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ボージョレーは次世代へ繋がれるか/beaujoLais nOuVEauに秘められたLOVE#21

如何ほどのバブルだろうと、時が来れば必ず弾けます。如何ほどのブームだろうと、どんなブームも必ず弾けます。
ブームはいつか必ず陳腐化し、広告効果による催眠は必ずいつか効かなくなるからです。
特にボージョレーについて「ボージョレーは別に美味くない。でもイベントだから飲む」という程度の理由で買っていたユーザーは、そのイベントが陳腐化すれば、すぐさま去っていきます。殆んどの人々が、ボージョレー・ヌーボーを誉めなくなったとき、ボージョレー・ヌーボーというシステムは、川下から機能不全に陥ります。そして流通量は次第に少なくなっていく。

いま、ボージョレー・ヌーボーは一週間はとても持たないイベントになってしまった。極論すれば、ただ一晩のイベントになってしまった。レストランも酒屋も、ただ一晩で売り切れる以上のヌーボーは仕入れたくなくなってしまいました。

流通業者が仕入れたヌーボーは11月第三木曜日が過ぎると、すぐさま店頭でダンピングされたものが、店の端っこに並ぶ。しかしイベントが終われば、わざわざみんなが「美味くない」と言っているものを買う人はいない。こうやってヌーボー神話は崩壊に向かっています。そんな奔流の中で・・ボージョレーに暮らす愛すべき農家たちは、どこへ還るべきなんでしょうか。


少し前から始まった「春のボージョレー」と名付けられたイベントがあります。これはヌーボーでない、普通のボージョレーを知らしめようという新しいキャンペーンです。しかし、それほど効果を出しているとは思えません。あまりにも強烈なボージョレー=ヌーボー=11月の第三木曜日というイメージを、ユーザーに焼き付けてしまったからです。だから「春のボージョレー」とアピールされたものを店頭で見かけても、ユーザーは「これは去年のヌーボーの売れ残りだろう」としか見ない。なんともはや哀しい話です。


残念ながら、ヌーボーだけではなく普通のボージョレー・ワインも愛した人々。とくにリヨンの人々。彼らを新興勢力から取り返せないでいます。実は相変わらず、ボージョレーで生産されるワインの2/3は、ヌーボーではなく、こうした普通の日々飲むためのワインだというのに・・です。

現在、フランスだけを見ても、消費されるディリーワインの半数以上はラングドック・ルシオンのものです。彼らは、いまは世界種となったカベルネ、メルロー、シャルドネ等を使って、安価な良質なワインを量産します。それが流通機構に乗って全フランスに広がる。その流通経路を支えているのは、ビール業界などの巨大組織です。だからロジスティック・コストも低い。ガメイ単体だけを利用しているボージョレーのワインは、ますます立ち遅れてしまっています。
ボージョレーの帝王と云われているジョルジュ・デュブッフは、この危機をどう乗り越えるつもりなんでしょうか。そしてボージョレーワイン生産者連合UVBは、どう生産者を守っていくつもりなんでしょうか。

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勝鬨美樹
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました