思い込みにご注意
最近、仕事を始める直前のOnboarding終了間際にキャンセルになった仕事がありました。仕事自体は楽しみにしていたのですが、初っ端のZoomミーティングから、担当者に対して薄っすらと違和感を覚えていたのも確かです。
このお仕事、もちろん翻訳ですが、それ以上の能力も求められるため、初回のZoomミーティングでいきなり「今週いっぱいOnboardingを行い、来週から仕事を始めてもらいます」と宣言されました。
しかし、複数のクライアントを抱えるフリーランス翻訳者が、事前の合意もなしにまるまる1週間も1社の研修に費やせるわけもなく、正直にそれを伝えたところ、理解してくれたので、仕事の合間に行うことになりました。
ところが、このOnboardingが始まった途端に、研修に割く時間など皆無なほどに急激に忙しくなり、一向に研修が進まず。その上、「課題」と称して出される事柄は、補足情報としての読み物以外は、ほぼマニュアルなし、不具合でプラットフォームにアクセスできず…と、課題に取り掛かる前段階でつまずく始末。
そのたびに時差のある国に住む担当者にメールを入れるものだから、この時差がさらに研修を足止めする形になり、担当者が若干苛ついているのもメールやZoomミーティングから感じられました。
上の事情から、何度か「もうこの仕事を辞退しようかな」とも思ったのですが、ここで逃げても何も得られないと考え直し、ストレスフルな状況下でも仕事を上手く進める訓練とみなして、こちらの状況を丁寧に説明しつつ、担当者が納得する方法を探ってもらうよう努力したわけです。
この担当者、思い込みの強い方らしく、押しが強いため、仕事の牽引力は十分にありそうです。さらに、以前フリーランス翻訳者だったので、こちらの状況を十分の理解していると言っていました。
この頃、複数のクライアントから依頼後数時間〜12時間以内で納品という急ぎ仕事が立て続けに入っていたため、私には深く考える心の余裕がなく、無意識に件の担当者の理解に頼っていました。こういう時、人は自分の思い込みに支配され、その状態に気付かない……。
そして、手持ちの仕事をすべて納品し、急ぎの仕事も一段落した直後、件の担当者から「お忙しそうなので、納期厳守のこの仕事ではなく、もう少し時間的な猶予のある仕事が発生したらご連絡します」というメールが入りました。
この担当者との連絡のタイミングが絶妙というか、なんというか……最初から、見事なまでに絶妙のバッドタイミングだったのです。ここまですべてが悪い方向に進む仕事というのは人生初だと思います。ですから、実際に仕事を始める前にキャンセルしてもらって助かりました。
ただ、この一件で改めて肝に命じたことが……
・無意識の思い込みがないか省みる時間をできる限り設けること
・第一印象の違和感を否定しないこと(でもちょっとは抗ってみるw)
・思い込みは相手に対する強要になり得るので注意すること
・何かを説明する時は「相手は初心者」とみなして行うこと
・無意識にマウントを取りたがる人への対処方法を考えること
人それぞれ持っているモノサシが異なるのだから、自分のモノサシを基準にした思い込みが相手に通用するはずもありません。目の前の納期に忙殺されていると忘れがちなので、この点は本当に反省しないと!!
最近の翻訳仕事は、事前にガイドラインや複数の参考資料を読み込む必要のあるものが増えており、特にIT関連の継続的な仕事の場合、仕事開始前に一度オンラインでOnboardingミーティングを行うことがあります。
翻訳者と言えどもライターとしての資質が不可欠な仕事が増えてきている昨今、思い込みは障害にしかならず、常にニュートラルな感覚を持ち続けることが本当に重要だと改めて悟った事件でした。
みなさんも注意してくださいね!