恐ろしい程の才能に心から焦燥と嫉妬を覚えた/ケイトブッシュ「天使と小悪魔」
ケイトブッシュのデビューアルバムが日本で発売された時、自分は高校2年だった。
彼女は才能を見出されたのが16歳だったと言う。そしてデビューアルバムの収録にかかり、実際にアルバムデビューしたのは19歳の時だったらしい。
鮮烈で衝撃的なデビュー作。ほとばしるような若い才能に、自分は打ち負かされたような気分になった。
ピンクフロイドのディヴ ギルモアに見出された、と言う触れ込みだった。そんなキャッチフレーズが安っぽく感じられるほど、恐ろしい才能の塊に思えた。デビューアルバムを買って数ヶ月はこればかりを繰り返し聞いていた。
透き通るハイトーンヴォイスに東洋的な雰囲気を持つ不思議な曲のメロディ。軽やかに踊るようなパフォーマンスと彼女の美貌。歌声は一度聞いたら忘れられない。
印象的な曲と歌声にいっべんで虜になったが、同い年で既に才能を開花させた彼女と何者でもない自分に焼け付くような焦燥を覚えた。
自ら作詞作曲をこなし、聴く者を圧倒するパフォーマンス。デビューアルバムが世界で発売されるような稀有な存在に、同い年だからって焦燥を覚えても身の程知らずもいいところだ。だから何だ?と今なら思えるが。
自分は何もできない、何一つ成し遂げた事なんかない、秀でたところも何もない。自分に一体何が出来る?
……とただひたすら焦ったんだよね。
彼女の傑出した稀有な才能が、音楽という世界で大きく開花したこのアルバム。そんな若い頃の自分の何者でもない苛立ちと焦りが、このアルバムを聞き返すとありありと思い出される。あの頃に引き戻される思いがする。
まだ世の中にはCDってモノが無かった。あの頃はレコードだった。LPレコードが1枚2500円くらいだったか。
アルバイト代や小遣いをもらう度、新しいレコードを買った。FMで最新の音楽をチェックして気に入ったアーティストのレコードを買う。学校で好きなアーティストの話をする。そんな平凡な毎日を過ごす女子高生の焦りなどなんぼのものか。
自分の未来には何が待っているのだろう。何を成し遂げる事ができるのだろう。
自分が生きることで何か世の中に少しでも意味を残す事が出来るのだろうか?
そんなことをぐるぐると考えていた、遠い昔の若くて青い自分だった。
*愛用のMac様がお亡くなりになり、上手くリンクが貼れなくなっております。ひとまず連続投稿を優先して、ホントはリンク貼りたいけどこのまま投稿いたします。後で訂正版を投稿し直す予定です。ケイトブッシュの「天使と小悪魔」出来たらYouTubeで視聴してみて下さいね。
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