[1分小説] もしも私が鳥だったら|#青ブラ文学
カッカッカッカ...
" If I were a bird, "
「いいか、今書いたのは仮定法という文法だ」
カテーホー?
「仮定法は本来であれば中学3年で学習する単元だ。
しかし我が校では2年生のうちに概要だけやる」
ガイヨー?
「一昨年から公立入試の出題範囲となった単元だ。しっかり聞いておけ」
おけー!
・・・な、わけないでしょ。
はぁ。早く終わらないかな授業。
「この文は『もしも私が鳥だったら』という日本語訳になる。事実とは違ったことを・・・」
もしも私が鳥だったら、かぁ。
「文の後半は『~なのに』と訳す。いいか、
ここ必ず覚えておけ」
もしも、私が鳥だったら・・・
"もしも私が鳥だったら、あの人のところに飛んでいくのに。"
うん、いいかも。
ばっちりじゃん私。
私が鳥だったら・・・かぁ。私も飛んでみたいな。
「仮定法では、時制を一つ前の過去にするんだ。
この手順飛ばすなよ」
そういえば理科のセンセー、こないだ
「鳥は空気テイコ―を使って飛ぶんだ」とか言ってたなぁ。
空気テイコー・・
空気?風のこと?
風が、勝手に運んでくれるってことなのかな。
風は行き先を知ってるってこと?
「誰も先のことは知らないから、仕方がないんだが。ふゥ・・。いいかお前ら。
3日前にあった今年の神奈川県 公立入試の英語、
とてもつもなく難易度上がったんだからな」
私も空に上がって、あの人のところまで風に運んで欲しいな。
どこにいるかわからないけど・・。
「なぜかはわからない。ただ、
ここ10年でも例を見ない、難問揃いの出題だった。
正直、先生も想定外だった」
もうさ、想定外の出会い、絶賛ボシュー中だよ。
ねぇ、まだ見ぬあなたはどこにいるの?
「だからな、先生がお前たちに言いたいのは、」
はぁ・・・
「来年の入試に対する覚悟を、
一刻も早く持って欲しいんだよ」
私も早く欲しいなぁ・・
「お前たちに、『カ・ク・ゴ』が欲しいんだ」
私も早く、カ・レ・シ、欲しいなぁ・・・。
♡【完】♡