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旅がより"分厚く"なるこだわりを。裏側を知り見えた新しい景色


旅は楽しいーー。
旅は癒しーー。

知らない土地に行き、初めて見る景色や食べ物に毎度テンションが上がります。


旅はいつだって、飽きない。


四季折々で異なる景色を楽しめるし、一人旅やカップル、友人、子連れなど、誰といくかによっても感じ方が変わります。


また、その時の"心情"により見え方が異なることも。たとえば、失恋した時に見る景色と試験に合格した時に見る景色。同じ景色でも見え方が違うはずです。


面白いことに、旅はどれひとつとっても同じにはならないのです。


しかし、美しい景色・美味しいグルメも慣れてしまうと、出会った当時ほどワクワクしないことも……。これは旅だった"モノ・ヒト・コト"が、日常のゾーンに入ってしまった証拠かもしれません。


では、日常に近づいた場所はもう楽しめないのでしょうかーー。


わたしは、それは違うと思います。
なぜなら、モノゴトを違う角度から見れば、必ず新しい発見があるからです。

何度も行って飽きてしまった場所や、住んでいる街の施設や飲食店。行き慣れたあそこや、生活圏にあるあそこも、角度を変えて見れば、そこに行くのも"旅"になる。

今回は、日常が"旅"になるちょっとしたこだわりを紹介します。


モノゴトの裏側を見ると旅が途端に楽しくなる

住んでいる街を改めて眺める

つい先日、小学生の頃から仲のいい友達と、久々に甲府の街へお酒をたしなみに出かけました。(本当に久しぶりでテンション爆上がり!)

その友人は独身。女1人でどこへでも行ってしまうフッ軽女子です。

連休となればフラッと海外に行ってしまう先輩方に囲まれ、フッ軽さを身につけた元旅行会社員の私でさえも、彼女の行動力には驚くほど。思い立ったらすぐにリサーチ、その手で宿を予約してしまう早さです。

彼女は彦根城に行き「これで国宝5城をコンプリートした!」と喜んでいました。

国宝5城とは、国宝に指定されている以下の5つのお城のこと。

  • 松本城(長野県)

  • 犬山城(愛知県)

  • 彦根城(滋賀県)

  • 姫路城(兵庫県)

  • 松江城(島根県)

江戸時代までに建てられ、当時のまま現在も残っているお城たちです。
学んではいたものの、あまりお城に興味がなかったうえに、出産してから子ども基準の旅になっていた私は、その話に興味が湧きました。


お城って面白いな……

お城を眺める。
すごいなーと見る。

このように興味のない人が建物を見ただけでは、なかなか心は動きません。

しかし、友人からこの話を聞き、お城ができる前後の歴史や国宝になった理由などを意識しながら見たらどうでしょうか。

きっと「わーすごい建物だねー」なんて、表面的な感想にとどまることはないでしょう。

つまり、歴史を知ることでお城の見え方が変わるということです。


ここでこういうことがあったんだ。
この事件の時あの人はどう思ったのか。
この建物はなぜ今日まで残っていられたのか。

お城の背景を知ることで「城観光」が分厚くなります。

これはお城に限らず、全てのことに言えますよね。モノ・ヒト・コトの背景を知ることで「旅に厚みが出る」ということです。


モノ・ヒト・コトの背景を知れば、旅はこれまで以上に面白くなる。


であれば、わざわざ遠くに行かずとも、身近な場所でも楽しめる可能性があります。いつもの"あの場所"を違った角度から見ることで、わくわく旅ができるはず……。

と、いうことで、改めて身近なモノやコトに触れてみました。


山梨『サントリー登美の丘ワイナリー』で新しい魅力に触れる

ぶどう畑が広がる登美の丘ワイナリーの入り口

サントリー登美の丘ワイナリーは、山梨県甲斐市にあるワイナリーです。ぶどうの栽培から製造、販売まで一貫しておこなっています。

なんと開園は1909年!2022年にリニューアルし、今年(2024年)で115年目の歴史あるワイナリーです。

ツアーや見学など一部予約が必要なものもありますが、入場は予約不要かつ無料。場内の散策、ショップ、レストランは気軽に楽しめます(レストランは金・土・日の営業)。

実は、はるか昔に行ったことのある場所。比較的家から近いこともあり、素敵なワイナリーも生活のゾーンに入ってしまっていました。
(山梨県民はぶどうもももワインも生活ゾーンに入りがち)

過去の旅とどう違って見えるのか、今回は違う角度から楽しんできました。


1.ぶどう畑ツアーで見えたワインの魅力 

10時過ぎにワイナリーに到着。駐車場の入口にスタッフが立っており、注意点や受付の案内をしてくれます。登美の丘ワイナリーは、入場の際に受付が必要です。

受付では、代表者の情報を記入したりツアーの案内をしてくれたり。予約が必要なツアーも、当日空きがあれば受付時に予約ができるそうです。

受付でツアーの予約ができる

【ツアー一覧】※有料
・FROM FARM ワイナリーツアー
・ワイン熟成庫ツアー
・甲州ぶどう畑散策ツアー

今回は「甲州ぶどう畑散策ツアー」に参加。所要時間は30分ほどなので、行程がハードな観光客でも参加しやすいですね。

ぶどう畑ツアーは、試飲も含まれているため受付時にお酒を飲める人かどうかのチェックがあります。ワイン好きにはたまりません。アルコールが苦手な人や車を運転する人には、ぶどうジュースが提供されます。

本当は飲みたいところですが、わたしはドライバーなので「お酒を飲まない人」用のストラップを首にかけて出発です。


ツアーは各所解説をしてくれるアテンダーがいて、歩きながらぶどうの種類や栽培工程、ワインまでの製造工程などを説明してくれます。

ツアーでしか入れないエリアを散策

以下は聞いたお話の中で興味深かった内容です。私のメモではありますが、とても面白かったのでまとめておきます。

◉登美の丘が誇る3つの自然の恵み
 ・寒暖が大きい(甘いぶどうに育つ)
 ・日照時間が長い(ぶどうの成長を促す)
 ・雨が少ない(うまみ凝縮&傷みにくい)

◉栽培しているぶどうの種類
 ⇒(赤)カベルネ・ソーヴィニヨン / メルロ / プティ・ヴェルド / ビジュノワール / マスカット・ベーリーA / シラー / マルスラン / タナ
 ⇒(白)シャルドネ / 甲州 / リースリング・イタリコ / アルバリーニョ

◉ワイン用のぶどうは小粒
 ⇒うまみが凝縮する

◉ひと枝ひと房だけ残して後は摘む
 ⇒栄養・うまみ凝縮のため。切り落としたぶどうは土にかえる

◉収穫はすべて手作業
◉1本の木からワイングラス1杯分の量ほど

他にも参加者からの質問や雑談の中からの気づきや発見など、もうそれは面白くて。

団体のおじさま10人ほどのなか1人で参加したのですが、終始和やかな雰囲気で楽しめました。

そしてお待ちかねの試飲タイム。
富士山向きに並べられた椅子がずらり。雄大な景色を眺めながらいただく一杯は格別です。

富士山を眺めながら1本3,000円高級ぶどうジュースをいただく

ワインも美味しいとの声があがっていましたが、ジュースも負けていません!驚くほどの甘さの中に、ほのかな渋み。大人向けの贅沢なジュースでした。

自由に散策するのも十分楽しいですが、こうやって専門家からのお話を聞いたり、参加者さんと交流したりすることで得られることも多いですね。

ぶどうやワインに対する想いが、より深くなりました。


2.栽培のこだわりや製造者の想いが価値を生み出す

収穫を終えたぶどう畑と富士山

新しい発見があり、好奇心旺盛なわたしは大満足!

しかしそんな中で最も心が動いたのは、やはり栽培家たちの想い…ストーリーです。


いいワインはいいぶどうからーー。


ワインになるぶどう達は、栽培家のこだわりが詰まったの結晶。1年間愛情をかけ続けた成果です。

伺った10月下旬は、ちょうど収穫期。ワイナリーの入口に広がるぶどう畑では、丁寧にひと房ひと房手で収穫している姿を見ることができました。

収穫までの流れ

当たり前のように感じますが、ワイン1本の裏側には多くの栽培家や製造者たちのこだわりや苦労が詰まっています。

ぶどうだけでなく、なんと土から。登美の丘ワイナリーワインは、おいしいワインは土から!とのことで、『FROM FARM』とうたっています。


おいしいワイン作るためにはおいしいぶどうが必要。
おいしいぶどうを作るためにはよい樹が必要。
よい樹にするためには良い土が必要。


土・樹・実。丁寧な作業とこだわりと想いと。それぞれが調和して、1つのワインができています。

スーパーで買うワインからは想像できない、裏の世界。この世界を知って味わうワインがどれだけおいしいことか…。

少し大げさかもしれませんが、作り手の想いを知ることで、人生がより豊かになるのではないか、とさえ思います。


3.ワインショップで歴史と想いに触れる

試飲ができるワインショップ

試飲をしたりお土産を買えたりするワインショップにも、製造者・栽培家たちの声が展示されています。

ワインごとに直筆メッセージが

ワインと共に並べられているのは、作り手の想いやワインの特徴が語られているパネル。ワインごとに展示されているため、ひとつひとつと向き合うことができるのです。

例えば「登美の丘 甲州2022」は、こう書いてありました。

「もう一杯」の声が自然と聞こえる甲州を目指して

もう最初の一文で響きますよね。ついつい飲みたくなる味わいを意識してるんだなぁと。

続けてこう書いてありました。

甲州は柔らかな味わいと心地よい酸味があり
相性の良い料理が多いのが特徴だと考えています。

2022年はぶどうの違いや醸造の違いなど、さまざまな特徴を持った原液をブレンドすることで、バランスの取れた味わいに仕上がりました。

色々な料理との相性をお愉しみください。

どんな料理にも合うような仕上がりとのことで、比較的気軽に楽しめる味わいを目指したのではないでしょうか。

この直筆のメッセージに惹かれ、1本購入!スッキリとした辛口ですが、香りが鼻に抜ける飲みやすいワインでしたよ。

おすすめです。

購入した登美の丘甲州2022

他にも、ツアーで試飲したぶどうジュースやお菓子なども販売しています。

ツアーで試飲したぶどうジュース
ワイン風味?のポッキーも

もちろん試飲も可能!
気になるワイン、お好きなワインをいただけます。

自分で注ぐタイプの試飲
チーズなどのおつまみも買える

試飲はショップ前にあるバルコニーでいただくのもOK。

ショップではおつまみも販売していますが、隣接するレストランで食べ物を購入して、試飲と共に外のソファで楽しむ方もいるそうです。

レストランは金土日の営業
ワインに合う食事メニュー

レストランは金曜、土曜、日曜のみの営業です。

お越しの際はぜひ、開放的なテラスで壮大な景色を眺めながらワインを味わってみてくださいね。


日常も旅になる。少しだけ踏み込んで一味違う旅行を


触れなければ、なんの変化もない。
関わらなければ、知ることもない。

世の中そんなことばかりですよね。

ワクワクするディズニーランドも、しっぽり過ごしたい京都も、モノやヒト、コトの裏側を垣間見ることでより深く厚い旅になります。

隠れミッキーもそのひとつ。普段見えないような、意識しないような場所へ意識を移す。ディズニーは、あまり知られない魅力を伝えるために、そんな楽しみ方を提供してくれているのではないでしょうか。


・話を聞いてみる
・歴史を調べてみる
・構造を見てみる
・コンセプトを意識してみる
・バランスを見てみる
・製作者を調べてみる


身近な場所も憧れの場所も。

少しだけ、見えない"裏側"を意識してみませんか?

人生がほんの少し豊かになる新しい発見が、そこに隠れているはずです。





#私のこだわり旅

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