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宗教と信仰心:Thich Nhat Hanh (ティック・ナット・ハーン)とマーティン・ルーサー・キング

最近、「ティク・ナット・ハーン」氏の言葉を聞くと心が安らぐ」と言われる患者さんに触発されて彼の心がこもった言葉の一つ一つを味わうようになりました。

宗教とは何か? 教会に熱心に通うアメリカ人の親戚や友人達は「神はオンリーワン。私たちの神様のみ」であり、聖書の教えによると最後の審判の時には「キリストが私たちの罪を背負った事を受け入れている者が神と永遠に結びつくのだ」と熱心に語ります。イエス・キリストの教えはとっても大切ですし、キリスト教の教えも素晴らしいと思うのですが、いつも「神様はキリスト教の神様だけ」の部分に疑問を感じていました。そのような質問にティック・ナット・ハーンさんが答えられております。

“It’s possible for us to have several spiritual roots. To me, Buddhism, Christianity, Judaism and all religions belong to the spiritual heritage of humankind. We can profit from all of these traditions. We should not confine ourselves to just one tradition. If you love mangoes, you are free to continue to eat mangoes, but no one forbids you to eat pineapples and oranges. You don’t betray your mango when you eat a pineapple. It would be narrow-minded to enjoy only mango, when there are so many different fruits in the world. Spiritual traditions are like spiritual fruits, and you have the right to enjoy them. It’s possible to enjoy two traditions, to take the best of two traditions and live with them. That’s what I envision for the future, that we remove the barriers between different spiritual traditions.”

「私たちは複数のスピリチュアルなルーツを持つことがあります。私は、仏教、キリスト教、ユダヤ教、その他全ての宗教は人間のスピリチュアルな伝統の中に包括されている思います。私たちはどの宗教からも恩恵を受けることができ、一つの伝統にのみとらわれる必要がありません。あなたがマンゴーが好きならマンゴーを食べ続けてもいいですが、誰もあなたにパイナップルやオレンジを食べることを禁じていません。パイナップルを食べてもマンゴーを裏切る事にはなりません。世界中にもっと美味しいフルーツがあるのにマンゴーのみ食べ続ける事は視野が狭いとも言えるでしょう。スピリチュアルな伝統は、スピリチュアルな果物のようなもので、あなたにはそれらを楽しむ権利があります。二つの伝統を同時に楽しむことも可能で、二つの伝統の美味しいところどりとしても構いません。それぞれのスピリチュアルな伝統の壁が取り外される時代が来ると思います。」

ティク・ナット・ハーン氏はマーティン・ルーサー・キング牧師からノーベル平和賞に推薦されました。ティク・ナット・ハンの原点は祖国を焼き尽くしたベトナム戦争でした。怒りと憎しみが渦巻く中、彼は自らの怒りを見つめることで、敵味方の区別なく、ありのままを慈しむ境地に至った所です。仏教の力により世界を変えることができると立ち上がります。キリスト教パブティズムの牧師であるマーティン・ルーサー・キングは、公民権運動で知らており説明する必要なないほどの人物ですが、彼がノーベル平和賞にティック・ナット・ハーンを推薦されたことを知り、彼は物事の核心を見極めた真のクリスチャンだ思いました。

聖書の中でキリストが最後の審判の時に「私はせっせと教会に通っていました」と言う方々の中に私の名を名乗っていただけで私の教えを心で実践していない者達がいます。そんな彼らに私は「あなたは私を知っていると言うが、私はあなたを知らない」と言います。と言うような部分があるそうですが、マーティン・ルーサー・キング牧師はキリスト教の心を実践しているがゆえに本質を見抜け、ティク・ナット・ハーンのスピリットの素晴らしさを評価できたのだと思います。そしてまた、ティク・ナット・ハンは「仏教か平和か どちらか一つだけしか選べないのなら 私は平和を選ぶ」とも言われたそうです。二人ともスピリチュアルなリーダーとしてふさわしいだけの心の持ち主だと思います。

宗教は、人生の中でそれぞれが経験するやり場のない怒り、恐れ、絶望感などに屈する事なく人生の舵取りを出来るように私たちが成長するための教えを学ぶ為に先人達がそれぞれの歴史の中で伝統的に教え伝えてきたものなのだと思います。本質は「ソウルのケア」であり、それが解れば宗教という枠にとらわれる事なく、自分の中の神性に目覚めスピリチュアルな開眼が実現するのだと思います。それがキリスト教でいう" We are all sons and daughters of God"意味ではないかと思いました。


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