張の余り震えるBがなんだか可哀想で、さあ、決めて!と言われた瞬間、私はBの手を握ったのであった。
腹を立て席を立つA。
慌てて今の無し!と追いかけようとする私を力ずくでBに止められた。
それが私が、今でもグズグズとAにしときゃ良かった…と思わせる事の顛末なのであった。
だって、後に言っていたけどAが中々プロポーズしなかったのは私達親子を100%養えるような準備をしてからと思っていたらしいんである。
独立し、自営業し、失敗し、就職し、役職を与えられ…
やっと養えそうだと思ったのにBが登場するかよ?と。
じゃあそう言っておいてくれよ…
そんなAだけど、私と別れて数ヶ月も待たず結婚した。
多分私のようなロクデナシの女ではない人と出会い幸せになっていることだろう。
私ときたら、しょっちゅうAと生活している夢を見る。Aと結婚していたら専業主婦出来たので、それに未練タラタラなんである。
でも、そんなこんなあったから今のパートナーとも出会えた訳で、人生、たらればなんてくだらない話しなんである。
ただ…
今も大事にしているAの言葉がある。
それは、鬱を発症し、死のうとばかりしている私に、
この世に素晴らしい景色は沢山あって、その景色をひとつひとつ見てく楽しみだけでも生きてる価値がないか?
と。
山が好きなAらしい言葉。
だから私は今も、それを想っている。
景色だけじゃない、映画だって音楽だって本だって良い。
見てないものを沢山見てくだけで生きる価値があるんじゃないかと。
というわけで、ちょっと長めな非モテ街道突き進んでた私が一瞬モテた時の話しでありました。おしまい。