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歩いて食べての台南|旅日記
2024年5月10日(2日目)
1日目のこと
今日から5泊6日の台湾旅行。台南と台北に3日ずつ滞在する。特に何の理由もない、ただの旅行。3ヶ月ほど前、代官山のSputnikというお店で、彼と「旅行でも行きたいね」という話になって、コーヒーを飲み終える前にはもう、台湾行きの航空券を予約していた。
「友愛牛肉湯」の牛肉スープ
朝起きて、まずは昨日食べ損ねた牛肉スープを食べるために『友愛牛肉湯』へ。「牛肉湯」の大と、「豬油拌飯」の小を注文。「豬油拌飯」は、牛脂を混ぜた白米に目玉焼きをのせたもの。
想像以上にやさしい味のスープ。牛の出汁がしっかり。美味しい。朝から牛は重いかなと思ったけれど、するする入っていく。ローカルスタイルだと、細切りの生姜ととろみのある甘酸っぱいタレを、少しずつ混ぜながら味変するらしい。タレを混ぜると、酸辣湯のような味になった。
「豬油拌飯」は白米が牛脂でコーティングされているわけだから、もちろんジャンクな味がした。だけど、目玉焼きを箸でわり、とろりとした黄身ですべてを混ぜ込むと、ふしぎとすべて調和されて、つい箸が止まらなかった。
路地に面したテーブルでご飯を食べながら、朝の光がコンクリートに反射するのを、ぼんやりと眺めていた。この光をこのまま切り取れたらいいのに、と思ったけれど、わたしは写真が上手ではないので、ただ覚えておくことにした。気づくと、彼がその光に向かってフィルムカメラを構えていた。
旅から随分と月日が経ったのに、フィルムカメラで撮った写真は、いまだ現像できていない。春になったら一緒に現像しようと話している。ほとんど一年越し。記憶の引き出しをひらくようで、その日をたのしみにしている。
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「醇涎坊古」の鍋焼意麺
朝食後、いったんホテルに戻り、少しだけ仕事をしてから街へ。
まずは、昨日食べ損ねた『醇涎坊古』へふたたび。「鍋焼意麺」の大を注文し、ふたりでシェアした。意麺とは、揚げた麺のこと。これも台南名物らしい。「鍋焼き」という名前のとおり、スープは鰹出汁のような風味で、ラーメンというより、天ぷらうどんの味に近い。
揚げた麺をすする背徳感。食べているうち、スープを吸った麺がふやけていく。それがまた美味しい。これは台湾ならではのB級グルメかも。
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旅にくると胃が拡張される。こんなに食べてもまだ胃に余裕があったので、近くのお店にふらりと入ってみる。名前は忘れてしまったけれど、豚肉とキュウリの酢の物、でんぶやソーセージなど、色々な具材がのったお椀を注文。小さな茶碗で頼めるのが、台湾グルメの良いところ。きゅうりの酸味と食感がアクセントになって、さらっと食べられる一杯だった。
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河楽広場
この日は猛暑。まだ5月だというのに、照りつける日差しも、肌にまとわりつく湿気も、日本の真夏並。日傘を差しながら、汗をかきながら、次の目的地まで頑張って歩く。
到着したのは「河楽広場」というアートスポットでもあり、街の憩いの場でもある場所。中国城の跡地をリノベーションした公園で、どこか異世界に迷い込んだような、不思議な雰囲気があった。なんとなく『天空の城ラピュタ』を思い出した。
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高架下のような場所には、浅い水場が広がっていた。日差しから逃れ、少しのあいだ水遊びをして涼んだ。
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わたしたちが訪れたのときは、平日の昼間だったこともあり、人はほとんどいなかったけれど、夜になると若者のデートスポットとして賑わうらしい。世界中どこでも、水辺には恋人たちが集まるんだなあと思った。
カフェ「沼澤marsh」(24年閉店)
それからまた歩いて『沼澤marsh』というカフェに向かった。古くて素敵な佇まいの建物。中に入ると、1階は器の展示販売スペース、2階がカフェになっていた。
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ミントグリーンとホワイトを基調にした清涼感のある内装が、すごく可愛かった。わたしはアイスコーヒー、彼はアイスラテを注文し、プチシューをシェア。中にはコーヒークリームが入っていた。しっかり重ためのアイスコーヒー、好きな味。
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実はこのカフェは、まさにわたしたちが訪れた翌週、2024年5月に閉店してしまった。お店を訪れた際にはそれを知っていたので「ここにはもう2度と来れないんだな」と思いながら、ひとときを大事に過ごした。
入ることはできなかったけれど、窓越しに広がるバルコニーが素敵だった。
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ここからは台南シティガールのりょうちゃんと合流し、りょうちゃんおすすめの台南スポットを案内してもらった。それは次の記事で。