UXデザインに対する意識について
例えば、勤め先のウェブサイト管理を任されたとしましょう。
時間と共にあなたには、日常のルーチン業務とは別の、もっと組織の売上に貢献するような仕事を期待され、マーケティングの文字が頭に浮かぶようになります。
アクセス数を5倍に!とか、コンバージョン率UP!とか勢いで言ってしまうかもしれないし、無茶振りされることもあるかもしれません。
「どうしたら効果をあげられるか」などとマーケティングについて書店やネットを徘徊していると、チョイチョイと遭遇したりしなかったりするのがこのUXデザイン。
大体スルーの人が多いと思いますが、UXデザイナーとして、私がこのUXの立ち位置について思っていることを軽く語ろうかと思います。
UXデザインとは
UX=ユーザーにとって良い体験だとか、ペルソナがどうとか、調べるほど設計のための資料作成技法が出てきて、壁を感じてしまいがちなUXデザイン。
端的に言うとユーザーにメリットをもたらすための思考法とそれを整理整頓することが中心であり、自身が設計するプロダクトやサービスに価値を付加するものとして、意識高めのデザイナーには親和性の高いフレームワークです。
その一方で、上述のようなサイト運用担当者にとっては、目指す指標がコンバージョンであるため、シンプルにそこにベクトルが向いているWebマーケティングに意識が向きがちです。
書店でもマーケティングの本が並んでいるところではなく、ほとんどが開発者やデザイナー向けの棚に並んでますよね。
こいつの居場所はここでいいのか?
その並びを見る度、いつも思うのが、「ここでいいの?」です。
正確に言うと「ここだけに留まっていてはいけないよな」です。
一般認識としてはUXはデザイナー(制作者)がやるもので、それ以外の人には関係ない。みたいな区分けになっていることに違和感があるんですよね。
Webマーケティングだけでは不十分
Web運用担当者の話に戻しましょう。
いくつかのWebマーケティング施策を打ったのに、なかなか成果が出なくて、その都度いろんなマーケティング施策を試みるも、費用やキャパだけが無駄にかかってしまい、そのうち考えることを諦めてしまった・・・なんてこともあるあるだと思います。というか実際にそんなケースをよく耳にします。
物事の結果には何かしら原因や理由があります。
Webマーケティング手法は、一時的な数値を伸ばしたりすることはできても、長続きさせることは難しいでしょう。
サイトそのものにうまくいかない原因があった場合、ユーザーが離れていく、または定着しない現象をマーケティングという外からの観測機では正確に見ることができず、根本的な要因を特定することができないからです。
それに対して、内からの観測機として機能するのがUXデザインです。UXはロジカルな思考のもとに、なぜこうするのかを言語化して仮説を立て、実装します。
公開後、実際の想定と違った場合、その仮説を見直すきっかけとなり、都度検証しながらサイトそのものを改善していけるという性質があります。
その性質を活かすには、デザイナー(制作者)だけが懸命に仮説を考えるだけでは不十分で、サイトの運用に関わる人全員が関わり、ロジックを理解した上で、運用していく必要があると思っています。
故、UXはデザイナーだけが意識するものじゃないよね。
というのが、その違和感の正体かと。
そもそもマーケティングとUXは表裏一体であるということをわかりやすく解説されている記事があるので、興味がある人はこちらも読んでみてください。
とはいえ、UXの本の大半は、ユーザビリティだったりUI側の視点で書かれているものが多いのも現状で、運用側としてどう扱ったらいいか分かりづらすぎるということもあったりします。
「UXマーケティング」みたいな本はたまにあったりしますが、難しくとっつきにくいので、このあたりの内容はまた今度。