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乳がんの手術から2年経過、ホルモン療法からの気づき
2022年11月8日、私は乳がん(ステージⅠ、ルミナルA型)と診断された。
2022年12月16日、手術(右胸乳がん部分摘出とセンチネルリンパ節生検)を受けた。手術後、全30日の放射線治療を終え、今は5~10年続くホルモン療法中である。
2022年12月から、寛解(かんかい)までの間、私にとって12月は1年の中でも誕生日と同じぐらい特別な月になっている。
ちょうど1年前、2023年12月にも、乳がんの手術から1年後のメモを書いた。
乳がんの手術から1年経過して考えたこと、実行したこと(予防と早期発見)|岡田美紀子
今年も、自分への備忘録として、治療(ホルモン療法)を通して自分の心身に向き合った一年間の体調や気持ちの変化を記録にしておく。
(このnoteはあくまでも私自身のケースについて自分の備忘録用に書いたものであり、同じ乳がんでも人によって症状も異なること、自身の治療には主治医の判断を仰いでいただきたいことを、予め留意点として書いておきたい)
2024年12月、手術後2年後の検査(マンモグラフィー、エコー)では、再発はしていなかった。祝!
乳がんホルモン療法とは何か?
乳がん治療、術後の標準治療である。私のようなルミナルA型の場合、女性ホルモンのエストロゲンが、乳がん細胞に存在するエストロゲン受容体に結合することで、がん細胞の活性化を引き起こす。そのため、エストロゲン受容体を阻害する抗エストロゲン薬を飲み、乳がんの進行や再発などを抑制する。要は「エストロゲン受容体が癌細胞とくっつかないようにする」薬であり、ホルモン療法は再発リスクを50%低減する、と、言われている。
ホルモン療法の副作用
ホルモン療法の副作用は、症状が全くでない人も、QOLに大きく影響する人も、様々である。現に私の友人で同じルミナルA型でホルモン療法中の友人は、まったく副作用が出なかった。一方、ホルモンバランスに影響し、更年期障害と同じような症状(頭痛、関節痛、吐き気、眠気、ホットフラッシュ)が出る人も、いる。
ホルモン療法、私のケース
私は、ホルモン療法を始めて3か月頃から、色々な副作用が出てきた。
(1)体脂肪・体重・悪玉コレステロール増加
【状況】最初の変化は体脂肪・体重の増加だった。今までと同じ量を食べるとすぐに太ってしまう。漢方薬を調合してもらい様子を見ていたが一向に良くならなかったので、内分泌科で安静採血をしてホルモン分泌を調べてもらったところ、「貧血、たんぱく質不足」と言われた。また、「体重増加は薬の影響なので、心拍数100以上の有酸素運動をして脂肪燃焼するしかない。食事療法だけでは痩せられない」とも、言われた。
【対策】2024年は、週2回、ジムに通って脂肪を燃焼させることを始めた。私の今までのダイエットは全て食事療法だったため、ジムに週2回通うことは私にとって習慣になるまでは、なかなかの苦痛であった。
(2)子宮内膜や卵巣の腫れ
【状況】乳腺外科とは別に婦人科で定期的に超音波エコーを撮っているが、抗エストロゲン薬を飲み始めて、急に子宮内膜や卵巣が腫れた。これは乳腺外科の主治医からも想定される薬の副作用として言われていたことだった。
【対策】抗エストロゲン薬を飲む限り、この副作用が出てしまい、正直なところ対策はなかった。
(3)倦怠感
【状況】倦怠感や眠気、立ち眩みが起きるようになった。特に抗エストロゲン薬を飲んだ翌日に倦怠感の症状が強く出た。倦怠感とはなかなか厄介なもので「なんとなくだるい」という状態は「怠慢、自分がもう少し頑張れば改善できるのではないか」と思わせてしまう。しかし倦怠感が続くと、仕事の集中力や記憶力にも影響が出た。
【対策】小さくても身体からのサイン「なんとなくだるい、重い」をキャッチしたら、記録をして傾向を把握するようにした。倦怠感が出る時間帯が分かれば、逆算して抗エストロゲン薬を飲む時間を朝から夜に変えたり、できうる工夫をした。一番効果的だったのは、睡眠時間を増やす、だった。
ホルモン療法中には、更年期対策(ホルモン補充療法)ができない。せめてもに、と、エクオール検査をして自分でエクオルを生成できるどうか確認した。
(4)喜怒哀楽の感情が湧かない、やる気、元気が出ない
【状況】2024年に入り、仕事でいくつかプレッシャーやストレスがかかる仕事が続いたら、倦怠感に続き、メンタル面でも不調が出てきた。仕事で人から言われた言葉を必要以上に重く受け止め急に不安になったり、自分の感情が湧かない、など。これはおそらく抗エストロゲン薬と仕事のプレッシャーやストレスにより、自律神経のバランスが崩れたことが原因だったが、「自分のやる気がわかない、楽しさや嬉しさといった感情が湧かない」ということが、生きる力をどれだけ奪うことか、身をもって体感した。
【対策】
この状況になると自分のQOLや仕事に影響が出始めたので、乳腺外科の主治医に相談して、一時的に2週間ほど抗エストロゲン薬を飲むのをやめてみたら自然と治った。なんとなくの倦怠感や不安が、薬が原因であると分かったことで半分ぐらい安心できた。メンタル不調については、心療内科に行かず、数年来お世話になっているカウンセラーと定期的カウンセリングで自分の生活リズム、認知バイアスを整えた。
この時期に「緩和ケア」という考え方も知った。医者の言う「予後順調」と患者の体験する「QOL」は異なるので、自分が不快だと思うときには素直に主治医に相談してみることが大切である。
【緩和ケア】乳がんの7割の人が行うホルモン療法のつらい副作用は改善できる!【患】#179|Dr.Tosh /四宮敏章
乳がんホルモン療法からの気づき・学び
*自分の健康維持は、自分自身を愛し、認め、癒すこと。
*どんなに医学や治療法が発展しても、健康になる原理原則は変らず「良質な食事・運動・睡眠」。自分の年齢や体調変化にあわせて、自分にとって良質な食事・運動・睡眠を実現する方法を知っておく。
*頭で考えず自分の心身の声を聴く、「なんとなくだるい、重い」も大切なシグナル、放置しない。
*自分の喜怒哀楽の感情が湧いたら、その気持ちが湧くことに感謝して感情を大切に扱う。少しでもやりたいことが見つかったらやってみる。
*自分が少しでもストレスや不快を感じたら、過信せずに、すぐに休息する。「休息」も一つの重要な健康管理の一つである。
睡眠だけではとれない疲労 「休み方」を知ることがパフォーマンスに直結 | 日本の人事部 健康経営 (健康経営が分かる、実践のヒントが得られる)
私は、2025年も、自分を愛し、認め、癒し、自分の心身の声を聴く、毎日を過ごしていきたい。
乳がんは、女性の9人に1人が罹患する病気。もはや特別ではない。早期発見が一番大切。多くの人が検診を受けて早期発見につながることを願ってやまない。