
三木美術館が主催した第2回ミュージアム・ツアーが大好評だったワケ
三木美術館は地域に開かれた美術館を目指し様々な新しい試みに取り組んでいます。昨年実施をして好評だったのがミュージアム・ツアーです。そのきっかけは、来館されたお客様などから「絵の鑑賞の方法はありますか」、「作品についての解説があればもっと楽しめるかも」というお声を頂いたことです。そして昨年初めての試みとして実施したところよい反響でしたので、今年も第2回を実施いたしました!
ミュージアム・ツアーの講師は、クリエイターとしてご活躍中の赤木氏にお願いしました。その様子をレポートさせていただきます。次回はさらに一人でも多くの方にご参加いただければと思います。
まずは三木美術館についてご説明をさせていただきます
三木美術館は姫路城の正面というたいへん恵まれた立地にある企業立の美術館です。企業立というのは聞きなれない言葉かもしれませんが、一般の企業によって運営されている美術館のことを指します。ちなみに三木美術館は姫路に本社をおくデベロッパーである美樹工業が運営会社です。
もともとは美樹工業の創業者、三木茂克が長年コツコツと集めてきた美術品を播磨地域の文化向上を願い、美術館をつくって展示開放したことが始まりです。主に日本人の絵画作品と陶磁器を収蔵しています。
今回のミュージアム・ツアーの講師を努めてくださった赤木さんは以下のように当館の魅力を語ってくださっています。
「三木美術館には明治から大正、昭和初期にかけての作品が多く所蔵されています。ちょうどその時代は西洋絵画が日本に入ってきた時期で、日本の絵画が大きな影響を受けた時期。じゃあ、どんな影響を受けたの? ということが理解できれば、より興味深く鑑賞できると思います。また同時期の作家の作品が集まっているので、師弟関係の作家の作品を見比べたりできるのも面白いと思います」と。

ミュージアム・ツアーのきっかけと計画は…
三木美術館はそう大きくない美術館ですし、常設展示のコーナーもありますから企画展のスペースには限りがあります。初来館される方にはある程度ご満足いただけますが、リピーターの方にも飽きずに楽しんでもらえることを私達美術館スタッフは常々考えるようにしています。
そしてブランディングをお願いしている(株)ヴァーティカルさんとのミーティングでミュージアムツアーの企画が誕生しました。他の美術館などでは学芸員がツアーを担うこともありますが、さまざまなお客様の質問にも幅広く対応できるようにと初回から外部の専門家による本格的な美術鑑賞ツアーにしようということに。また姫路城の優雅な姿をのぞむことができるのも当館の魅力ですから、それも体験していただけるようにしたいと思いました。
新しい方には気軽に三木美術館を”まるごと”楽しんでいただける機会になりますし、リピーターの方には違った視点、より深い知識をご提供できるのではないかと思えたのです。
今回の講師役の赤木さんは、昨年に引き続いてのご登場です。東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業され卒業後は広告代理店にてCMやキャンペーンのクリエーターとして活躍されている方です。大学での専攻が近現代の日本美術史ということですから当館収蔵作品への造詣が深いのはもちろんのこと、さまざまな広告制作にも携わられているので、一般の人に”分かりやすく面白く”お話をしてくださいました。

当日の流れをご紹介します
今回は1月25日(土)の13:00と15:00の2回に分けて実施しました。
〇受付時の様子
ツアー当日、余裕をもって早めに来られていた方とそうではない方、参加者様によってそれぞれでした。
早めに来られていた方は2階『galleryアートスペース miki』にて展示中のぬりえアートコンテストの応募作品(第2期)を鑑賞されたり、多目的室から見える姫路城を写真に撮られるなどして過ごされていました。
〇講義の時間は…
講義の場所は三木美術館も入っている美樹ビルの多目的室。ここは姫路城を障害物なく見渡すことができる姫路でも特別な場所。お城側は全面ガラス張りになっている気持ちのよいスペースです。
ここで絵の鑑賞方法についてレクチャー。鑑賞方法に絶対的なルールがあるわけではないということで、赤木さんからはいくつかの鑑賞方法が披露されました。
「もし一点だけ買って帰るとしたらどの絵にするか? そう考えながら絵を見るのも面白い」
「作家が作品を創作する際には、一部分を描いたあとに少し離れてどのように描けているか全体を観る。そういう作業を繰り返して一つの作品を完成させていくので、作家と同じように鑑賞してみる」
「描かれた頃の世の中の様子、つまりこの時代にはこんなことがあった!というのが頭に入っているといろんなことが関連して見えることもあります」
など...。
参加者の皆様が赤木さんの説明を頷きながら聞く様子が見受けられました。
またそのレクチャーの時間には、姫路を代表する喫茶店、はまもとコーヒーさんのコーヒーと茶菓子をご用意したので、その場の空気も和み、喜んでいただけているように感じました。

〇展示室では
普段は静かに鑑賞することがマナーの美術館において、話を聞きながら、質問をしながら観て回れることは新鮮で、参加者の方も楽しそうでした。
赤木さんによる作家・作品についての解説が興味深く、お話の引き出しも多かったので解説中、解説後も含め多くの質問を受けられていました。

ミュージアム・ツアーが大好評だったワケについて参加者のお声を借りながらご説明します。





[企画/制作ヴァーティカル]