娘の中学受験が終わった
娘の中学受験が終わった。
試験科目は算数、国語、英語、論述問題(作文)。
「算数が一番難しかった。だけど全教科、答えが
書けた。全部空欄を埋めたから自信がある」
おお、頼もしい。自信がないと自覚している場合はほぼ不合格だ。でも自信があるといっても他の受験生も勉強してるから合否はフィフティフィフティ。受かるのは5人に1人だ。
しかしよく頑張った。休日も返上して勉強、始業式だけ出席し、休学しては塾の毎日。息抜きはスマホでYouTubeを見るくらい。
少しでもねぎらおうと思い、試験の帰り道に聞く。
「マクドかスタバでも行く?」
「行かない」
駅前にスーパーがあるので「なんか買っていく?」
「いい」
娘はどこそこに行きたいとか何が欲しいとかあまり言わない。お金がかからないから助かるが、親としては面白くない。
ただ、合格したらニューヨークかロンドンに連れていって、と。
いやいや塾代でいくら使ったか。毎月の塾代に加えて夏期講習や冬季講習で百何万という大金が飛んでいった。
「海外は無理でも国内でどこか行きたいところか、欲しいものない?」
と言うと、ちょっと考えて言った。
「ポンド札が欲しい」
娘は英国王室推しだ。英国ファミリーはフルネームで言える。それくらいお安いご用である。
「それじゃあ、来週の土曜日に関空に行って両替しようか。今1ポンドは何円?」
「188円」
さすが即答である。
「何円分換える?」
「ええと、二千円」
もちろん自分の小遣いからだ。家族の中で一番現金を持っているのは彼女だ。
海外は無理でもせめて空港に連れていってやりたい。とか言っても一番ワクワクしているのは僕だったりして。
その翌日が合格発表だ。前祝いになればいいけど。もし合格でもしたら、ドライな娘は泣かないだろうけど僕は泣くだろう。娘の頑張りを知っているから。
二千円賭けてもいい。