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アヴィニオン北の三大生産地を歩きながら考えたこと01

アヴィニオン北の三大生産地で生産されるワインの特徴は、ローヌワインのゴールデンルールであるGSM配合(グルナッシュG、シラーS、ムルヴェードルM)を厳格に守っていることだ。
ローヌワインはだいたい何処も同じくGSM配合で作られる。しかしこれが、北の方へ行くとシラー比が高くなる。グルナッシュの優しさより、シラーの鮮烈な渋みが歓迎されるのだ。
面白いねぇ。この対比は。

シラーは東、バルカン半島から持ち込まれた葡萄だ。グルナッシュは西、スペインから持ち込まれた葡萄である。同地におけるシラーの歴史は長い。2000年近い。一方、グルナッシュをこの地へ持ち込んだのはアルゴン人だから、1200~1300年頃。アルゴン連合王国時代だ。

実は、ムルヴェードルも原産はスペインなのですよ。フェニキア人たちが地中海東海岸レバン地方からアフリカ海岸沿いに西進し、紀元前500年頃に持ち込んだと云われている。
これが、今度は地中海北岸をUターンするように東へ広がった。伝搬したのは、かなり早い時期で、ローマ準州が交易のためのワインをボルドーで売り始めた頃には、どうやらもう既に使われていたらしい。紀元500年頃だ。
今で云うラングドック・ルションあたりね。ピレーネを越えたこっち側では、あの辺から地中海沿いに東へ広がっていったと思われる。古文献が残っているんだ。
でもね。葡萄としては耐寒冷性はない種類なんで、まぁ例えばローヌで云うと、シャトー・ヌフ・デ・パブあたりが北限で、それより北では育たなくなってしまう。現在でもそうだ。

グルナッシュは、耐寒性が考えられて作られた葡萄だ。でもシラーのようにバリバリ耐寒性ではない。その差がローヌの北と南のGSM配合比の違いに出てるのかもしれないな。
・・・それにしても、このローヌ地方のゴールデンルールGSM配合がスタンダードになったのは、何時ごろなんだろうか?
シャトー回りをしてる時、そんなことを考えてた。

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勝鬨美樹
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました