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霧の谷間アンダーソンバレー#01
アンダーソン・バレーは、西海岸北部過疎地域で、サンフランシスコから北へ約3時間、距離としては100マイル(160km)ほどに位置します。その谷間はブーンビルからナヴァロの町までのおよそ15マイル。朝と夕方の霧と涼しい風が海岸からナバロ川を通り、アンダーソン渓谷を抜けます。
あまり聞くことのない生産地ですが、じつは7月でも平均気温は23℃程度という冷涼な土地柄で、海から吹き上がる風が山や丘陵の間を奔り、濃い霧が度々発生するため、ピノノワールとシャルドネを植えるには最適の場所です。
植物相は典型的な北米西海岸森林で、アメリカン・オークをダグラス・ファーなど、コースト・レッドウッドの混在林です。標高は海抜から760 m。平均年間降水量が多く、年間平均気温は低い。これも典型的な地相ですね。
その風土から、土地のワイナリーは同地を「カルフォルニアのアルザス」と呼び、年に一回2月末に国際アルザス種フェスティバルを開催しています。
しかし前述したように西海岸北部過疎地域なので、あまり知られていない。残念ですね。
1981年・・「パリスの審判」後ですが、この地に注目したフランスの生産者がいました。ロイ・レデレールの前社長ジャン・クロード・ルゾーです。朝夕霧に沈む谷間に彼は何かを見たのかもしれません。彼はすぐさま580エーカーの土地を購入し、1988年に「ロデレール・エステート」をスタートしています。
ウチの店で、お出しする数少ない(^o^;;西海岸ワイン。アンダーソンバレーへの想いを少しだけ、二回に分けてお話をさせてください。
アンダーソンバレーの年間気温変動差は22~28℃ですが、昼夜の寒暖差は激しく、それがスパークリングやピノの醸造に適しているのかもしれません。前世紀末にニューヨーク・タイムズが選んだ「20世紀最後に選ばれるべきワイン」リストの中で、本家シャンパニューの生産者を飛び越えて、ロデレール・エステートはトップ・スパークリングワインに選ばれています。これはちょっとした「パリスの審判」でした。
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