いつの間にか「せんせい」中編

末娘が剣道クラブに入った事で

あっという間に我が家は

剣道を軸に行動する様になった。

小学生だった長女を夜1人留守番させるのは不安で一緒に道場に連れて行った。先生にも私にも一緒に来るんだったら「一緒にやってみたら?」と言われたが

「いやだ」


と首を横に振った。


妹が練習する1時間半、長女は邪魔にならない所で本を読んで過ごした。道場にも入らず練習に見向きもしなかった。1ヶ月後、家で留守番出来ると言い出し一緒に行かなくなった。初めは心配だったが、娘はひとりになれる時間が出来て楽しんでいたようだ。

その長女が数年後、中学で剣道部に体験に行き入部した時、家族だけで無くクラブの先生もびっくりしていた。

せっかくやるなら…内心無理だろうなと思いつつ、クラブにも入った方が段目指せるよと勧めたら「わかった」と加入。4級から受け始め一度も落ちる事なく中学3年秋に二段を取得。後から始めた姉が、とっとと段審査も受けることに小学生の妹は御立腹だったなぁ。

長女が剣道をしていたのは中学時代だけ。部活とクラブで練習を頑張っていたが「何で入ったんだろう?」と中学卒業後に言っていた。長女が剣道をした事は我が家の七不思議のひとつだ。

何ですんなりクラブも入ったのかな?

後々聞いてみた時の答えが

「入らないと怒られると思った」


私はその頃「せんせい」になりつつあった。

半強制と感じたのか、

母、よっぽど鬼の形相だったのか…

そんな気分にさせて申し訳ない事したな。

でも道場で友達と笑顔でいた長女の顔

決して強かった訳では無いが

打たれるのは痛いから嫌だ!と言う思いで

押されてもビクともしなかった長女

小柄なのに全然揺るがなかった姿は忘れない。

気がつけばダンナさん以外剣道経験者の家族になっていたが 剣道一家!って感じじゃ無い。

ゆるーく剣道やってたよね〜な家族だ。


話を巻き戻して…

末娘がクラブに入り2年目ぐらいだったと思う。

道場で見学していたママさん数人の間で

「私もやってみたいわ」

と言う話が持ち上がり、先生に練習をお願いしていた。隣で座っていた友達が「やらない?」と声をかけてくれた。クラブに入った当初、話の流れでこっそり経験者である事を打ち明けた友達だ。

嫌いでやめた訳じゃ無いし運動不足解消になるかなとママさん初心者チームに加わり、道場の隅でお試し稽古を始めた。みんなが構えに四苦八苦する中、私はすんなり素振りをしたので少しだけ経験者な事が他のママさんにも知られていった。

素振りで始まったお試し稽古、ママさん達は体に痛みが出たと1人また1人と稽古から遠退いていった。残ったのは私を含めて2人だけだった。

「やっぱり経験が有ると違うよね」

他のママさんにそう言われたけれど(そんなに関係無いよな)って思ってた。なぜかと言えば中学の部活で教わった事は何となくの剣道だったと、長い年月を経てクラブで子供の稽古を見て自分も練習を始め、ようやくキチッとした事をたくさん知って気付かされた。中学時代の剣道経験も知識もゼローに近かったと改めて感じていた。

残ったもう1人のママさんと2人、コツコツと練習し防具を着けて小学生に混ざり練習するようになった。2人とも子供達の練習に迷惑かけられないよねと必死だった気がする。

「本当に人を打つの怖いな…」

もう1人のママさんがそう言うようになり辞めてしまった。

その気持ち分からなくも無かったから引き止め無かった。自分より年上の先生の面を打つとか私も超ビビった。そう言う気持ちが見えてたのだろう。もっとしっかり打ってと注意された。遠慮して打つことの方が失礼だと思うようになり必死でで打っていった。


あー遂に1人になっちゃったなぁ…

この先自分がどうしたいのかよく分からないまま練習に参加し続けていた。

長男に

「どこまでやるつもり?」

と聞かれた。

ちゃんと答えられなかったのを覚えてる。

子供には頑張れと言いながら

自分は迷いまくっていた。

大人の初心者が入ることが殆ど無いクラブだったから子供の稽古を邪魔して無いかなぁとか、他のママさん達は良い風に思って無いんじゃ無いかなぁとかそんな事を気にする小心者だった。

ただ末娘が練習を頑張ってた。

なのに私がここで辞めちゃうのはどうなんだ?と思った。また中途半端で剣道辞めちゃうのはどうなんだろう?と。じゃあ中途半端じゃ無いってどう言う事なんだろうと。

ある日、掛かり稽古の列に子供と一緒に並んでいると

「〇〇さーん、こっちに立ってー!」


へ?どっち?????(キョロキョロ)

こっちー!1番向こうで立って受けてやってくれる?

は…はいぃーーー⁇

ここが「なんちゃってせんせい」の始まりだ。


その頃のクラブは、たくさん子供がいた。逆に指導者の先生は少なかった。働き盛りの若い先生方は練習時間に間に合わず滅多に道場に来れない時期が続いていた。

大勢の子供達を数人の先生で指導するのはとても大変だったと思う。思うような練習をするのも大変だったのだろう。

「分かるとこ声かけてあげてね。左足とか礼法とかね。」

こうして新入部員の指導補助をする様になった。(私がやってて良いのかなー?)と言う思いを抱えながら。道場で後ろから声をかけて列を作らせて新入部員を励ますオバちゃん、「せんせい」なんて自分で言えないから「オバちゃんの話聞いてね」って言ってたな。

末娘は当時小2位だったかな。おかーさんが急に先生側になってどう思ってたんだろう?聞いたこと無いな。

今度聞いてみよう。


また長文になってしまった(^◇^;)

本気でもう一度自分の練習をするのは

もっと先になる。

何年かかったことやら…(汗)

次回は仕事と病気と剣道と

何をどうしたらいいのか

悩みっぱなしだった時代の事をね

書けたらと。

続く〜












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