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ゆるりドイツ学生生活 第6弾 【ドイツ大学院の通訳科】通訳ってそもそも何を勉強するの?
おはようございます。
本日は5時半起き、7時には出かけて、もう眠くて死にそうです。
なんで、こんは早起きかって?
課題が終わらないのだ。
課題と言っても通訳の学生がどんな課題に追われているかなんて、皆さんきっと想像もつかないと思います。通訳って聞いて訳すだけだと思うじゃないですか。
なんなら通訳と翻訳の違いについてよくわかっていないという方もいるかもしれません。
少なくとも私はそこまで通訳って何をしているのか、入学前はわかっていなかったです。
なので、今回はちょっとだけ通訳学科のこと、そして通訳という仕事について簡単に説明をさせていただきます!
日独通訳を学べる大学とその仕組みについて
まずは少し、私の大学についてご紹介します。私が通っている大学はハイデルベルグ大学です。ドイツで最も古い大学として欧米ではよく知られている大学です。街はまさに多くの日本人が好きそうな「ザ・ドイツ」の旧市街という雰囲気で、大人気の観光地でもあります。
さて、通訳学科の話をしますと、これも歴史がかなり長いようです。通訳学科はパリの大学、ハイデルベルグ大学の二つが2大パイオニアと言われています。最初に通訳学科を作ったのがパリの大学、そして同時通訳を発明し、通訳学科に導入し始めたのがハイデルベルグ大学なのだそうです。
そのため、よく通訳の中での様々な戦略に関して、「パリ流」「ハイデルベルグ流」の二つを耳にします。詳しくお話ししますと、かなり長くなってしますので、これは今回の記事では割愛します。
通訳学科に入学されたい方は、学士を取得している必要があります。私は日本帰国後、日本人としての王道を行っているので、ストレートに中高を卒業し、大学に入学しましたので、学士を以前から持っていました。
そして、そのまま大学院で通訳学科に行くことはなく、一般的にそこから就活を経て働き、社会人を3年経験したのちにこの大学の入試試験を受けました。
入試時には必ず3つの言語を選択しなければなりません。これが、入学後の通訳の言語となるのですが、A言語が母語、私の場合は一応日本語です。そしてB言語は第二言語なのでドイツ語になります。そしてC言語が英語です。ただし、ここでC言語の特徴で言いますと、その言語はリスニングのみということです。つまり、C言語はA言語に通訳されるが、A言語、またはB言語からC言語に通訳することはありません。
通訳という仕事
通訳という仕事は2018年の世界保健機関の調査によりますと、精神的負担が最も多い仕事ランキングで第3位ということをご存知だったでしょうか?
私は正直に知りませんでした。
そして通訳学科に入るとそのストレスフルな日々を痛感させられます。通訳として育て上げるので、もちろんストレス耐性があるかどうかは今後現場に行き、仕事を開始する際も必要な能力なので、そういったメンタルの強さも評価されます。個人的には先生たちも意識して負担を与えることもあるのでは、と思うこともあります。
では、具体的にはどういう風に準備が必要なのでしょうか?
通訳の準備は無限大です。通訳の種類にもよりますが、基本的なことを少しピックアップしますと:
・トピックについて、2つの言語で十分に理解すること
・専門用語の正確な訳し方を知ること
・わからない単語や専門用語の単語リストを作っておく
・資料や原稿などがあれば、それを事前に翻訳しておくこと
・なければ講演者から資料をいただけるよう交渉すること
・講演者やスピーカーの方についての下調べ
・会社などが関わっている企画の場合は、企業についての下調べ
・プログラムによって質疑応答などがある場合は、質問を予想すること
などなど
他にも本当に様々な準備が必要となります。
これはほんの一部に過ぎません。
よーく考えれば、確かにそうだよねってなります。
だって通訳は天才ではないのですから。
全てを知っているわけではありません。
それでも世間では通訳はなんでも知っている天才のように思われてしまうことも少なくありません。なので、間違った通訳はメディアでも取り上げれてしまったり、馬鹿にされることも度々見かけると悲しくなるのです。
通訳の力不足といえばそうかもしれませんが、依頼者側の協力や準備資料の配布なども必ず必要なのです。でなければ、通訳は適切な準備すらできなくなってしまうからです。
なので、もし今後通訳を依頼する機会がありましたら、ぜひ通訳さんには準備資料を送るなど、どういったクライアントが来るのか、イベントの詳細など、細かく送って、協力してあげてください🥺
通訳の種類と大学で学ぶこと
最後には通訳学という独自の学術分野すらあることを紹介させてください!
通訳にはたくさんの種類がありますが、私が学んでいる通訳科は主に「会議通訳者」になるための場所です。
そして会議通訳には二つの種類があります。
・逐次通訳
・同時通訳
逐次通訳はメモをしながら、相手の発言をコンパクトにしつつ、正確に通訳していくことです。なので、基本的にはA言語の●●さんの発言中は通訳がメモし、●●さんの発言が終わったら、B言語の△△さんに向けて通訳するという形です。
ここには、記憶力ももちろん、相手の発言の意図を正確に伝えるための瞬時の理解力・傾聴力、言葉の適切さ、どれほど自分と違う意見でも発言者の感情も汲み取って表現できるか….などなどが必要になります。
それだけでなく、通訳者にしかないメモテクなどもあるのです。
まさに独自の言語を開発するような作業ですが、こういう通訳技術を大学院で学んだり、自分が通訳中にあたる問題や脳の負担をより軽減するための通訳戦略なども学ぶのです。
同時通訳は、言葉の通り、同時に通訳をする方法です。基本的には機材が入った通訳ブースに入り、講演者の声が届き次第、瞬時に通訳がマイクに向かって訳し、視聴者は自分達の聴きたい言語のチャンネルを選び、ヘッドフォン越しで通訳を聞く状況です。
きっとそのような現場を見てみないと想像つかないという方がほとんどだと思います。ただ、やはりこの同時通訳というのがまたとっても難しいのですよ….
ドイツ語と日本語の組み合わせだと特に、主語・動詞の順番がかけ離れていますので、同時に話そうとしても、なかなか話せないような状況が出てくるのです。なので間が長くなればなるほど、聞き落としてしまう部分も出てくるわけなので、この負担はどう減らせるのかというのも授業で学んでいくのです。
最後に
これはほんの一部の紹介に過ぎません。通訳というピンポイントの職業にどれほどの人が興味を持っているのか正直わかりませんので、大まかな紹介しかしませんでしたが、もし反響がよかったら、さらに詳しく書いてみようかなと思います☺️