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防災の全体像

日本は、地震大国です。世界に占める日本の国土面積は約0.25%しかないのに、マグニチュード6以上の大地震の約20%が日本付近で発生している事実。一方、近年頻発する豪雨災害、首都直下地震、南海トラフ地震、富士山の噴火などに対する防災の議論は、行政や産業界視点が中心で、私たちの暮らしとはかけ離れた印象(他人ごと感)がある一面もあります。

私は、自治会エリアでの自主防災組織の会長と、最寄りの小学校の避難所運営委員会の委員長とを複数年、兼務している経験から、地域住民だけでなく行政職員についても、正しい知識(特に大地震における)が不足もしくは偏っていると感じています。また、著書『新しい地域ネットワークの教科書』(あさ出版)にも書いていますが、大地震とその他災害は分けて議論すべきです。理由は、大地震には警報レベルがないから。さらに、自助と公助の間で取り残されている「ご近所の共助」を育む上で、地域の現場では「住民を動かすには防災(大地震)」が合言葉です。

今回は、地域関係なく起こる可能性がある大地震に絞って、2019年12月に放送されたNHKスペシャルシリーズ『体感首都直下地震ウィーク』内のドラマ「パラレル東京(架空の東京)」を参考に、被災ツリー(被災の連鎖)を作成するなど、自分なりに防災の全体像について、以下の3つの切り口(目次)でイメージできるように工夫してみました。皆さんが防災を「自分ごと」として考える一助になれば幸いです。

たとえば、首都直下型大地震が起こる確率は「今後30年で70%」で、被害想定は歴史的にみても例がない規模になると言われています。

目次
1.防災の3つのステージ
2.被災ツリー(被災の連鎖)
3.被災ツリー事象内の連鎖(例)

1.防災の3つのステージ

災害は、下表の通り、時系列では災害発生前・発生時・発生後と大きく3つに分けることができます。ここでも世の中の議論から取り残されている(カタチだけ制度や議論があっても、大半の機能しない実態にふたをしている)のが、2つめの大地震発生時の被害軽減、いわゆる初動対応です。別の言い方をすると、公助が来るまで、早くても3日間から5日間、場所によっては1週間以上かかる(山間部や大都市)場合もありますが、それまでは、自助とご近所の共助で乗り切るしかない。自宅の全壊や半壊、火災、けがなど、自助だけで対応できないのは明らかです。

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2.被災ツリー(被災の連鎖)

被災から1週間、1か月、半年、1年、3年、10年と、被災の連鎖は続いていきます。命の危機、暮らしの危機、社会の危機へと。

下図で、自助と共助のウエイトが高い事象を赤色の点線で表示してみました。すなわち、行政と産業界視点のマクロな防災や、デジタル防災の議論は、復旧に軸足を置いたものが多いのです。もちろん、コンビニやスーパーなど暮らしに密着した店舗運営や、一次避難施設としての役割は別ですが。

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3.被災ツリー事象内の連鎖(例)

上述したドラマ「パラレル東京」では、たとえば、以下のような普段聞き慣れない言葉も多く、知ることの大切さを痛感しました。

・火災旋風(別名、炎の竜巻と呼ばれ、一気に広範囲に火災が拡大する現象)
・群衆雪崩(人の密集で一人が倒れて起こる、雪崩のようなドミノ倒し)
・未治療死(病院の機能低下で、一度は助かった人が治療を受けられず死亡)
・堤防決壊(被災後数日経って河川の堤防が決壊することで起こる水害)
・災害関連死(避難途中や避難後に死亡した死因で災害との因果関係あるもの)

下図は、「避難生活の困難」という事象を分解して連鎖をイメージした一例です。

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最後に、本noteに加え、「自主防災組織に光を当てる理由」と「避難行動要支援者支援制度」と合わせて、「防災3部作」と位置付けています。ご確認いただけると幸いです。



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