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男女別で考える最新フィットネス②:生理周期に合わせてエクササイズを選ぼう
現在のフィットネス科学では、「生理周期に合わせてエクササイズを変えるべきだ」という見解がとられるようになってきています。
◆生理周期は、教科書ではなく「身体」に書いてある
女性の一般的な生理周期は28日
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大きく分けて
前半:生理初日〜排卵(14日)
後半:排卵以降〜生理前日
に分かれます。
前半は女性ホルモンの値が低い時期で、排卵以降の後半はホルモン値が高い時期。
周期が28日というのも、排卵が14日ごろというのも、教科書に載っている一般化された数字であって、実際は人によって差があったり、月によって排卵の時期がズレたりします。
日数は大体の目安程度にすぎないので、オリモノの様子、体調(胸の張り等)、基礎体温などを元に自分の身体と向き合い、あなたの身体とその月の体調に特化した「月のリズム」を把握する習慣をつけるようにしましょう。
◆生理後半から排卵日までのフィットネス
生理終盤に向けて女性ホルモンは下がり、ホルモンや代謝に関しては「1番男性に近い状態」になります。
この時期は、身体も心も元気なので、運動の強度も上げるのにピッタリな時期です。有酸素運動でいつもより頑張ってみたり、時間を伸ばしてみたり、重たいウェイトに挑戦してみたり。自己ベストを更新するには最高のタイミング。
睡眠の質も良く、頭もシャキッとしやすいので、新しいことを始めてみたり、特に集中力を要する仕事を持ってきたりするのもいいかもしれません。
身体のむくみもとれて(=身体から余分な水分が抜けて)、肌の艶も良くなるので、オシャレも楽しい時期です。人によっては、この時期にむくみがとれただけで数日で2〜3kg落ちることもあります。(月によっても異なる)
この説明をとある女性にした時に、「男っていつもこんな状態で生活してるの!?うらやましー!」と言っていました笑
※男性には男性なりの体調のアップダウンもあるので、単純に辛さの比較をするのはあまり好ましくないですが、股から垂れ流される血を心配しない生活はたしかに私も一回体験してみたいかも…
◆排卵期・排卵以降のフィットネス
生理周期後半は、体温を下げるために必要な「汗」をかきにくくなり、深部体温が上がりやすくなります。
糖を使う能力(=糖代謝)は低下し、運動中に脂肪が使われやすくなります。「脂肪が使われるなら脂肪燃焼にいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、残念ながらそうでもありません…。
運動は、燃料として血中や筋肉中の糖をたくさん使うので、糖が上手に使えないこの時期は強度の高い運動についていくのが難しくなります。いつもの運動が普段以上に辛く感じるだけでなく、運動後もしばらく続くとされる燃焼モードも短くなってしまうんです。(別の回で触れます)
人によっては「リラキシン」という妊娠・出産のために関節を緩めるためのホルモンの影響が強く出る場合もあります。飛び跳ねたり、いつもより重たいものを持ち上げたりすると、関節が緩んでいるので怪我につながる可能性が高くなります。
さらに、さらに、この時期は鍛えても筋肉になりにくいので、たんぱく質の摂取が減らないように特に注意が必要です。
…。
なんだか悪いことだらけですね…。
「こんなハードルだらけなのに毎日頑張ってて偉いな、自分」って肩ポンポンしてあげてくださいな。
この時期は、運動の強度を下げたり、有酸素よりも筋トレに切り替えたり、涼しい室内でできる運動にするのがオススメ。
ストレッチやフォームローラーを重点的にやって、柔軟性やモビリティの向上にフォーカスしてもいいのかもしれません。
◆心と身体が重たい時にできること
これは私の例ですが、筋トレを15分やってみて全然気持ちがノッて来なかったら、そのまま床に寝転がって45分全身のストレッチしちゃったりします。
気が乗らないままイヤイヤ質の悪い運動しても、誰のためにもならないじゃないですか。だったら、身体のメンテナンスに時間を割いて、筋トレ以外に身体が必要としてることやろうかな、という考えです。
(身体の調子はそこそこでも、ウェイトを上げる時に血が出る感覚やタンポンを気にしなきゃいけないのが嫌で筋トレを避けることもあります。他にもさ、やれることたくさんあるからさ。)
また、この時期は、耐えがたい眠気に襲われるのに、いざ寝ると睡眠の質が悪くて、起きても疲れが残ったりもします。「言い訳だ!」「甘えだ!」と無理矢理運動をするのは、泣きっ面にハチ。精神的にも身体的にもベストではありません。
運動したくないなら、潔く「しない」という選択を取る勇気が必要です。それは「サボり」ではなく、賢く自分にベストなタイミングを選んでいるだけ。この時期に心を殺して無理矢理頑張ったって、運動との関係が悪くなるだけです。
食べたく無い時に野菜を口に入れられたら、その野菜が嫌いになっちゃうのと同じで、やりたくもない運動を強制するのは健康的なライフスタイルとは言えないのです。
自分の「月の周期」にしっかりと耳を傾けて、その時に1番心と身体が求めているベストな選択肢を選びましょうね。
ねぇ知ってる?「自分に優しくする」のと「自分に甘い」ってのは全然別のことなんだよ。一緒にしてると、自分に意地悪することを努力だと勘違いする人になっちゃうんだよ
— mikiko🇳🇿NZのトレーナー (@mikikofit) January 20, 2023
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