大人も子どももメディア情報リテラシーを学ぶことが大切
前回の記事に引き続き、韓国のソウルで行われたInternational Fact-Checking Network(IFCN)が主催するGlobalFact10というカンファレンスに出席して考えたことを書いていきます。第二回目の今回は、スペインの団体「MALDITA.ES」が取り組んだ「メディアリテラシーバス」についてです。
スペインでの取り組み
前回書いた通り、ファクトチェックについてだけでなく、メディア情報リテラシーに関するセッションも多く行われましたが、その中でも分科会ではなく全体会の中で発表され、私の周りの参加者からの反応も良かったのがこのメディアリテラシーバスの取り組みでした。
特に印象的だったのは、実施する中で、陰謀論者などからオンライン、オフラインでどのような嫌がらせを受け、どのように回避したのか。高齢者へどのような声掛けが有効だったのか、です。特に声掛けについては、「教えてあげる」というような上から目線ではなく「気を付けよう」などといった同じ目線に立った柔らかい言葉を使って訴求した方が良い、と説明していて、弊社での取り組みでも参考にできることがあると感じました。
あえて出向いて直接伝えることの意味
この取り組みの素晴らしさは、オンラインでの問題をアナログな手段を使って人々に伝え、訴求しようとしているところです。恐らく、高齢者で日常的にメディアリテラシーについて考える機会がある人はほとんどいないでしょう。そのような人たちにオンライン上でリーチすることは極めて難しい。だから自分たちから直接会いに行こう、というのがこの取り組みです。頼まれずとも自ら機会を作りアプローチをすることで、人々に考える機会を提供する大切さを感じます。
あえて高齢者へ訴求することの意味
この取り組みの主なターゲットは65歳以上の高齢者でした。日本でメディアリテラシーの話になると、ほぼ必ずターゲットは「子ども」です。しかし言うまでもなく、大人にもメディアリテラシーは必要です。大人になってからデジタル端末が登場した人にとって、学ぶ機会はこれまでありませんでした。会社員であれば職種にもよりますが、仕事を通じてほぼ強制的に学ぶこともあります。しかし高齢者にはそのような機会はほぼありません。
そんな高齢者も、他の世代と同じようにデジタル端末を使用しています。そして、「大人」として、子どもたちに「指導」する機会もあるかもしれません。そう考えると、メディアリテラシーを早く確実に広めていくためには、子どもにも、大人にも伝えていく必要があると感じます。
おわりに
これまで弊社ではオンライン・オフラインで行う講座やイベントを主催してきましたが、このセッションを聴いて、幅広い参加者を集めるにはどのように工夫すれば良いのか、について具体的に考えるきっかけになりました。
夏休み、7月25日(火)13時@神奈川県大船で、小学生向け講座を開催する予定です。小学生向け講座にしたのには2つ理由があります。一つは、デジタル端末を使い始めの小学生の段階で仕組みを知り、正しく使用してほしい、ということ、二つ目は、同伴する保護者にも子ども向け講座を通じてメディア情報リテラシーを考えるきっかけを提供したいからです。
※詳細は近日中に公開予定
弊社でも「子ども」も「大人」も一緒に学ぶ機会を、引き続き積極的に作っていきたいと思います。
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