une journée à paris04/クリニャンクール
クリニャンクールが好きだ。
時々無性に行きたいと思う事があるんだけど、奥さんのOKはもらえない。
「タダのゴミ捨て場よ」と酷評する。たしかにそうとも云える。
「昔は、あんな感じのとこがバルセロナにもあったし、マンハッタンの24丁目6thでやってたフリーマーケットだって、どっちかというとフレアマーケット(蚤の市)だったぜ。
バンコックにも有ったよ。ずいぶん前だけど、バンコクでクライアントが借りてくれたコンドで、あまりにも持ってったモノが無くなるンで、手配してくれた会社に苦情を言ったら、どうしても要るモノなら此処へお行きなさい。買い戻せますよって教えてもらったことがある。」
「買いに行ったの?」
「ん。」
「何を?」
「そりゃナイショ。」
「へぇ、どうせロクなもンじゃないわけね。」と冷笑された。
そんなわけで(どんなわけだ)何処も彼処も失速した蚤の市が、パリには今でも「クリニャンクールClignancourt」「モントルイユMontreuil」「ヴァンヴVanves」と、三つも生き残ってるということ。これは大したもンだと思う。
「行かないわよ。買うもの、な~んにも無いから」と言われるので、最近は出かけてない。パリがまだ"僕だけのパリ"だった頃は、よく行ったんだけどなぁ。
だから今回の話は些か旧聞から始まる。
クリニャンクールは、モンマルトルの丘右半分(サクレクール含む)から始まって、北側へ丘を下りて外環道路までの間を指す。相変わらずアラブやアフリカ系の移民が多く、一種異様な風景のパリだ。
クリニャンクールの蚤の市は、正式名がサン・オアンのマルシェMarche aux Puces St-Ouen de Clignancourt。今は幾つものマルシェが集まって、何となく棲み分けしている感がある。直行するなら4号線Porte de Clignancourtで下りるのが定石だが、僕なら散歩方々モンマルトルの丘から歩いてみるコースをおススメしたい。
先ず、サクレクール寺院の裏の坂を下りる。何処からでも良い。コタンの坂を探してユトリロを偲ぶのも良い。
あとはそぞろ歩きで北へ。ときおりgoogle先生をチェックすれば問題ない。この辺り、通りに並ぶショップがパリのほかの地区ではお目にかかれないエスニックな雰囲気だ。外国の中にある外国ってぇとこだね。
僕はモン・スニの通りを良く使った。少し行くとノートルダム・ド・クリニャンクールが有って、その先左側にジャズミュージアムという中古音楽屋(?)がある。
ここが不思議な店で、楽器屋というかSPレコード屋というか蓄音機屋と云うか中古ラジオ屋というか、ワケわからん音楽関係のものを雑然と売ってる店で、こんな商売が生き残ってることそのものに僕は感激してしまう。
ムカシ、ヴィレッジもそうだった。
いまはあの辺りもマンハッタンの土地高騰の煽りを喰らって、O・ヘンリーの世界は遠い夢になっちゃってる。
だからこそ!(強調します)クリニャンクールが今だ現存していることは貴重だと思うのです。
「ゴミしかない」と言われても・・・
護美こそモノの上手なれ
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました