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07 訪問リハビリの日常【誕生日には花束を】

「訪問リハビリの日常」は、私の体験をもとにしたフィクションです。登場人物は架空の人物であり、実際の出来事とは異なります。

「定年後、妻とのんびり余生を過ごそう。」
そう思い、仕事に邁進してきたその方は、定年後すぐに交通事故に遭ってしまいました。そして、その事故の後遺症のせいで四肢麻痺と言う、手も足も全く動かせなく障害を負ってしまいました。なんとか、自分で呼吸はできるものの、言葉もうまく発することができません。その利用者様を奥さんは長年も介護されています。
 その奥様の誕生日には、毎年プレゼントが届きます。体は動かず、言葉もしっかりとは話せませんが、奥さんの誕生日が近くなると娘さんに伝え、毎年奥様の欲しそうなものや、奥様に似合うだろうと言うものを、その方はプレゼントしていました。そして今年もその奥様の誕生日がやってきました。なんと今年は結婚50周年と言う金婚式の年でもあったそうです。その年に届いたプレゼントは、なんと奥様の年齢の本数ある真紅のバラの花束と「いつもありがとう」と書かれたメッセージが添えられていたそうです。年に1度、奥様の誕生日にプレゼントとともになかなか言葉にできない思いを、メッセージに添えてプレゼントをされています。奥様は結婚50周年だと言うことは忘れていたそうですが、利用者様の方が覚えていてくれたそうです。
 普段、当たり前のようにそばにいてくれるからこそ気づきにくいですが、利用者様は奥様のことをとても大切に思われていることを感じる日でした。

 リハビリに伺うと、ブリザードフラワーとなり素敵な額縁に入れられた真紅の薔薇と、利用者様の奥様がいつも笑顔で訪問リハビリや訪問看護師などのスタッフを迎え入れてくれます。
 普段、私たちは家族が健康でいることや、そばにいてくれることを、当たり前と思ってしまっていると思います。しかし、健康でいること、そばにいてくれることは、当たり前ではなく感謝すべきことなのだと気が付かされます。普段、忙しくなかなか感謝の気持ちを伝えられていませんが、誕生日など特別な日には、きちんと感謝の気持ちを言葉にしてみないといけないなと感じます。
 この夫婦がいつまでも穏やかに暮らせるよう、私たちはできる限り、リハビリを続けていきたいと思います。

【一言メモ】
日本人の死因をご存知でしょうか。
2021年のデータによると、日本人の死因は、
1位「悪性新生物(がん)」
2位「心疾患」
3位「老衰」
が上位3位で、全体の半分以上を占めています。
4位「脳血管疾患」
5位「肺炎」
6位「誤嚥性肺炎」
7位「不慮の事故」
8位「腎不全」と言う順番です。

老衰が死因の第三位と言うことに、心底驚きました!!それだけ高齢者の割合が増えたと言うことですね。


この話は私の体験をもとに感じたことを記載しています。そのため、内容はフィクションであり、登場人物も架空の人物です。


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春野 さとみ【理学療法士×ワーママ】
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