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シャブリ不撓不屈09/シャブリのキメリッジジャンKimmeridgean泥灰岩層
このシャブリ村対岸にある丘陵地帯ですが。奇跡と言っていいほど葡萄作りに適した場所でした。
南面し、陽の光が燦々とあたり、雪深い同地でも一番早く雪解けが始まる所です。そして土壌は灰白色をしたキメリッジジャンKimmeridgeanの泥灰岩層が剥き出しになっていた。
キメリッジャン(キメリッジ砕石、粉石フラワーと呼ばれる)とは、約2億年前に大量の貝殻が集積した場所で、北方で育つ葡萄の木には最も相応しい土壌です。・・少しだけ、このキンメリッジジャン土壌に触れます。キンメリッジャン土壌こそがシャブリワインの特性だからです。あんまり馴染みのない単語が出ますが、我慢して読んでください。
太古。この地は海の底でした。それが大陸移動の圧力によりジュラ紀新世代に隆起して出来上がったのがヨーロッパ大陸です。そのため、ヨーロッパの土壌は三畳系上部の礁成石灰岩が厚く堆積しています。とくに東アルプス北部(西はライン川から東はウィーン盆地まで東西500km四方)は北部石灰アルプスと呼ばれています。
中でキメリッジ階と呼ばれているのが、ジュラ系中部統上部より上位に産する珪質堆積岩、特に放散虫岩が多く含まれる地層のことです。この土がワイン作りに大きな影響を与えるのです。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/30643317/picture_pc_c6db57d5dc19d6c83bac306ef668c4d2.jpg?width=1200)
放散虫岩とはアンモナイトなどを中心とした貝殻が堆積してできた岩です。ワインの本では「牡蠣」と書かれていますが、正しくはアンモナイトとその仲間の放散虫です。
この厚層の石灰岩体が第四紀の氷河により深く浸食され、珪質堆積岩と共に複雑に折り重なった地層になっているのが、東アルプス北部の地層の特徴です。場所を地図上で囲みましたから、見てください。
スラン川に出来上がった渓谷は、川の力によって削られ、土砂崩れによって出来上がった丘陵です。そのために、まさにこのキメリジャン土壌が著しく露出しているのです。
このシャブリ村に対面する丘陵の土壌は、まさに石灰色で白い。珪質堆積岩で出来ている所謂普通の土と放散虫の堆積で出来た石が混ざり合った独特なものです。
この土地は現在でも100ha弱のブドウ畑があります。所謂シャブリ・グランクリュの畑7カ所全はこの地区にあります。なぜグランクリュの畑だけがシャブリの中で「シャトー」と名乗ることを許されているか?その理由が判りますね。まさに此処だけが修道院・シャトーの畑だったからです。
現在でも、村の入り口には古代の門が残っていますが、これはサン・マルタン修道院とその付属施設だったものです。
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