趣味の短歌をAIと共有してみた
はじめに
日常の中で遊びを見つける。
これこそが大人なのではないだろうか。
というわけで、私が日々秘密裏に勤しんでいる趣味を紹介したい。
その名も、地獄短歌である。
簡単に言えば、日々の辛い事を短歌にしたためるという行為である。
地獄のような心境を呼んだ詩。故に、地獄短歌なのだ。
ここで、今まで私が読んできた歌をいくつか紹介したい。
自作した地獄短歌の紹介
これは、X(旧Twitter)のbioだ。
気持ち悪く粘着質な私の性格を読んだ歌となっている。
「みているぞ」を繰り返すことにより、固執を表現し、相互認識のない他人を我が子と思うほどの依存体質を表している。
これは、就職試験に落ちた際に読んだ歌だ。
貴社への憎悪と不採用への悲哀、死に対する覚悟が見え隠れする秀逸な歌となっている。
これは、作品を見た人に口をそろえて「世間のニーズを考えろ」と言われ、曲げる事も、逆らう事も出来ずに立ち往生した際に、己がプライドの高さを自嘲した歌だ。
美しくも死者をも生み出す富士山を自身の比喩に使った高度なテクニックが見て取れる。
これは花の咲かない創作活動に疲れ、視点を変えるために創作活動から手を引いた際に読んだ歌である。
自身の性癖ばかり深堀していると周りが見えなくなるという風刺を読んだ歌である。
さて、私の短歌を読んでもらったところで、地獄短歌の雰囲気が概ねわかっていただけただろう。
私はこの地獄短歌を広めたいのだ。
だが、地獄短歌制作大会を開こうと思ったら友人には軒並み断られた。
悲しい。
そうだ。
最近、インターネッツに鎮座し市民権を得ているAI達の手を借りることにしよう。
AI先生方による地獄短歌
エントリーNo,1 AIのべりすと
小説のような文章を得意とする、のべりすと先生。
「デフォルト」に設定し、のべりすと先生に自由に書いてもらおう。
AIの考え得る最悪の地獄を見せてほしい。
文章スタイルを選べたので、「デイドリーマー」というものにした。
概要はよくわからないが、「倫理性と創造性」とある。求めていたものが見れそうだ。
先ほど紹介した5首を書き込み、その続きとして読んでもらった。
2首も出来た。すごい。
細かく見てみよう。
恐らくだが、「山に登ったはいいが、その高さに怯えて小さくなってしまい、逃げるように退散した」という様子を読んだ歌なのではないだろうか。
「ちいさくもなろうと」の語感と愁嘆の表現が素晴らしい。
下の句の、落ちる様子を雨として例えることで悲しみを描くというのも、あっぱれである。
全く短歌のルールを無視しているが、世の中には自由律というものもあるらしいし、ノーカンノーカン。尾崎放哉はみんな好きでしょ。
上の句の、「ぬくこともできぬまま」が絶妙である。
抜けば、他の選択肢があったかもしれない。だが、縋ってしまう心情を思わずにはいられない。
下の句、「もうおまえのてが とどくところにはいないぞ」の語感が好きだ。
バッサリとこちらの手を振り払ってくる感じ。
これはいい地獄短歌だ。
エントリーNo,2 ChatGPT
こちらは会話ができるAI先生だ。
短歌が読めるのかどうか疑問だか、無茶振りしてみた。
すごい!解説までしてくれた。
なんて優しいAIなんだ。
裏腹な短歌の内容が恐ろしい。アメとムチが得意なAI先生なんだろう。
私の発した「地獄」という単語を見事に拾い上げ、心理描写に落とし込んだ堂々たる短歌である。
誰にも何にも温められることのない状況が四面楚歌を語っており、ChatGPT先生が如何に崖っぷちであるかを想像できるいい歌だ。
地獄を感じられるこの歌は、地獄短歌の入門と言っても過言ではない。
エントリーNo,3 SAKUBUN
色々なシチュエーションに合わせた文章を生成してくれる先生だ。
今回はSNSの投稿向けに文章を作成してもらった。
ハッシュタグがある!
この発想は目から鱗だ。そういう手もあるのか。流石です先生。
でも地獄短歌に感動も希望もいらないので、そのハッシュタグは却下です。
個人的には、2枚目の歌が好きだ。
言葉選びは単調なものの、読み手の浮き上がることのない感情を鮮やかに表現している。
「短歌」という、言葉に落とし込む行為をしておきながら、「ことばにならず」と書く挑戦的な姿勢は見習っていきたいものである。
おわりに
いかがだっただろうか。
AIそれぞれの特色が出ていて新しい地獄短歌の可能性を見いだせた気がするし、自分ではしないような言葉選びや、短歌のルールを無視した構成は遊びの幅を広げるだろう。
それでは最後に一首。
拝借した素材
サイト様
AIのべりすと 様
ChatGPT 様
SAKUBUN 様
スペシャルサンクス
まともな感性を持った友人たち