約10年ほど付き合いのあった銀行の通帳を解約して来た
先日のこと。ずっと借り入れの返済のために付き合いのあった銀行さんへ行き、通帳を解約して来た。入金も返済もない通帳をいつまでもそのままにしているのは、なんとなくスッキリしない。ちょうど開いていた窓口に行き、中途半端に残っている残金の出金と解約を申し出た。
その銀行の支店は通帳を作った支店とは別の店だった。買い物のついでに通りかかった銀行を見かけ「そうだ、ここで通帳解約してってもいいのかも?」と思い立って窓口に行ってみたのだった。
聞くと、印鑑と通帳だけあればすぐに手続きは可能だと言う。ちょうど印鑑も持っていた。書類に2、3の必要なことを記入し、待つこと数分。あっという間に手続きは終了し、残高0になった自分名義の通帳には穴が開けられて小銭と共に手元に戻ってきた。
解約に行くまでそんなことを微塵も考えていなかったのだけど、窓口で残金と通帳を手渡された時、思わず「長いことお世話になりました。ありがとうございました」と言っていた。窓口のお姉さんがとても感じの良い人だったせいもあったかも知れない。
思い出して見れば、この通帳を作ったのはみけ子が最初に収益不動産を購入するために融資を受けた時だった。そしてその融資の毎月の返済をしたのがこの通帳。週に1度パートに通っていた職場のすぐ近くに、その銀行の支店があったのだ。その頃通っていた不動産塾では「近くにある銀行に片っ端から融資の打診をしろ。脈がありそうな銀行と繋がりを作って融資を引く方向に持っていく」というレクチャーがあったのだ。
融資や収益不動産を所有して収入を得ることになど、全く予備知識もなかったみけ子だが、素直に教えに従って昼休みに融資について聞きに行ったのが最初だったと思う。それが約10年前のことだ。
ざっくりと買いたい不動産の資料を持って、融資の可能性について担当者と話をした。結局その銀行からの融資は引けなかったけれど、その銀行からの紹介で政策金融公庫からの融資が実現した。公庫から最初に融資を受けたのは300万円。その300万円を足がかりに、不動産から収益を得るという道に踏み込んだのだ。
自分にはこれまでまるで縁のなかった、不動産から収益を得るやり方。不動産塾の師匠の教えと支援もあって、自分は晴れて収益不動産オーナーになったのだ。買い付け証明を書いて送った時、融資にOKが出た時、必要書類を送付して実際に入金になり不動産が自分のものになった時。それぞれの節目を人生初めての経験として、ドキドキしながら臨んだ。そんな過去のことを今更ながら思い出す。
通帳を作って融資金が入金になり、半年ほどの返済猶予期間を経てそれから毎月の返済。不動産の買い増しで借り入れも毎月の返済金額も増えた。それを今年の秋になって繰上げ返済して通帳の入出金は無くなった。思えば長い道のりだった……と10年弱の道のりをしみじみ思った。
自分の一つの軌跡がこの3冊の通帳には詰まっている。そう思うとなんだかとても感慨深い思いがする。
↓韓国李朝時代の小箪笥。銭函と呼ばれる形です。素朴で簡素ながらしっかりした作りの時代の証人です。