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人手不足に耐え切れず、思い切ってAIを導入したら、2,700万円も節約できた話 ~これがホントの中小企業のDX化かも~

最近の講演で、最も好評をいただいている「AI導入による節約体験談」。
私のような、昭和生まれのアナログ経営者でも、AIを味方につけられたエピソードは、特に、中小企業経営者の皆様のお役にたっているようです。
そこで、ここに講演内容のエッセンスと、役に立つAIアプリもちょっとだけ書きました。少しでも、参考になれば幸いです。

◆キッカケは、未曽有の人手不足

 私は中小企業経営歴35年。デジタル思考にほど遠いアナログ経営者です。また、当初、AIなんて中小企業には手が出ないもの、とも思っていました。
 しかし、コロナ規制の撤廃後、「あれ?いったい人はどこに行ってしまったの?」と戸惑うほどの人手不足に見舞われて、ありとあらゆる求人活動に手を出し、成果が得られず疲弊してしまった時に、AIだけがこの窮地を救ってくれたのです。
 もちろん最初は、恐る恐るのチャレンジでしたが、アナログ経営者の私でも、会社を守ろうと必死になれば、AIを味方にすることができたのです。

◆仕事内容を棚卸して、AIに任せる業務をピックアップ

 ただ、社業のすべてをAIに任せることは、とてもできません。特に私が経営しているのはPR会社なので、血の通ったコミュニケーションが命です。よって、PRプロデュースやディレクションなどPRの根幹業務は「人間」でなければ成り立ちません。 
 そこで、まずはPRのステークホルダー解析法(※)をヒントに社内の業務を棚卸して、人間が行う根幹業務とAIに置き換えるフォロー業務に因数分解しました。
(※)詳しく知りたい人は、私のオンデマンド講座を受けてくださいね。
https://lpr-m.jp/ondemand/

AIに任せられる業務は何か、まずは会社の業務を因数分解

◆人が定着しない業務こそ、AIに任せられる!

 すると事業の根幹を担うPR業務には人が定着しているのに、電話番や庶務などのフォロー業務は人が定着しないことが分かったのです。
 これだけでも大きな収穫でしたが、その業務をAIに置き換えていくうちに、いつのまにか会社の構造が一変しました。これが真のDX化かもしれませんね。私は奇遇にも、AIの導入によってDXがDigital Transformationの略である意味を、肌で感じることができたのです。

◆「AIが人の職を奪う」⇒「人がいないからAIが職を担う」

 なかでも、AIによって、長年必要不可欠と信じてきた事務員の仕事を撤廃できたことは、会社の構造を丸ごと変えました。
 その主なプロセスを紹介しましょう。
 まずは電話番をAIに任せようと、スタートアップ企業IVRyのサービスを導入しました。一言でいえば「ナビダイヤル」のサービスですが、AIで迷惑な営業電話をシャットアウトしてくれる上、多額の経費が必要だったナビダイヤルシステムを月3,000円から提供してくれます(9月から月およそ5,000円からになるそうです)。
 しかも、スマートフォンで簡単に操作できるため、会社の代表電話だけでなく、プロジェクトやイベントの電話対応にも活用できます。
 導入を決めたのは、同社社長の奥西亮賀さんがあるビジネスコンテストで「中小企業の電話問題は深刻だから、すべてを解決できる仕組みを作った」とプレゼンされたその言葉に強く共感したからです。
 AI導入も人の心を起点に組み立てると、うまく運ぶようですね。
 また同時に、経理や総務の事務作業にもAIとアウトソーシングを導入した結果、これまで必須と思っていた事務員がいなくても業務が回る体制が、見事に整ったのです。
 これまで「AIは人の仕事を奪う」と言われてきましたが、現実には「人がいないから、AIが職を担う」ことをまさに肌感覚で実感しました。

アシスタントにもAIを起用
 PRディレクターと「あうん」の呼吸でタッグを組んで仕事を進めていくPRアシスタント。今も、優秀な社員に担ってもらっていますが、企画書作成やデータ資料作成など事務作業に近い仕事はかなりの時間がかかるので、なんとか効率化したいものです。
 もちろん、生成AIの代表格「ChatGPT」はフル活用。今では、アイデア会議の主要メンバーとして、いつも効率的なアイデアを出してもらっています。しかし、企画書のブラッシュアップや、思考をまとめながら作る資料作成には、やはり人が必要なので、これをAIに任せられたら、業務効率は各段にアップします。
 これには、かなり多くのAIアプリを試して、使えるものを厳選しました。前回のnoteに書いた「AI殿村」もそのひとつですが、海外アプリなので「これは安心ですよ」とは、なかなか言い切れません。
 そんな中で使い勝手が良く安心だと確信したのは、Gammaというアプリ。企画の概要をテキストで書きこむだけで、立派な企画書を作ってくれます。もちろん修正は必要ですが、デザイン性も豊かで必要な項目を最初から入れてくれるので、白紙から作るよりはるかに簡単!白紙から企画書に取り組むときの、重~い気持ちからも解放されます。しかも無料プランでかなり使えるのも魅力です。

◆約2,700万円が節約できて、中核社員の年収をアップ!
 こうして、AIと格闘した結果、なんと年間約2,700万円の固定経費を節約できました!その分、根幹事業を担う社員たちの給与を大幅にアップすることで、大企業並みの年収を保証することにも成功しました。
 すると彼らのモチベーションが上がり、新たな挑戦や提案も増えて、売上も前年比40%アップ!AIを導入したことで、人手不足でマイナスに動きがちだったことを、すべてをプラスの循環に変えることができました!

 今では「AIは中小企業の救世主かもしれない」と心から思います。辞表も出さないし、きちんと使えば裏切らないし、何よりフォロー業務の人材確保に頭を悩ませることなく、事業の根幹に携わる人材確保と育成に集中できます。今、社会課題になっている自律的な中小企業の賃上げには、このような社内の構造改革が必要かもしれませんね。

◆最も大切なのは、経営者の意識改革とリスキリング

 この一連の体験で、最も必要だと思ったのは、経営者の意識改革です。
特に「経営者は会社を俯瞰的に見て経営に集中し、現場の業務は社員たちを信用して任せるべきだ」といった昭和風な経営哲学は、完全に捨てなければなりません。
 なぜなら、AIは優秀できっちり仕事をこなしますが、時々わかりにくく間違うこともあれば、あっという間に古くなったり、使い方が変わったりするからです。すぐ考えが変わる東大出身者を社員にしたような感じでしょうか。だから、まずは経営者がみずから向き合って、対話しなければ、戦力になりません。

 そして最も大切なことは、経営者自身が日々勉強しまくること。
 これはMBAや資格を取得するなど一般的に知られるリスキリングとは別の勉強です。ざっくり言うと「時事問題をAIに説明できるまで企業の価値観で理解し、それによって、人間の心理がどのように動くか予測できるように学ぶ勉強」というべきでしょうか。すごく大変そうですが、やってみると、意外に楽しいものです。
 そして何より、幅広い知見が得られるので、企業経営には一石二鳥ですね。

※詳しい体験談と分析は、地方PR機構の「研修・講演」で承っています。
 ぜひ、お声がけください。 


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