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【お知らせ】Gakken『3分間のまどろみ カプセルストーリー』(電子書籍)

坊っちゃん文学賞とショートショート大賞の受賞者による、完全新作アンソロジーが発売中です!

「青」と「緑」の2冊同時刊行(電子書籍のみ)、私はそれぞれに1本ずつ書き下ろしを寄稿しています。
Kindle、楽天Kobo、honto、Apple Booksなど、各電子書籍サイトより購入できますので、ぜひダウンロードしてお楽しみいただければと思います。

対象年齢は小学校高学年以上、1話2000~3000文字のお話が収録されています。
監修は坊ちゃん文学賞の審査員長をされている田丸雅智先生。
執筆者は総勢26名で、各1~2本を寄稿しています。

執筆者一覧
堀真潮、髙山幸大、梨子田歩未
行方行 、洛田二十日、恵誕
滝沢朱音、長野良映、灰谷魚
山岐信、霜月透子、小狐裕介
杉野圭志、高野ユタ、草間小鳥子
眞山マサハル、松野志部彦
山猫軒従業員·黒猫、石原三日月
森水陽一郎、藤白幸枝、椿あやか
知花沙季、藤原あゆみ、中乃森豊
伊藤見桜    
(敬称略)

各々の受賞歴など詳しい情報は、著者のひとりである霜月透子さんがまとめて下さっています。ぜひそちらをご覧ください。

私が寄稿したのは、「怪談箪笥」  (青収録)と「舞塔会の月」  (緑収録) という、どちらもちょっと奇妙なお話です。
冒頭部分を公開しますので、どうぞ覗いてみて下さい。

    男がうちにやって来たのは、ひどい雷雨の午後だった。
    荷車に大きな箪笥を乗せて、間抜けな顔をした黒い馬に引かせていた。立ち往生している男に気づいた村人が、村長である僕の父のもとへ連れて来たのだ。男は、家具商人だと名乗ったらしい。
    雨が止むまで、古い納屋を使ってもらうことになった。雷が鳴る中、男と村人たちはびしょ濡れになりながら、荷台から箪笥を下ろして納屋へと運び込んだ。
 それは、古い階段箪笥だった。
「村長さんにご挨拶させてください」
 雨合羽を脱いだ男は、雨で冷えたのか、やけに青白い顔をしていた。目が笹の葉のように細く、なにか含みのありそうな、猫によく似た口元をしていた。村人に連れられて納屋から出て行ったが、僕とすれ違う時に少し屈むと、
「坊っちゃん、その箪笥には触っちゃ駄目ですよ」

「怪談箪笥」  石原三日月


   その鉄塔は丘の中腹に立っていて、家から伸びた坂道の途中、こんもりした樹々の上から顔を覗かせていた。ありふれた銀色の送電鉄塔で、左右に両手を広げたような姿をしていた。
   ある日の夕方、学校帰りの私は坂道を上がっている途中で話しかけられた。
「つかぬことをお訊きしますが、今宵はお暇でしょうか」
「はい?」
 まわりを見回したが、誰もいない。
「こっちです、こっち」
 声のする方を見ても、そこには樹々から顔を覗かせた鉄塔しかない。しかし、
「ああ、良かった、気づいてもらえて」
 私は呆然とした。その声ははっきりと、鉄塔から聞こえてきたものだった。

「舞塔会の月」 石原三日月


続きはぜひ「カプセルストーリー」で!
(※実際の電子書籍は縦書き表示になります)

ほかにも想像力を刺激される素敵なお話ばかりです。
ちょっと不思議だったり……奇想天外だったり……
きっと、どなたでもお気に入りの物語が見つかることと思います。

このところ、お知らせと宣伝ばかりで恐縮です。
でもこの6月が私の今年のクライマックスなので!ご容赦を!
あとはまたイヌを愛でるだけの地味な日々に戻ります。

ではでは「カプセルストーリー」をよろしくお願いいたします🌛



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