映画とSan Francisco、そしてフォー
さんざん選んで持っていった
文庫本のエッセイを放り出して
ぼくは飛行機のモニターで映画を観てた
「15時17分、パリ行き」
3人のアメリカ人青年達が
アムステルダムからパリへ向かう列車の中で
銃によるテロを防ぐという実話に基づくストーリーしかも本人たちが本人役で出演して描いてる
特に劇的な描写や表現がある訳じゃない
3人の青年が旅の最中で困難に翻弄され
夢に破れたり、退屈を感じたり、気晴らしをしながら何気なく日々が流れていく
ヒーローの物語じゃない
たしかに彼らがやったことは
普通ではないのだけど
伝わってくるのは
“今できることをやる”
ということの大切さな気がする
映画の中でオチよりも
ぼくは主人公のひとりが
眠りに着く前に唱える祈りが
なんとなく気になった
主よ、
わたしをあなたの平和の道具としてください。
憎しみのある所に、愛を置かせてください。
意図せずして
彼らは平和の道具になったけど
人知れず寝る前のベッドの前で
こういう言葉を口にして
祈る人がいるのだなと
素直に驚いた
人間は捨てたもんじゃないかもしれない
なぜならば、
与えることで人は受け取り、
忘れられることで人は見いだし、
許すことで人は許され、
死ぬことで人は永遠の命として刻まれるから。
先にこちらから
投げかけなければ
何かを受けとることはない
そんな法則があるのかは知らないけど
なんとなく当たっている気もする
あの映画を観てから
平凡な人生だって別にいいじゃないかと
思い直してるじぶんがいた
ここは好みの問題だけど
ささやかな人生も悪くないなと思った
ぼくのホテルはバリバリの観光地
フィッシャーマンズワーフだったけど
現地で出会った日本人の勧めで
チャイニーズタウンにある
ベトナム料理店に行った
旅の〆はフォー
デカいパンのクラムチャウダーも
現地で有名なカニ料理も食べたけど
いちばん心に響いたのは
小汚ないベトナム料理店の
優しい味フォーだった
また来よう
フォーを食べに