巨大な石柱が立つぶどう畑
domaine tettaから程近く、もう少し標高の高い場所にあるこの畑。
“草月の畑“と呼ばれ、樹齢20年のシャルドネというぶどうが植わっている。
岡山県新見市哲多町で野波晶也さんが営む岡山ワインバレーの畑だ。
この新見市エリア一帯はカルスト地形と呼ばれる、地表に露出した石灰岩が雨水などで侵食されて誕生した地形が分布しており、地域の至る所に石灰岩の白い岩が地表にむきだしている。
石灰岩とは元々魚介類やサンゴなどの死骸が海に沈んで堆積したもの。
世界的に有名なワイン産地であるフランスのブルゴーニュやシャンパーニュなどもこの石灰岩質土壌からワインが造られている。こうした土壌からつくられるワインはミネラルが豊富で、豊かな酸としっかりとしたストラクチャーがある。
野波さんの草刈り真っ最中の畑にお邪魔させてもらった。
丁寧に管理された畑は美しい。
愛犬くんが日陰で小休憩をしている。かわいい。
畑の脇にはカレンフェルトと呼ばれる巨大な石灰石柱が立っている。とてつもない存在感。
野波さんが岩の周辺の草を刈ってくださり、岩の上にも登ることができた。
絶景!岩の上からは畑が一望でき、畑の周りの景色も見渡せる。この岩を中心に風が回るそうで、気持ち良い風が吹いていた。
眼下には高梁川が流れ、そのまわりに河岸段丘を形成している。川のこちらと向こうでは地質が少し違うそう。高梁川を挟んでこちら側の険しい谷の上は荒涼としたカルストの台地がつくられている。この畑の地下には鍾乳洞が広がっている。
複雑なこの地形からぶどうが育ち、ワインがつくられていることを肌で感じることができとても感動した。
野波さんのご自宅の目の前にあるサンジョヴェーゼとネッビオーロというイタリア系ぶどうの畑にもお邪魔させてもらった。
こちらの畑では垣根ではなく岡山方式と呼ばれる、岡山を高級ぶどう産地にした先人たちの経験が培われてきた伝統的なぶどう仕立ての方法だ。
ブドウの房が一列にずらりと並ぶ仕立て方で、ぶどうが生る部分だけに雨を避けるためにビニールを張る。
これによって枝葉の管理がしやすく丁寧なぶどう作りができる上に、ビニールが雨を遮ってくれ病気に対する対策にもなる。
野波さんがイタリアを旅した時に出会った一杯のワインに魅了され、日本でもそのようなワインがつくれないかと探し求めた結果、岡山にたどり着いたそう。
野波さんの言葉で印象に残っていることがある。
“ ぶどうは収穫時に一番注目が集まるけれど、普段の葉の管理が一番大事!
どれだけ丁寧にぶどうと向き合うかがぶどうの収穫につながる。“
ひたむきに丁寧に毎日ぶどうと向き合っている人だからこその言葉だと感じた。
畑のあとは醸造所へ。
哲多町荒戸山の麓にある保育所跡地をリノベーションしてつくられた醸造所。
仕込みシーズンに向けて整然とタンクが並んで出番を待っている。
醸造所からは付近ののどかな風景をみながらワインを試飲することができる。
先ほどの畑からつくり出されるワイン。
シャルドネからつくられる白ワイン。サンジョヴェーゼとネッビオーロからつくられる赤ワイン。そしてシャルドネにサンジョヴェーゼの果汁を加えて、瓶内で二次発酵させたスパークリングワイン。
ワインの味わいからぶどうの力強さを感じられ、とても美味しい!
実はこちらのワイナリーにお邪魔するのは今回で2回目。(5月にも訪れた)
前回は沢山試飲をさせてもらったので今回はハンドルキーパー。
買わせて頂いたワインは後日ゆっくり家で楽しんだ。
ゆっくりと丁寧にぶどうについて、ワインについて説明してくれた野波さん。
素敵なワインを感じにぜひ訪ねてみてほしい。
野波さんから周辺で泊まれるところやおすすめのチーズのお店や観光スポット、近県のおすすめワイナリーなども教えてもらった。
新見を拠点にして旅をするのも楽しそうだ。