2020年7月の記事一覧
a Day in the Manhattan22/1996NYCのトッグラン01
犬を飼うニューヨーカーは多い。41丁目のチューダーシティのアパートに住んでた頃、よくエレベータの中で犬を連れた住人たちに出会った。それが巨大なセントバーナードだったり、アフガン・ハウンドだったり、クラシックなブルドックだったりする。
エレベータで出会う彼ら彼女は、実に躾けが良く行き届いていて見事なものだ。静かに主人の横へ座り、乗り合わせた他の人によけいな関心を示さない。まだ小さかったウチの娘どもが
a Day in the Manhattan23/1996NYCのトッグラン02
こうして彼の手元には、ゴールデン・レトリバーと傷心だけが残った。そしていつの間にかそのゴールデン・レトリバーについて語るのは、仲間うちでタブーになってしまった。
半年ほど経ったある日。僕の仕事を手伝ってくれている最中に、ケヴィンが唐突に言いだした。
「ねえ、ドックランって知ってるかい?」
「ああ。あのワシントン公園にあるアレだろ。」
「うん。行ったことあるかい?」
「残念ながら、うちのペット2匹は
a Day in the Manhattan#21/1994いざりのジョー
前に「ちびのジョー」の話を書いたので、そのまま「Crippily Joe」の話も書きたい。Crippily Joeは黒人のホームレスだ。彼は両脚が無い。木製の手作りの車椅子に乗っている。上半身は筋肉隆々で黒光りしており、眼光鋭い。30代半ばだろうか。ベトナムで両脚を失ったという人もいたが、実際のところは誰も知らなかった。
彼はいつも地下鉄6か1で物乞いをしていた。器用に地下鉄に乗ってくると、黙って
a Day in the Manhattan#20/1983スミス氏との賭け
ニューヨークに独りで暮らしていた頃に、スミス氏と僕たちがした賭けの話をしたいと思う。あらかじめ言っておくが「スミス氏」の本当の名前は知らない。みんながスミス氏と呼んでいただけだ。
その頃、僕は14丁目の外れチェルシー・トライアングルのすぐそばの老朽アパートに住んでいた。インド人のスーパーが幾つも並んで、店前で「チェーキン!チェーキン!」と連呼していた頃の14丁目の通りだ。いまの、それなりに綺麗にな
a Day in the Manhattan#19/我が街、アッパー・ウエスト・サイド
我が街、アッパー・ウエスト・サイドは、この40年間で最も大変遷を遂げたところだと思う。僕が最初に出会ったコロンバス・アベニュー、アムステルダム・アベニューはジャンキーやソシエ・パスがうろうろする荒廃しきった通りだった。
映画「Warriors」でストリート・ギャングたちの大集会が描かれるが、あの撮影をしたのもこの辺りだ。
https://www.youtube.com/watch?v=ribNkw