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「信頼のらせん」を生むのはリーダーのマインドだった——最新研究が示す上司と部下の信頼関係の法則
信頼関係はリーダーのメンバーに対する「信頼」から始まる
2025年2月13日、パーソル総合研究所が「上司と部下の信頼関係に関する研究」を発表しました。この研究のポイントは、「上司と部下の信頼関係は、リーダーがメンバーを信頼することから始まる」という点です。
メンバーが「リーダーに信頼されている」と感じると、メンバーのリーダーへの信頼が高まり、その結果、リーダーも「メンバーに信頼されている」と感じる。このプロセスが「らせん状」に積み重なり、信頼関係が深まっていくのです。
逆に、リーダーがメンバーを信頼していないと、負のらせんが生まれ、関係性が悪化する可能性もあります。これは、私自身も研修等の現場で感じてきたことと一致しており、納得できるものでした。
メンバーを信頼するために、リーダーが持つべき考え方
では、リーダーはどのような考えを持つべきなのでしょうか?研究では、「メンバーを信頼するために必要なリーダーの考え方」として、以下の2つを挙げています。
「人は努力と環境次第で成長する」という信念
「人の能力は固定的」と考えるリーダーは、メンバーを信頼しにくい傾向があります。逆に、「人は成長する」と信じるリーダーは、メンバーの可能性を広く見られるようになります。「メンバー個々の特性や役割に応じた期待を持つこと」
自分の経験や基準で判断するのではなく、メンバーの現状やキャリアを見据えて適切な期待をかけることが大切です。期待があるからこそ、信頼が生まれるのです。
まずリーダーがこの考え方を持つことがメンバーへの信頼へつながっていくのです。
信頼関係を築くために、リーダーとメンバーができること
研究では、「メンバーがリーダーからの信頼を感じるための要素」として、リーダーの「サーバントリーダーシップ」の重要性を指摘しています。
サーバントリーダーシップとは、メンバーの自主性を尊重し、成長やモチベーション維持のために職場環境を整える支援型のリーダーシップです。加えて、リーダーが自分の弱みや悩みを開示することも、メンバーに「信頼されている」と感じさせる要因となるそうです。
また、メンバー側の行動として、リーダーからの信頼を高めるために2つのポイントが挙げられています。
「迅速なレスポンス」
指示されたことを素早く、確実に実行することが重要。信頼関係が深まる前に、指示以上のことをやろうとするのは逆効果になる場合もある。「自己開示」
1on1などの場で、少し個人的な話をすることがリーダーの信頼を得るきっかけになるとのこと。
メンバーがリーダーに自己開示するためにも相互の信頼が必要となりそうなので、「ニワトリとタマゴ」問題のようにも思えますが、若手メンバーに対して「こういう行動が信頼につながる」と伝えることには意味がありそうです。
まとめ
ここまでの話を整理すると、次のようになります。
リーダー・メンバー間の信頼は、「リーダーのメンバーに対する信頼」を起点に、らせん状に高まっていく。逆回転も起こりうる。
リーダーがメンバーを信頼するために必要なのは、「人は成長するという信念」と「メンバー個々の特性や役割に応じた期待をかける態度」
メンバーがリーダーの信頼を感じるためには、リーダーは、指示や管理ではなく、支援的な介入が必要
他にも、両者の信頼関係とパフォーマンス、信頼への1on1の影響などについて研究されていますので、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
最後に
今回の研究は、私自身の経験と重なる部分が多く、「やっぱり!」と思えるものでした。メンバーに対するリーダーの影響は、本人が思うよりずっと大きいもの。リーダーの持つ信念は態度や行動に現れ、常にリーダーを見ているメンバーは、敏感に「自分は信頼されているかどうか」を感じ取ってしまうのでしょう。
一方で、「リーダーがメンバーを信じる」というシンプルなことこそが実は難しいとも感じます。メンバーの価値観が多様化する中で、一人一人の成長を信じたり、個々の特性に合わせて期待を持ち続けることは容易ではありません。現場のリーダーのみなさんとじっくり話すと、そこに悩む姿が浮かび上がってくるからです。
ではどうすればよいのか。私が日々感じていることや実践すべきことについては、また少しずつ発信していければと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!